「クリーム入ってる?」

 甘いものが好きなんですが、今日はそれにまつわる話。友達の家で遊んでて、ビスケットなんかクリームサンドなんかわからんもんを友達が食べてた。レーズンが入ってるだろうことは確認済。ぼくとしては、これは食べるかどうか微妙なライン。レーズンが入ったビスケットなら、ん~どうしよっかなって感じやけど、レーズンに加えてクリームも入ってたら食べてたな。この迷いがあるがゆえに、ぼくが寝転んでたソファからちょっと離れたテーブルに置いてあるそれに手を伸ばすか、めちゃくちゃ悩んだわ。悩んだ末、まったく手をつけてへんかったのね。

 そんなふうに葛藤しとったから、「これ美味しいね」って友達がぽつんと言ってたときもとりあえずさらっと流して、そのあとなんか間ができたときにその友達がなんの他意もなくこっち見てきたから、ぼくも話題に迷ってんけど、葛藤してたからなんやろな、そのビスケットみたいなやつの話題しか選ぶことできへんくって、「それってクリーム入ってる?」って訊いたわ。

 この、葛藤してたがゆえ気になったときに自分から訊いてよかったことをその友達からの目くばせがあったことをいいことに、それに便乗して自分はそれについての質問をしたんや。まずはこれが逃げの姿勢。コミュニケーションコストを払ってない、フリーライダー。

 そしてその質問ね。「クリーム入ってる?」って。ぼくもうすぐ33歳になるひとですよ。なんか一気におもろさがこみあげてきて、めっちゃ笑ってあちこち歩きまわってもーた。ほんま恥ずかしい。そしてこの笑ってた原因が全然伝わらへんかったしな、ニコニコして受け入れてはもろたけども。

 その集まりで、自身のキャラをどう使いこなすか、みたいな話になってんけど、ぼくの場合はひとに甘えるキャラをどう使いこなすかであり、ゲラであるキャラ、珍しい苗字が好きなキャラをどう使うかってこと。ひとに甘えるってことについては、人の家に遊びに行ったときにいかに居座るか。そうしたいって思ってる自分は確かにおって、それを相手に合わせてどう曲げていくのかって話なんですよね。そのときの集まりにおいては、いい意味で、遠慮せんでええひとやと思えたからさ、存分に居座れるなら居座りたいですって宣言して、土曜の夜から翌日のお昼まで居座った。この、許されてる感覚がすでにコミュニケーションなんよなあ。迷惑のかけ合いこそ、ひとが近づく本質な気いする。

 ぼくが言ったことで、ひとの話を聞くっていうのは「深掘りじゃなくて具体化」っていう言語化がさらっと出てきてんけど、これの意味をあとから考えてみた。一つは、深掘りっていうと「あえて」深く掘った感じがするけど、人間って本来深く掘る必要なんてないんちゃうかなって思って。そもそも人間みんな深いねんから、自由に表現できればそれはもう豊かなものなのよって思った。あと、「掘る」ってとこね。掘るって言ってしまうと、掘る側と掘られる側がおるように聞こえる。つまり、聞く側と聞かれる側。これがなんかちゃうなと思ってん。各人が持ってるものがすでに豊かなものなのであれば、その豊かなものをただ俎上に出す。それだけでおもろい対話になるはず。だから、深堀りじゃなくて具体化。誰かが誰かを深掘りするんじゃなくて、一緒に具体化する。

 あとからピンときたの珍しいけど、これはほんまにそう思うわ。

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