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お米の作り方〜肥料作りと苗床作り〜

 全国的に不安定な天候が日々続いております。えと菜園オンラインショップ衛藤です。農業について農家さんやお客様から学んだことや感じたこと、お客様からよくご質問いただくことを記事にさせていただいています。

 熊本では例年より早く梅雨入りした為、麦類の収穫が遅れてしまった農家さんも多くおられました。当店が取り扱う小麦農家さんも梅雨の晴れ間を探して収穫されていましたが、無事収穫が終わり乾燥、製粉が済んだ小麦粉から順次販売開始しております。

 さて毎年、お米農家さんは5月から7月初旬頃までとても忙しくなります。「この約2ヶ月間が米作りの全工程の半分」と言われる農家さんもいるように、毎年この時期に「土作り」や「肥料作り」、「苗床作り」から始まり、最終的に「田植え」が完了するまで段階を踏んでしっかりと作業しなければなりません。

 私もこの時期になると米作りを楽しみつつ学ぼうと農家さんの作業にお邪魔します。今年は「EM農法米」の田中さんの「EM菌のぼかし肥料作り」と、「燻炭ぼかし農法米」の健康農園さんの「苗床作り」にお邪魔しました。

ぼかし肥料作り〜田中さんのEM菌ぼかし肥料〜

 農業方法は多種多様に分かれていますが、農家さんそれぞれの想いや考え方が反映されています。「EM菌の肥料作り」にお邪魔した「田中さん」が米作りで使用する「EM菌」について少し説明させていただきます。「EM」とは琉球大学農学部、比嘉照夫名誉教授が組み合わせた造語でeffective(有効)Micro-organism(微生物群)の頭文字を取ったものです。放線菌や、乳酸菌、光合成細菌など多様な生物群によって土壌の状態が良くなり、土壌細菌の多様化は農作物の味の向上や地球環境の汚染防止にも繋がるという考え方です。田中さんは50年以上米作りに携わってきました。ある時、EM農法で栽培されたお米を食べた時に感銘を受け、それ以来試行錯誤を繰り返して現在の田中さんのお米に辿り着いています。

 田中さんのぼかし肥料作りは今年5月上旬に行いました。米ぬかを中心とし魚粕、菜種油粕に、EM菌を糖蜜で培養した培養液を混ぜ合わせて作り上げます。配合比率や、菜種油粕は薬剤により油を抽出した物は一切使わず、圧搾式の一番搾りの物のみを使用したりと、田中さん長年の米作りで培ったこだわりが随時に感じられます。

EMと糖により培養した液 2

①糖蜜で培養したEM菌。


田中さんぼかし作り1e

②米ぬか、魚粕、菜種油粕等混ぜ合わせたぼかしを、スコップで返しながらEM菌の培養液を全体に満遍なくかけていきます。


田中さんぼかし肥料完成 2

③乾かさないよう水分量を調整しながら全体をムラなく混ぜ合わせました。


嫌気性の為密封し発酵させる 2e

④EM菌は嫌気性の為、ぼかしとEM菌を混ぜ合わせた後、シートで覆い空気を遮断して発酵させていき、腐敗させずに発酵が上手く進めば肥料作りの完成です。

 今年の肥料作りは私を含め三十代の男二人が足を引っ張っていたので、少々不安でしたが、無事完成したと田中さんからご連絡があり安心しました。当店が扱う農家さんはそのほかにも自家製ぼかし肥料作りに裏山へ放線菌を取りに行ったり、乳酸菌を入れるためにヨーグルトを混ぜたりする農家さんもいます。皆さんそれぞれ圃場に元々住む土壌菌とのバランスを考えながら美味しく、安全で、環境にも優しい農作物作りに励んでいます。


苗床作り〜健康農園の苗床作り〜

 5月下旬に健康農園の苗床作りにお邪魔しました。苗床作りは体力勝負で堤さんご夫婦と野田さん、他、私を含めて計大人7人作業で行いました。ここからは苗床作りの手順を写真と一緒に紹介していきます。

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①日陰に準備しておいた苗床ポットをトラックに乗せ田圃に運びます。


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②苗床を直線上に置いていけるようにラインを引いていきます。


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③苗の根が伸びると田植えの際に手間になるので、根伸び防止のネットを敷きます。


健康農園苗ポット 3

④苗床ポットをトラックから田圃に運び込みます。


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⑤丁寧に苗床を並べていきます。


健康農園苗床1のコピー

⑥鳥などからの被害を防止するシートで覆い、水量を調整して苗床作りが完成しました。


田中さん田植え1 2

当店が取り扱う農家の皆さん無事田植えまで完了しました。

 体験させていただいた、ぼかし肥料作りも苗床作りも機械を頼らず、世代も全く違う人々の共同作業で行いました。体力的には疲労しましたが、達成感と、連帯感が生まれ、また古来より日本人が育んできた農業の一端に触れる事が出来た貴重な体験になりました。ご協力いただいた農家さん、ありがとうございました!

 今回もご覧いただき、誠にありがとうございます。次回も農業や農作物についてお客様からのご質問や私自身が気になって生産者に教えてもらった事や調べたり試してみてわかった事を記事にしたいと思っていますので、ご興味ございました際はご覧いただけると幸いです。不安多い日々が続いておりますが皆様ご自愛いただき、どうぞお健やかにお過ごし下さい。 






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