色塗り若葉マークを外そう!

みなさん、こんにちは。最近、ツイートがよくバズるえせるです。絵は、あんまりバズってません。

さて、早速本題ですが、こんなツイートをさせていただきました。

今日は、このツイートに関する、より踏み込んだ解説をしていきたいなと思います。例のごとく予防線を張っておきますが、あくまで「僕がやってよかったと思うコト」なので、正しいかどうかはご自身で判断してくださいね。

①彩度の高い原色を置くな

金髪だからってバキバキの黄色を置く、口の中の色だから信号みたいな赤色を置いてしまう。初心者なら誰しも通る道です。なぜかというと、初心者のうちは「黄色=ビビッドイエロー」という色彩感覚しか持っていないためです。上手な人の金髪のイラストからカラーをピックしてみましょう。意外に彩度が低く、明度が高い色が使われていることが多いです。しかも、その色を単体で見ると「黄色…?」となる場合まであります。お絵描きをし続け、様々な色と触れ合っていく内に、そのような色も「黄色」と認識できるようになります。

彩度が高い色、いわゆるビビッドカラーは、効果的に運用できれば高い視覚効果をもたらしますが、その強烈な効果がゆえにコントロールが難しいです。加えて、いわゆる萌イラストでは「目の塗りにビビッドカラーを使う」ことになることがすごく多いです。

ビビッドカラーは、アクセントカラー(差し色)として運用される時に最も効果を発揮し、かつ失敗を生みづらいです。アクセントカラーは、図面全体の5%以下の面積の範疇で使うのが良いとされています。先述した通り、目の塗りがビビッドになることが多いことを踏まえ、その目の塗りがアクセントカラーとして機能するように、周りのトーンを落ち着いたものに変えていくのが良いでしょう。

これは更に踏み込んだ話ですが、ある程度色塗りを経験していくと、色が沈むのを防止するために乗算やオーバーレイを使う機会が増えてきます。すると、それらのレイヤの効果で絵全体の彩度が引き上がっていきます。その増え幅を考慮して、ベースカラーは高明度・中彩度な中間色にしておくのが良いでしょう。

②エアブラシをやめろ。

やめましょう。これも初心者の方がやってしまいがちです。色塗りの工程のほとんどは「影」を置く作業ですが、その工程においてエアブラシを多用しないことが上達の第一歩です。

まず、「影(シャドウ)」と「陰(シェード)」の違いを理解しましょう。ここでは、いわゆる萌イラストで必要な、最低限な説明に留めます。

「影(シャドウ)」は、光が他の物体に遮られた結果生じたカゲです。「落ち影」とか言ったりします。具体的には、顔に描き込む髪の毛の影などがあります。

一方の「陰(シェード)」は、その物体自体が持つ丸みなどの構造の結果生まれるカゲです。具体的には、おっぱいや太ももなどの陰が当てはまります。

原則として、「シャドウははっきりとした輪郭で」「シェードは柔らかい輪郭で」このルールは守っておいたほうが良いです。ちゃんと絵を勉強すればこのルールがいつでも正しいわけではなかったりするらしいですが、とりあえずはこれくらいの雑認識で大丈夫です。固いところと柔らかいところのメリハリを作れるようになると一気に見栄えが向上します。

また、仮に柔らかい輪郭の塗りをしたいときでも、基本的には固めの筆できちんと形をとってから、ぼかしツールで調整するやり方の方がうまくいきやすいです。そもそも、エアブラシで雰囲気のまま塗るより、固い筆でいわゆるアニメ塗りのように、正確な形で正確な位置に影を置けるように練習をしておいたほうが良いです。これはガチ。

エアブラシが最も効果を発揮するのは、チークや反射光、環境光など、「パッと見はわからないけど、かすかに色が乗っている部分」です。初心者のうちは、ほっぺたの赤みを差す時以外は使わないほうが良いかもしれません。

③影にグレーを使うな。

これも絶対に通る道です。これは初心者にとって、「影=黒」という認識が先行しているためです。ちなみにこの表題、厳密には正しくなくって、正確には「無彩度色を使うな」ってことです。

ことイラストにおいては、むやみに無彩度色を用いてしまうと、いたずらに彩度が落ちていく、色が沈んでいってしまいます。先述したビビッドカラー+グレーの影という組み合わせは、初心者のうちは本当にやってしまいがちです。

影色にはできるだけ、彩度が残っている色を使うようにしましょう。困ったら青紫系の中明度・低彩度色を使っておくのが一番汎用性が高いです。(ただ、肌などだと血色が悪い印象になるのでよりピンク~赤、オレンジあたりの色を選ぶと良いでしょう)

またこれは僕のやり方ですが、ベースカラーで塗ってる色をそのまま乗算で塗ってしまうやり方です。で、最後に影色を少し寒色側へズラす。このやり方はあんまり失敗しませんが、ベースカラー次第ではうまく色が出ないこともあります。たくさん色調補正して、いい感じの色を探しましょうね。

④エフェクトに頼るな。

「おい、塗り漏らしについては?」って思われたかと思いますが、アレは「丁寧に塗れ」としか言いようがないので割愛です。

初心者の内は様々なレクチャーや技法書を見ていく内に、いろんなテクニックを覚えていきます。大体、初心者が最初に通るエフェクトといえば「グロー効果」などでしょうか。また、簡単に情報量を増やすことができるテクスチャにもつい頼ってしまいがちです。

エフェクトを使うことは悪いことではありません。適切に運用すれば、効果的に絵の印象を華やかにすることができます。しかし、エフェクトを「ごまかし」として運用し始めると、大抵いい結果を生みません。

各種エフェクトやテクスチャは、それ自体が持つ完成度、情報量などが非常に高いです。が、故に、自分のイラストの完成度、情報量との間に大きなギャップを生んでしまいます。そのギャップが、絵としてちぐはぐな印象を与えてしまうことが非常に多いです。野球を始めたてなのに、いきなりアオダモのバットを使ってはいけません。最初はアルミのバットから始めましょう。

合わせて、初心者の内はそれらのエフェクトを「かけすぎてしまう」結果になりがちです。ちょっと絵を描いてる人なら、初心者の絵を見ると、「あー、この人グロー効果かけすぎてんな~」ってすぐわかります。なぜなら、みんなやったことがあるからです。

エフェクトに限った話ではなく、影のグラデーションやオーバーレイなど、とにかく「やりすぎない」事が大事です。「塩コショウを少々」の心持ちが大事です。

⑤上手い人の色をパクれ。

「えっ、他人の色パクっちゃダメでしょ。トレパクとか厳しい世の中だし」

言いたいことはわかる。けど、容赦なくスポイトしてください。

初心者のうちは、そもそも適切な色彩感覚を知りません。その結果、先述の通り金髪にバキバキイエローを使ってしまいます。なのでまずは、プロの使う「黄色」がどんな色なのか知っておく必要があります。

そもそも色については、絵や写真、デザインなどにおいて、比較的明白な理論があります。大体の上手な人は、その理論をきちんと学んだか、無意識でやってる天才さんの二択なんですが、まあ何にせよ定石からは基本的に逸れてないんです。まずはそれを真似して見るところから始めましょう。

「カラーのスポイト」については、トレパク以上に意見が分かれるテーマです。でも僕としては、いつか独り立ちはしなきゃいけないだろうけど、よちよち歩きのうちは真似っこで構わないと思います。あと、こういうこと言ったら怒られるかもしれませんが、正味バレません。


随分と長い記事になってしまいました。僕自身、誰かにモノを教えられるほどの身分ではありませんが、少なくとも上記の全ては自分でやってよかったと思えるものですし、多くの絵描きの方々も肯定してくださるモノであることに違いはありません。

それと、忘れてほしくないのは「まずは楽しむこと」です。それが前提としてあった上で、「より楽しむために、うまくなりたい」、そう思った時に、はじめて技法を見直してみるのが良いでしょう。

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