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十割蕎麦

自家製

 時々、家で十割蕎麦を打つ。「打つ」と言っても、手打ちは流石にハードルが高いので、機械打ちだ。使っている製麺機は、日本蕎麦街道の「そば達人」シリーズ(http://www.nihonsoba.co.jp)の家庭用である。現在は業務用しか販売していないようだが、購入したのは12年前だ。蕎麦粉は丸抜きの蕎麦の実からミルで製粉しているので、挽きぐるみである。初期の頃は安い外国産の蕎麦の実を使っていたが、今はもっぱら国産を使っている。加水率40%で水回しをするが、友繋ぎにする時もある(これまでは)。ミル挽き1回で篩をかけていないので、粗い粉がかなり混ざっており、製麺機を1回通しただけでは繋がりが悪い。篩にかければ微粉末だけになり、繋がりは確実に良くなるのだが、面倒なのでやらなくなってしまった。その代わり、製麺機を複数回通すことで繋げるようにした。製麺機から出てきた中途半端な麺をボールに戻して泡立て器で粉々にし、再び製麺機を通す。これを繋ぎ無しの場合は4〜5回、友繋ぎなら3回ほど繰り返すと、しっかりとした麺になる。できた麺には打ち粉が不要だ。茹で時間は麺を投入して再沸騰してから2分にしている。茹で上がった蕎麦は、名店で食す十割蕎麦とは比ぶべくもないが、自宅で食す蕎麦としては中々のレベルだと思っている(腹一杯にもなる)。ただ、数cmに短く切れた麺が結構できてしまうので、最後は笊を丸めて蕎麦猪口にまとめて掻き落とすが、ちょっと美しくない。
 そうやってこれまで来たのだが、最近、繋ぎにガゴメ昆布の微粉末を使ってみた。これが効果大だった。十割ではなくなるが、200gの蕎麦粉に対して小さじ1杯、3gのガゴメ昆布粉末なので、九割八分五厘蕎麦ということになる。繋がりが良くなり(3回製麺機を通すのは変わらなかったが)、かつ茹で上がり時に沢山できていた短い麺が激減、最後まで箸で摘めるようになった。ガゴメ昆布を増やせば、もっと繋がりが良くなると思うが、限りなく十割で打ちたいので、今後はこの方法でいこうと思う。

乾麺

 自家製はやはり手間なので、乾麺を食すことの方が多い。ここ最近は、「山本かじの」の「国産の十割蕎麦」と「元祖十割蕎麦」を好んで買っている。前者はちょっと高いが、細打ちで好みだ。他のメーカーのもそうだが、乾麺の十割蕎麦の茹で方として袋の裏面に書かれているのは、たっぷりのお湯で5分とか6分茹でてから、火を止めて1分あるいは2分蒸らす、というものだ。このメーカー推奨の方法だと、茹で上がりがどうにも粉っぽく、小麦粉入り蕎麦と比べ、優っているのは香りだけで、麺としてあまり美味しくないのだ。これは乾麺の十割蕎麦の宿命だと思っていた。
 ある日、茹で方を変えてみた。沸騰したお湯に麺を入れ、再沸騰したところでトロ火にする。茹で時間に相当する時間まで蓋をせずに放置し(温度は90°Cぐらいで落ち着く)、最後に蒸らし時間に相当する時間だけ再沸騰させ茹でる。この方法で茹で上がった蕎麦は、メーカー推奨方法で茹でた場合よりコシも香りも上で、粉っぽさがかなり低減された(個人的感想)。再沸騰時に麺が鍋の底にくっつき易くなる欠点があるのだが、平たいヘラで底を優しくこそいでやれば問題ない。ファインチューニングはしていないが、基本この方法、言ってみればメーカー推奨の逆の茹で方が十割蕎麦乾麺には適していると思っている。

※ただし、同じ「山本かじの」の「十割そば 芯せいろ」という更科蕎麦は普通に茹でても粉っぽさがない。1袋180gでちょっと少なく、かつ国産蕎麦でないのが残念なところだが。

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