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『Enola Holmes (映画) エノーラ・ホームズの事件簿』

シャーロックが好きな人には、こちらも面白いと思う。しかしファミリー向けとも言えるストーリーで、シャーロック・ホームズのお転婆な妹が活躍する。

失踪した母を探すためにロンドンに向かうエノーラ。道中で出会った若者テュークスベリーも、同様に個性的であり孤独を感じていて、いつしか彼との恋も始まる。母(ヘレナ・ボナム・カーターが演じている)もシャーロックも、そしてエノーラも当時の社会の常識に適応しているとは言い難い性格なのだが、だからこそ普通の人とは違うことを成し遂げられるのだ。

と言うか、この作品の母親とシャーロックは、世間の「常識」と言われる風潮に合わせるのでなく、自身で自分の人生を選んでいけるのだということを身をもって見せてくれていて、それが作品のメッセージにもなっている。

日本は特に、世間の目を気にすること・人からどう見られるかを常に考えることが定着したような社会だと思うけれど、どこの国にでもいるのだ。子の本当の幸せよりも、自分の立ち位置からの「恥ずかしくない親である」という満足感を得ることを(無意識にでも)最優先にしてしまっている親。あるいは自分の傷を癒やすために、子の人生をコントロールしようとしてしまう親。この作品ではもう一人の兄、マイクロフトも同様だ。


シャーロックの役を演じた俳優は何人もいるけれど、このシリーズはシャーロックと兄のマイクロフト共に、前からこの二人は似ているな、と思っていた実の兄弟のような二人が演じている。(こんなイケメンな兄が二人もいたらさぞかし・・・)

左は兄のマイクロフト(サム・クラフリン)
右は弟、名探偵シャーロック(ヘンリー・カヴィル)

と言うかこのシャーロック、胸板は厚いし、やはりスーパーマンの香りがする(笑)。サム・クラフリンは「Peaky Blinders」でもそっくりの口髭の風貌で、似た(意地悪な)キャラのオズワルド・モズレイを演じていたのを最近観たばかりだ。とある「Peaky・・・」のインタビューでは、「僕は実際はいい人間です」と言って皆を笑わせていた。

全体として面白くまとまっていたと思うし、母娘ものには弱いのでウルっときた瞬間もあったのだけれど、主役のエノーラが、度々カメラに向かって話しかける構成があまり好きではなかった。ファミリー向けなら仕方ないか。



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