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新コロ注射接種数と陽性者数と全死亡者数 II

2022年7月20日投稿(https://note.com/etangbleu/n/n89b3aac2ac2e)の続編です。

更新(2022/07/30)

PCR検査数と陽性者数について追記しました。

訂正(2022/08/09)

2022/07/30追記の図を修正しました。検査数のカラムに陽性者数を、陽性者数のカラムに検査数をコピペする間違いをやっていました。ただし、結論は変わりません。

都道府県別新コロ注射接種数とPCR検査陽性者数の関係

図1 都道府県別10万人あたりの新コロ注射接種者数および未接種者数と新規PCR検査陽性者数(2022年7月23日時点)

図1は2022/07/20投稿の図1の更新ですが、未接種者数を加え、都道府県名ボックスでプロットしました。横軸が10万人あたりの新コロ注射接種数または未接種者数、縦軸が10万人あたりの新規PCR検査陽性者数で、各都道府県別の2022年7月23日時点のデータをプロットしています。緑ボックスが未接種、オレンジボックスが2回まで接種済(3回目未接種)、青ボックスが3回接種済です。3回接種済では接種率が高い地域ほど陽性者が少ない傾向があります。一方、2回まで接種済では接種率が高い地域ほど陽性者が多い傾向があり、未接種では沖縄を除けば相関無しに見えます。2022年7月現在の陽性者増加には2回まで接種済者が陽性になりやすくなっていることが寄与しているように思われます。(2022/07/30追記参照)

都道府県別新コロ注射接種数と全死亡者数の関係

図2 都道府県別10万人あたりの新コロ注射接種者数(2022年5月31日時点)と2022年5月の全死亡者数

5月の厚労省人口動態統計速報が7月22日に出ました。別投稿の「日本の年間死亡者数と超過死亡数」(https://note.com/etangbleu/n/n3985032f6f41)の追記(2022/07/23)でコメントしたように、今年の5月の超過死亡は過去20年間で最大でした。次に、都道府県別の全死亡者数と新コロ注射接種数の関係を見てみます。図2は、横軸が2022年5月31日時点の10万人あたり新コロ注射接種者数および未接種者数、縦軸が2022年5月の10万人あたりの全死亡者数で、マークは図1と同じです。一見して明らかなように、接種率と全死亡者数の間には3回目接種済では正の相関が認められます。一方、2回まで接種済では負の相関があり、未接種では弱い負の相関ないし無相関に見えます。すなわち、2022年5月時点においても接種率が高い地域ほど全死亡率が高かったということであり、過去20年間で最大の5月の超過死亡に大きく寄与したものと思われます。では、陽性者はどうであったでしょうか。

図3 都道府県別10万人あたりの新コロ注射接種者数および未接種者数と新規PCR検査陽性者数(2022年5月31日時点)

図3は、横軸が2022年5月31日時点の10万人あたりの新コロ注射接種数または未接種者数、縦軸が10万人あたりの新規PCR検査陽性者数で、マークは図1と同じです。2022年5月においては、3回接種済者が多い地域で陽性者が少ないのは2022年7月23日時点と同じですが、未接種率が高い地域では陽性者が多い傾向があります。一方、2回まで接種率と陽性者数は沖縄を除くと相関がほとんどありません5月から7月の間に2回まで接種済の傾向が相関無しから正の相関に、未接種の傾向が正の相関から弱い正の相関ないし無相関に変化したと思われます。2回接種が全国平均で50%を超えたのが2021年9月中旬ですので、それから8ヶ月ぐらいで2回接種の有効性がなくなり、以降は逆に陽性になり易くなったと言えそうです。荒川央さんの6/24の記事(https://note.com/hiroshi_arakawa/n/n269b4f30f138)で紹介されているLancet掲載の論文では接種から8ヶ月後に新コロ注射の有効性がマイナスに転ずるという結果が示されており、上記の傾向変化はこの論文と調和的です。

新コロ陽性になるより死んだ方がマシ?

図2と図3で示されたように、新コロ注射3回接種によって短期的には新コロ陽性になりにくくなる傾向は確かにあるようですが(2022/07/30追記参照)、一方で死に易くなる傾向も明らかです。どうやら日本人の多くは新コロ陽性になるより、注射打って死んだ方がマシと思っているようです。
確かに、新コロ陽性になれば無症状に苦しみ、無症状の後遺症に悩まされる可能性が高く、それは死ぬより恐ろしいことなのかも知れません。それゆえ、死ぬリスクを負ってでも注射を打つのでしょう。

新コロで死ぬリスクもありますが、新コロに罹患して、重症化してICUに入り、最終的に亡くなった方の数はこの2年半余りで2,357人(2022年7月24日現在: https://crisis.ecmonet.jp)、報告率8割のデータであることから推定総数約3,000人です。新コロ死は累計3万人強とされていますが、9割は死んだ時に陽性だっただけで本当の死因は別にあります(https://www.mhlw.go.jp/content/000641629.pdf)。2022年1月〜5月の5ヶ月間の超過死亡は既に46,689人(https://assets.st-note.com/img/1658539726499-rx5552CJcI.png)になっています。

追記(2022/07/30)

PCR検査数と陽性者数

図4 都道府県別のPCR検査人数と陽性者数(2022年7月1日〜7月30日の累積)。ただし、横軸縦軸ともにスケールは対数。

多くの人が認識しているように、検査をやればやるほど陽性者は増えます。図4は、横軸がPCR検査人数、縦軸が陽性者数で、2022年7月1日から7月30日までの累積データを各都道府県別にプロットしています。ただし、両軸ともスケールは対数です。陽性者数は毎日発表があるのですが、地域によっては検査数は数日まとめて発表されていたり、陽性者が検査数より多かったりしているので、1ヶ月の積算による傾向を見ることにしました。検査数と陽性者数は、秋田、宮崎、鳥取を除くと綺麗な比例関係にあることが分かります。次に同じデータを10万人あたりでプロットしてみます。

図5 都道府県別10万人あたりのPCR検査人数と陽性者数(2022年7月1日〜7月30日の累積)

図5の横軸は10万人あたりのPCR検査人数、縦軸は10万人あたりの陽性者数で、図4と同じく2022年7月1日から7月30日までの累積データを各都道府県別にプロットしています。10万人あたりに直してプロットしても、鳥取、沖縄、宮崎が大きくトレンドから外れますが、基本的に正の相関があり、図1や図3で表している10万人あたりの数字は検査数の多い少ないに依存する陽性者数の影響を排除できていないことを意味しています。

図1や図3を適切に補正したいところですが、なかなか難しいと思います(数学は得意ではないということもありますが)。死亡という確実な事象と違って、PCR検査陽性者数は適用しているCt値によって大きく異なり、おそらく地域や検査機関によってもまちまちと思われます。補正はただの数字遊びになってしまいそうです。とは言え一応、図4の回帰直線を基に図1(ただし、2022年7月30日のデータで更新)を単純補正してみたのが図7です。

図7 PCR検査人数と陽性者数の回帰式(図4)を基に補正した都道府県別10万人あたりの新コロ注射接種者数および未接種者数と新規PCR検査陽性者数(2022年7月30日時点)

図7では、図4の回帰式に基づき、静岡を1として検査数が少ない地域の陽性者数を持ち上げ、逆に検査数の多い地域の陽性者数を押し下げる補正をしています。言い換えると、各地域が静岡と同じ検査数だった場合に推定される陽性者数に基準を揃えたということになります。補正の結果、10万人あたりの新規陽性者数の地域ごとの大小が逆転した格好です。すなわち、沖縄を除くと3回接種済が多い地域が陽性者が多い傾向になりました。


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