資金運用を考える3〜資金量

これまでの議論は、資産運用をバランスシートでとらえ、バランスシートの左側の運用サイドと、右側の調達サイドの利回りをそれぞれ考えた方がよい、という内容でした。今回は資金量について触れてみたいと思います。

資金量とはバランスシートの拡大
利回りは単位資金量当たりの期待リターンです。高リターンが期待される資産や銘柄にお金をどれだけ突っ込むか、配分可能なお金の量が多ければ多いほど、成功した時の実額の利益は大きくなります。資金量はバランスシートの大きさで、失敗しなければ大きな金額で投資した方が果実は大きくなります。

お金に色はあるのか?
さて日本人の平均的な貯蓄率を20%、可処分所得を400万円とすると、年間貯蓄金額は80万円です。多いとみるが、少ないとみるかは人それぞれかと思いますが、寿命が伸びても安心の老後を送るためには、資産は多いに越した事はないです。
とすると、資産を増やすには投資原資を増やす事が必要になってきますが、投資原資は自分の給料から捻出できる貯蓄だけでしょうか?借金すればもっと投資を増やす事が出来ますね。
借金して投資する、という行為に日本人は倫理的な罪悪感を感じやすい、とおもいます。私は日本人ですが、そうはおもわないのですけど。リアルな事業をするのに借金をする、資産運用をするのに借金をする。誤解を恐れず言うと、私は両者に違いはないと思うのです。お金に色はない、そう思います。

聖人君子なのか?
金融市場が発展した一つの理由は先物市場の発見と拡大があります。先物市場を使えば価格変動リスクを無くす事が出来るため、先物市場は現物を持っているプレイヤーにはありがたい市場です。そしてヘッジ売りの反対側には必ずヘッジ買いのプレイヤーがいます。裏返せば、ヘッジ買いのプレイヤーがいるからこそ、ヘッジ売りができると言えます。
ではヘッジ買いのプレイヤーのバランスシートを考えてみると、資産サイドは将来手にする現物の価値に対し、負債サイドは先物取引に制度上必要な僅かな証拠金と借入金です。有り体に言えば、借金をして将来時点で現物を買おうとしているのですが、こうしたプレイヤーが不在では先物市場は機能しません

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?