制度ができればできるほど、また支援機関が増えれば増えるほど、そこに狭間が生じる、ということです。

 ある市では、CSWが小学校区ごとに配置されています。また、市役所には、消費相談等を含めた、何でも相談ができる「相談室」があります。また、国のモデル事業を受託し、「多機関協働包括化推進員」も活動しています。CSWとは別に、生活支援コーディネーターも認知症地域支援推進員もいます。社協内にはCSW以外にも、別の部署には生活困窮者自立支援の相談員もいます。もちろん、市内には地域包括支援センターも障がい者相談支援センターもあります。

 これらのことから、次のようなことが起こっていました。

・このケースは、CSWに相談が入ったけれど、市の「相談室」で動くべきだから、「相談室」を紹介して、介入しないでほしい。

・このケースは、夫が地域で問題を起こしているが、妻が介護保険サービスを使っているので、地域包括支援センターが対応してくれるだろう。

・このケースは、既に障がい者相談支援センターがついているから、本人からCSWに相談が入っても介入しなくてもいい。

 いろいろな支援機関があるからこそ、「支援の狭間」がうまれる。多くの支援機関が知っているからこそ、誰も主で動こうとしない。

 また、実績つくりのためや、政治的な動きのなかで、誰が困るのでしょうか。大変な思いをしている「相談者」さんです。

 現在、社会福祉法が改正され、重層的支援体制整備事業が新たに位置付けられることとなりました。このような体制が整えられるなかで、このような「支援の狭間」が一つでもなくなることを、願っています。

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