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雨の日に 3

6/30

コーヒーゼリーパフェとカフェオレが
運ばれてきた。テーブルの角にすっ、と
伝票が置かれる。
まず、パフェを見る。いちばん上に、
バニラアイスのばらが咲いている。
白ばらの横に、コーヒー味のグラニエ。
ゆるめの生クリーム。ウェハース。ミント。
グラニエをスプーンで口のなかへ入れる。
シャリシャリ。舌の上でみぞれになり、
溶けてきえる。ウェハースとミントは、
紙ナプキンの上にとって置く。

たまごのような丸みのある白いカップ。
ソーサーの上にのっている。取っ手は、
やや小さめの灰色。カフェオレはなみなみと注がれている。ゆったり浮かぶ生クリーム。カフェオレを口にふくむとやさしい甘さが
波紋のように広がる。ふう。と息をつく。

パフェに戻る。次の層には、バニラアイス。生クリーム。コーヒーゼリー。
ウェハースにバニラアイスや生クリームを
のせてかじる。サイコロ状にカットされた
コーヒーゼリーは、真っ黒ではなく、黒曜石みたいに艶がある。さらに掘り進めると、
いちばん下、星形のクッキーにスプーンが
あたる。取っておいたミントを、最後に口へ入れて噛む。鼻から爽やかな香りが抜ける。

「おいしかったです。ごちそうさまでした。」
店員さんに伝える。彼女はにこっとして、
空のパフェグラスを下げてくれる。

脇へ置いていた雑誌をまた開き、ページを
めくる。続きを読みながら、時々思い出した
ように、冷めたカフェオレを口から体の中に
送り込む。

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