note版オンライン絵画講座 ②基礎の基礎用語

基礎用語解説カレー風味

用語解説と銘打ちましたが、兼ねてから質問の多い描画用語をカレーに喩えて解説します。描画用語はちょっとわかりにくいですし、何より人によって解釈や表現が違ったりして説明自体が誤解を生んでしまうので、この回でしっかりとイメージを掴んでおきましょう。

まず最初に例えるための物語の設定を決めておきます。

ここは何千年も歴史が続くどこかの王朝です。
この国では神の供物とされた伝説のカレーが存在します。
その味は数多の戦で作り方が失われ、しかし、職人の手で時代を超えても作り続けられ
庶民から王に至るまで幅広く愛される神託のカレーが存在する世界です。

と言う設定にて描画用語を解説いたします。

ドローイング (カレー作りの始まり)
難易度☆

この王国では7歳になるとカレー作りに必要な食材や道具の説明を親から受けることが多く、少しずつカレー作りをするようになっていきます。野菜の大きさ、肉の種類、下準備、食器の種類、刃物の使い方、装い方などをレクチャーを受けそれぞれが本格的なカレー作りに向けて準備していきます。

ドローイングはアイデアをまず形にしていくような行為です。何を描くかどのように描いていくかなどのアイデアを出していくための走り書きとも言えるでしょう。これ以降一つの制作においての描画法となっていきます。

エスキース (野菜と肉の炒め物)
難易度☆ ☆ 

カレーにするための準備に使う食材の下調理のこと。
この状態でも食べられますが、主に煮込む前の食材炒めといった感じ。
そのまま煮込んで煮込み汁にする場合、スパイスを入れて炒め物で食べる、など幾多の仕上げが存在するものです。

エスキースは画面に構図を考えて配置する行為です。形の流れや、余白の様子を見たり、色彩を用にてその完成予想図を大まかにイメージするためのものです。デスケルなどの道具を使う場合もあります。

クロッキー (野菜と肉の煮込み汁)
難易度☆ ☆ ☆ ☆ ☆

カレーになるかどうかまだわからないようなただの雰囲気だけのものです。神託のカレーには遠く及ばない。けれども、この煮込みの雰囲気や仕立てはそのまま神託カレーにも必要な要素です。庶民の間では各家庭によって味や内容物が違い、辛いものやただ塩辛いもの、甘いものなど、家庭の数と同じだけ味がある郷土料理です。

描画スタイルとしてはどのような絵にも必ず必要な要素ですが、詳細の書き込みはなく雰囲気や動きを捉えて書いたものだとお考えください。
手間もかからずたくさん描けるもので、クロッキー帳とは薄く柔らかい紙がたくさん入っているものです。
描いた人の個性や技術力も色濃く影響します。がそこに特に意味はなく、描く人は自分の制作に役立てるために描き続けるものだと考えます。

スケッチ (普通のカレー)
難易度☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

カレー風味がついた野菜と肉の煮込みで、これも庶民の間では常に食されているものです。誰しもが知る味。簡単に食事を済ませたい時にもってこいのメニューです。米、パン、ナン、など色々な味わう方法があり、水っぽいもの、ペースト状のものなど、作り手それぞれの個性があるメニューで王国内の地域差が色濃く出るメニューと言えます。

クロッキーよりも実際的な簡易描画方法。その後の制作のための状況確認や設定を意識して簡便に描くものです。風景画を描く場合、現地に赴いて軽めに描かれるもので、写真を撮るよりももう少し制作を意識したものとなります。
形や配置もさることながら時間的な陰影の影響を描きとるや、天気などによる空間の色メモなど、この時点である程度決めておけば、その後の制作はスケッチを見て進めることも可能です。
制作スタイルにおける注目点が異なるのもスケッチの特徴と言えます。

デッサン (王宮風カレー)
難易度☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆〜★ ★ ★ ★ 
(白星10個で黒星1個)

王宮で食べられているものに限りなく近い高級なカレーです。
主に店舗で出されているメニューで、家庭の味というよりも高級な味に仕上げてあります。作る時間も家庭のものとは違って三日三晩、もしくはもっと長い間煮込み調整され、神託カレーの雰囲気を持ったカレーです。
料理人はこの味を作り上げるために、下積み経験が必要で、神託カレーを受け継ぐ物から習った期間がどのくらいかで店のグレードも変わってくるとされてます。

デッサンは下書きという意味として使われますが、どちらかと言えば、解析していくといった意味合いが強いものと考えます。モチーフの質感や量感もさることながら絵画的な配置や雰囲気の醸成、それを可能な限り表現していくものだと考えます。
形を描くだけではデッサンとして成立しにくい物といえます。
簡易的な描画方ではなく、モチーフとしっかりと向き合い、自分の限界まで描き込んでいく必要がある制作スタイルと描画技能を養う行為だと考えます。
精神的な我慢強さや、間違いを気づき正す能力も同時に備わっていきます。
行ったことが自己流かどうかでも大きな差が生まれ、その行為の長さも個々の能力に大きな差を生むものだと考えます。

精密または細密デッサン(王宮カレー)
難易度★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

王宮内で食されるカレーです。
より神託カレーに近いものと考えられています。
食材もおおよそで決まっており、そのレシピは王宮内で使用されるのみの門外不出のレシピです。
ですが、庶民の食す王宮風カレーとは一線を画すものであり、その味たるや、まさに神の味とも言えるほどの出来となっています。
一般的な方が食す機会はほとんどありません。
神託カレー研究者が考案した方法で作られる特別なカレー。

基本的なデッサン力をベースとして、さらに細密に描き出されるものと考えます。
質感や量感、陰影、空間演出などもデッサン以上の描画能力が必要で、時間もデッサン以上に長時間かかるものと考えられます。
何より、描く人の研究的な視点が色濃く反映するデッサンと言えます。見え方としては写真のように見えることもある描画スタイルです。
しかし、一方で、描き方が存在するものでもあります。
デッサンをベースとしない形で描く人がいることもわかっています。
その場合、細密画という言い方をすることが多いです。

模写 (神託カレー)
難易度★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★?

作り方を失って久しい伝説のカレー。一子相伝での技術遺伝はあるものの、当時の材料を揃えることが難しく、再現が限りなく不可能に近い。
カレー研究者は相伝の技術や材料の代用などを日々研究し続けている。
限りなく元の状態に近い状態を模索し続けられているが、研究者の中でもかなり技術力が高い人材でしか研究できないものと考えられている。

基本的なデッサンの仕方がわかっており、それを発揮して元の絵の形や絵柄はもとより、構図や見せ方などを含め、作者の姿勢や精神性などを理解するための行為と言えます。あくまでもデッサンにおいての技術力や精神力があって、そのモチーフを解析し、表現する方法を理解した上で行うものと考えます。


なんとなくわかりやすい気がしますがどうでしょうか?
初心者の最初の目標は王宮風カレーですね。
このカレーができれば、その後王宮にて研究者として仕事ができるようになるのではかろうか?と思います。
普通のカレーまでは家庭の味ですので、特に発表する必要はありません。
少しずつ味を洗練させていく過程で、発表することも増えていくことでしょう。

次回はこのカレー店のある場所を書こうと思いますが、気が向いたらにします。

今回もありがとうございました。

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