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文字が違う言語の学び方 クメール語の場合

 なぜか今年に入ってクメール語にとりつかれてます。かつていろいろな言語を勉強してきましたが、この気合の入れようは何なんだか。

クメール語とは
 クメール語は超マイナー言語なので少し説明します。
 クメール語はカンボジアで話されている言語で、アンコールワットに行かれた方は聞いたり、文字を見たことがあると思います。クメール語はモン・クメール語属に所属する言葉で、カンボジア国内で約1200万人ほどが話します。南インド系の文字を使用しており、最も早い時期で7世紀初頭の碑文が残っています。
 文法は、名詞や代名詞の格変化,動詞の人称・数・時制の活用はいっさいありません。中国語やタイ語、ベトナム語のような声調はなく、文字が読めて発音がしっかりできればさっさと会話ができる言葉なのです。
 単語はサンスクリット語やパーリ語のほか、中国語やタイ語、マレー語、フランス語からの借用語が多いのも特徴です。しかし、日本人にとっては馴染みの薄い単語ばかりが並び、最初は非常に苦労する言語でもあると言っていいでしょう。例えば、数字を一つとってみても、1(ムーオイ)、2(ピー)、3(ベイ)、4(ブオン)、5(プラム)… と何度も繰り返さないとなかなか覚えられません。。。何も日本語や英語と共通するものがないので、単語がすっと頭に入らないということがあります。

文字が違うと・・・
 さて、文字は表紙写真に載せたとおりの文字になります。
 一見、タイ文字のように見えるのですが、タイ語をやっているとわかりますが、ほとんど違います。ところどころ同じような表記がありますが。特に子音表記がほとんど違うので、タイ文字をやっていてもあまり参考にはなりません。
 それでは、こういった文字の言語を勉強するにはどうしたらいいのか。
まずは、ローマ字表記から習いましょう。というか、最初はそうするしかないのです。
 タイ文字もいきなり文字から入ると挫折するので、ローマ字表記またはカタカナ表記から単語をコツコツと覚えていくしかありません。
 数カ月勉強していけば、初級会話の単語や表現を覚えていくことができるので、会話は楽しくなるでしょう。しかし、です。
 やはり文字をやっていかないとその言葉の正しい発音ができなくなってしまいます。例えば、クメール語で「探す」は「ローク」といいますが、カタカナ表記にしてしまうとRなのかLなのかがわかりません(この単語はRのローになります)。また、「私」のことを「クニョム」と言いますが、この「ク」が曲者で、カタカナにしてしまうとkかkhかがわかりません。クメール人はこの無気音と有気音は正しく使い分けるので、やはり文字をみていって発音するしかないのです。ローマ字表記だとある程度本来の表記に近いのですが、それでも限界はあります。
 また、ローマ字表記で困るのが、テキストが違うと表記の仕方も違ったりします。タイ語でもそうですが、ローマ字表記の標準はないので、学校の先生によって書き方も違ったりします。例えば、「チョ」という表記はcoやjoと2種類で書けるので、語学学校に行くと「私の場合はね」と前置きをして黒板に書いていきます。統一されていないので、仕方ないといえば仕方ないのですが、勉強する側にとっては結構面倒です。
 ちなみに、これは余談ですが、シェムリアップとプノンペンでは発音の仕方が若干違うので、そこでまた混乱することもあります。さらに地方に行くと単語自体が違い、別の地域から来たクメール人もわからないことがあるようです。クメール語は公用語ではあるものの、どうも「標準化」がされていないと言ってもいいのではないでしょうか。これは学習者からすると結構大変なことなんですが。

 私の場合、最初はやはりローマ字表記とカタカナ表記から単語を覚えていきました。日本語によるクメール語の教本は三修社の『ゼロから覚えるカンボジア語』や白水社の『エキスプレス カンボジア語』などがありますが、本当の初級からの場合は前者のがいいかと思います。会話中心の書籍で、カジュアルな言い方にもなっており使い勝手もいい。後者のは文法説明はしっかりしていますが、表現がどうもカチカチの言い方が多い気がします。どちらかというと書き言葉的な表現が多いのかもしれません。以前にこの本に出てきた単語を使ったら、「会話ではそれはあまり言わない」と指摘されたことがあります。

 日本人が文字の違う言語を学ぶとすると、おそらく最も多い言語は中国語。しかし、漢字を使っているため、ピンインを覚えるのは大変ですが、まったく難しい言語ではないと思います。また、韓国語のハングル文字やタイ文字といったものも人気の言語なのではないでしょうか。これら言語も最初はカタカナやローマ字表記から覚えていくしかありません。アラビア文字やキリル文字もそうです。
 習ってから最初の数カ月はその言語の文字を習わずに勉強していくことが秘訣かと思います。文字に囚われてしまうと必ず挫折してしまうのは明らかなので。私はそれでタイ語を断念してことがあります。

 それでは、次回はクメール文字をどのように覚えていったかを詳しく説明したいと思います。




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