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企業系検査技師のグローバルな事情_日本以外の国での資格の立ち位置

はじめに

ごきげんいかがですか、ふたこ研です。
前回アメリカとの資格の違いについてnoteしました。
今回はさらに違う国の例をまとめておこうかと思います。

ちなみにどこの国も臨床検査技師は不足しているようです。時代によって求められるものは変わっても根本的に必要性は減らないのでは、と思います。

参考↓


他国での資格取得と業務内容

イギリス

Clinical Scientists and Biomedical Scientists (BMS)の2つの資格があります。
Clinical Scientistの取得後、専門性を高めるには専攻分野の優秀な成績を収める必要があり、よりハイレベルのトレーニングを受けるために専門分野の大学院に進む方も多いようです。そのため各分野(微生物、免疫や生化学など)の専門職として働きだすころにはPh.Dをもっている、という方も多いそうです。もちろん、Clinical Scientistとしての主要役割は”患者ケア”ですが、研究やマネジメントなどをサブで身につけておくことが患者ケア、診断や治療に大きく影響する、というのはイギリスでの見方のようです。

他の国々での呼び方

オーストラリア medical laboratory scientists
カナダ medical laboratory technologist
ニュージーランド medical laboratory scientist

上記のように、検査技術を科学的に捉えて患者ケア、ほかの医療職との連携を行うというscientistであることが分かります。

日本

日本の臨床検査技師の方の発表を聞くと、「技術者」観点の話が多く「科学者」という観点は非常に少ないなと思います。技術者が技術を磨く、それが継承される、というところに美学がある(伝統工芸的な)ことはとても大事だと思いますが、地位向上を推進したいのであれば自ら技術者の枠をはみ出るような活動を意識的にしていかないといつまでたっても変わらないのになと感じます。

一方で、日本の教育課程は専門学校でも大学でも同じような教育課程を経て同じ国家試験合格をすれば同じ立場で働けますのでGeneralistがたくさんいるというある意味レベルの高い、ある意味少し変わった国だと思います。その国の教育環境、検体数、保険制度などが背景にあるため一概に良悪を付けることはできないですが、Generalistとして働ける優秀な人財が日本には多い、ということにもなります。
日本の臨床検査技師は諸外国と比べて、丁寧、正確でありますがそれはどうしても”technologist”の範疇であり、自分たちも扱いを良しとしているところがとてももったいないところです。

おわりに

臨床検査技師養成学校で教員をしているある先生がおっしゃっていました。
「日本の医療は発展していて、遺伝子検査、医療デジタル発展などが国の施策としても進められているが、そういう議論の場に臨床検査技師が選ばれない、入ってこないのが残念だ」と。

そのコメントを聞いて私は、「技術者がガイドラインの議論に呼ばれることは普通ないだろうな」と思いました。
日本の臨床検査技師は”科学者”というポジションになり、医療現場以外にもポストを増やしていかないと、重要な議論の場には上がれないのではないでしょうか。

・米国では企業や国の機関に臨床検査技師のポストがたくさんありますが、日本はわずかです。
・諸外国はScientistですが日本はTechnologistです。
・臨床検査技師養成する教員の多くの方はSenior technologistであり、Senior scientistではありません。

地位が低い本質的な理由はなんなのか、それを受け止め、変えていく風が起こらないと日本の臨床検査技師の立場はいつまでも今のままです。
(という超個人的な見解です、期待を込めて・・・)

では、また。ごきげんよう。

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