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王道で行く■□下田コラム□■vol.73

組織文化設計の学校

世の中、多くのハウツー本が出版され、YouTubeでも様々な分野のたくさんのテクニックが紹介されています。

もちろん、ハウツーやテクニックのすべてが悪いわけではありませんが、中には、法律の抜け道などを積極的に紹介しているものもあります。

先週訪問した2社の企業で同じようなことを経験しました。

一つ目は、毎月の定例人事労務会議に出席した時のことです。

今回のテーマは、4月に改正される残業代の割増率変更のことでした。

60時間を超える残業については、2.5割増しから5割増しに変更になるわけですが、これに関して、参加メンバー(役員や人事関連担当者)からは、
「せっかく、残業時間抑制をやってきたのに、60時間以上働いた方が得ではないかという意識が働き、逆効果になるのではないか。理屈では、上司が時間管理をすればいいということが、100%部下の時間をコントロールすることは現実的には難しい」といった意見が出てきて、
会議のムードが、「社員には積極的に60時間超の残業は5割増しになることをアナウンスしないようにしよう」という方向になりかけました。

その時に、その会社の社長が、「うちは王道で行こう」と発言したのです。「何か法律の抜け道を探すのではなく、堂々といこう」と。

「仮に残業代稼ぎのために60時間を超える残業を申請する人もいるかもしれない。そういう人がいても、社内に数人だろう。その人のために、テクニック的なことで残業を抑制するのはやめよう。王道でこの機会に現場の管理職に、なぜ長時間残業になるのかを改めて考えさせ、改善させるべきだ。今回はその良い機会だ!」ときっぱり発言されたのでした。

この発言を受けて、会議の流れが変わりました。

もう一つもやはりある会社の定例人事労務会議に参加していたときのことです。

少し先にIPOを目指しているこの会社では、そのための準備を着々と進めています。その一環で規程の整備も進められています。

担当される方は、IPOという具体的な命題をもらっていますから、どうしても「そのためにどうするのか?」という視点に陥ってしまいます。

今回の会議でもIPOに関連することが議題に上がりました。

その中で社長が「IPOのために何かをやるという発想は捨ててください」とはっきり発言されました。

IPOのために何かをやるのではなく、やるべきことをしっかりとやっていたら、IPOの時に問題にならないはずだ。だから、IPOのために仕方なく形だけ整えるのではなく、これを良い機会に本当に組織をよりよく機能させるために必要な内容で規程を整備してください」と話したのです。

私は、このお二人の経営者のあり方に感動しました。

一見、当たり前のことを言っていますが、現場を多く見る私からしたら、それがとても大変なことが理解できているからです。

口で言うのは易し。行うのは難し。」だからです。

よって、多くの企業、経営者が、王道ではなく、何か抜け道はないかと探してしまいます。

そんな中で、「王道の道」をしっかり社員の前で発言される姿は、迫力があり、また、人の心を熱くさせるのだと思ったのでした。

経営者のあり方が会社のムードを作り、それが会社の方向性を決めるのですね。


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