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やなせたかし記念館にいってきた


2023年4月某日

なんのために生まれて
なにをして生きるのか

その答えを探しに
やなせたかし記念館にやってきた。

時刻は16:00。

高知県には
面白そうな場所がたくさんある。
寄り道していたら遅くなってしまった。

記念館前の広場で遊ぶ
子どもたちの笑顔は
オレンジ色に照らされている。

閉館まであと1時間…。

斜め後ろのメルヘン館で
開催中の花村えい子展にも行きたい。

やなせたかしと花村えい子、
30分ずつで足りるだろうか。

どうしよう…。

迷っていると
ダダンダンと目が合った。
紅く光る目ヂカラが強い。

「迷ってる暇はない!行け!!」

ばいきんまんの声が
聞こえた気がする。
子どもたちのあとに続いて
記念館のなかに入った。

入り口横の券売機がある。
迷っていると、係員さんが
どのチケットを買えばいいか
教えてくれた。

「このチケットでメルヘン館の
展示も見られます。
半券を見せれば、どちらも
閉館時間まで出入り自由です。
ごゆっくり」

ごゆっくり…
お気持ちだけありがたくいただく…。

エントランスを見渡すと
お土産を選んでいる大人
アンパンマンの絵本を読む父娘
記念館と公園を往復する子どもたち。

大人も子どもも
思い思いに過ごしている。
こんなにやさしい時間が
流れている記念館、
他にあるだろうか。

まだポルトレしか読んでいないけど
こんな空間を作り出すなんて
さすが、やなせたかし。

あることに気づいた。
記念館や文学館の入口にありがちな
ご本人の写真や略歴がない。
「順路」の矢印や館内案内図もない。

たかしの記念館なのに
たかしの気配が感じられない。
気のせいだろうか。

とりあえず、上の階にいってみよう。

階段を登ると
原画が並んでいる部屋
歴代のアンパンマングッズの展示を
みつけた。
グッズは懐かしいものがたくさん。

でも…
たかしがいない。
たかしはどこにいるのだろう?

原画の部屋の片隅に、
謎の機械が
ひっそりと置かれていた。

アニメ製作に使うものらしい。
アニメ版アンパンマン製作の際、
たかしが実際に使ったそうだ。

ふむ。
アニメ製作にも関わっていたのか。

歩き回っているうちに
見つけた隠れ家みたいな名誉館長室。

ふむふむ。
とても謙虚な人なのかな。

「あの山の向こうに
たかしが生まれ育った村があります」

そう書かれた扉。
開けると
新緑の美しい山々がひろがる。

ふむふむふむ。
生家はもっと先にあるのか。

あの山ってどれだろう。
正確にはわからないけれど
いつかレンタカーを借りて
いってみよう。

…あれ?
これで終わりじゃないよね?

だってここは
やなせたかし記念館。
たかしの人となりを知る資料や
アンパンマン以外の作品も
展示されているはず。
どこにあるんだろう。

下の階にいってみるか。

薄暗い部屋を覗くと
大画面でアンパンマンが
上映されていた。

小さな椅子に腰かけた子どもたちの
真剣な眼差し。

そうだよね。
アンパンマンは
アクションシーンが多いから、
大画面ならより迫力があって
面白いだろう。

その昔、
夕方になると私も保育園の
テレビの前に座って
アンパンマンを真剣に見つめていた。
あの子達のように。

どうしてあんなに
真剣だったのだろう。

子どもたちはアンパンマンの
どこに惹き付けられて
なにを学ぼうとしているのだろう。

たかしだけじゃなくて
アンパンマンについても
調べる必要がありそうだ。

大画面でアンパンマンが楽しめる
子ども専用の映画館みたいな空間、
増えてほしい。

アンパンマンの世界を
体験できる展示の前にやってきた。
時計は16:25。
タイムアップだ。

もっとゆっくり見たかった。
たかしの人生を
知ることができる展示は
あったのだろうか。
それともなかったのだろうか。

新しい疑問を抱えて
花村えい子展に走った。

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