SNS時代の私たちが政治家のみなさんに望むこと

 まずはじめに、私は特定の政党を熱烈には支持していません。また、この記事では現政権の評価については扱いません。

 この記事に書かれているのは、以下の素朴な疑問の、私なりの回答についてです。

 なぜ、現政権はずっと続いていて、(最近さすがに陰りが見えてきたとはいえ)若年層の支持率が高いのでしょうか。

 そして、なぜ野党の政治家のみなさんは若年層の支持を得られないのでしょうか。

 Twitterでよく見かける意見としては、「他に政権を任せたいと思う政治家(政党)がいないから」というものです。

 では、なぜ私たちは他の政党に政権をお任せする気にならないのでしょう。そして、いったいどうすればお任せする気になるのでしょうか。

 私はこれらの疑問について考え、以下のように言語化してみました。むちゃくちゃ普通の話で恐縮ですが、おそらくこれですっきりと説明できるはずです。

 いきなり結論ですが、それは他の政党の政治家のみなさんが「自分たちがいかに優れているか」を具体的に説明してくれないからです。

 高齢者の方(現在では後期高齢者にシフトしているでしょう)に議員さんのことを”先生”と呼ぶ文化がある(あった)のはご存知でしょうか。そう、昭和以前の政治家のみなさんは、いまよりずっと”偉かった”のです。

 もちろんこの場合の”偉い”とは、政治家のみなさんが国民のみなさんよりも”階級が上”ということではありません。簡単に説明します。

 まず、私たちが住んでいる日本という国は”間接民主制”、つまり、「自分たちの代わりに政治を行ってくれる人材を投票によって決定し、決定された人材にその権限を与える」というシステムになっています。

 私たちの代わりに政治について話し合う”議会”に出てくださるから、政治を行う人のことを”代議士”、と呼ぶわけです。

 代議士のみなさんのお仕事は、市町村、都道府県および国家の運営です。

 運営する、つまり、滞りなく営みを運ぶために議会で話し合いを行い、政策や法案を決定していきます。

 昭和以前の代議士のみなさんの権限はなかなかのもので、地元の有力者の求めに応じて未整備だった場所に線路を通し駅を設置したり、公共施設の建設を行うことで具体的に”有能さ”を示すことができました。

 つまり、昔の政治家のみなさんの”偉い”というのは、スポーツで言うところの”ファインプレー”に近いニュアンスだということができるでしょう。

 ”ファインプレー”を連発するスポーツ選手が尊敬を集めるように、地元を活性化させる”有能さ”を示し続けた政治家はあらゆる世代から”先生”と呼ばれ尊敬されました。

 しかしそれは、その頃の日本が未開拓、かつ伸び盛りで、”大きい政府”だったからです。

 現在の日本は緊縮財政、無駄(”ゆとり”とも言えます)を可能な限り削って公的機能の民営化を進める方針ですから、”小さい政府”を志向していると仮定してよいでしょう。

 このような状態で当時のような形で能力を示しても、国民のみなさんはそれを”有能である”と見做さず、あまり感謝してくれなくなりました。

 時代に合わせた、違った形で”有能さ”を示してくれれば良かったのですが、残念ながら現在の政治演説・政見放送のほとんどは”実現不可能な公約”か、”現政権の批判”に終始してしまっています(少なくとも、そのように見えてしまっています)。

 ”公約”とは”公に行う約束”のことですから、それを利用して支持を集め当選した場合、当然、任期中は最大限守る努力を求められます。

 しかし、残念ながら政党が掲げる公約というのは、国民の納得を得る形で達成された記憶がいつだったか、思い出せないほどに形骸化してしまいました。

 ”マニフェスト”=”具体的な目標と期限および財源を設定した政権公約”という、本来ならば非常に重たいはずの言葉が、冷笑と共に口にされるようにまでなっています。

 ”現政権の批判”についてはどうでしょうか。

 私は主にTwitterの”オタク”と呼ばれる界隈に生息しているのですが、そこでは以下のようなツイートをよく見かけます。

「自分の好きなものを褒めるときに、他のものを比較対象として持ってきて”下げる”のはお行儀が良くないです。むしろ、”そんな人に好かれる程度の作品”として株が下がります」

 そうなのです。「私の好きな素晴らしい◯◯に比べて、✕✕は全然ダメ」という論法は、”褒める能力が低い”、”✕✕という作品を好きな人から無意味に反感を買う悪手”と見做されます。

 そもそも、その論法は「◯◯より✕✕がマシ」という情報しか伝えていません。そんなことを言うくらいなら、「◯◯はこのように素晴らしいと思うし、そんな◯◯が私は大好き!」というアピールの方が遥かに支持を得ることができるはずです(SNSで”自分の思ったままを好きに発言すること”の是非についてはここでは触れません)。

 さて、政敵の無能をあげつらう形で行われる現政権の批判も、これとまったく同じ構造を持ちます。

 つまり、政敵の無能をあげつらう事で、「これに比べれば私たちの方がマシではありませんか?」というアピールの方法を採っているわけです。

 ですが、残念ながらこれは悪手です。

 なぜなら、私たちが政治家のみなさんに望んでいるのはただひとつ、”国民にとって有益な行動”だからです。

 ですから、政治家のみなさんがネット社会で支持を得ようと思った場合、「自分(たち)が具体的に、実現可能な目標・期限・財源をはっきりさせた政策を約束し、それを履行」してさえくれれば良いのです。

 にも関わらず、SNSで毎日のように現政権の批判や非難を行う姿に、私たちはかなりうんざりしています。政治家のみなさんが国民から問われているのは、「それで、あなたには何ができるの?」ということなのです。

 いわゆる”普通”の感覚を持っている人が政治家のみなさんに期待していることは、国民生活を豊かにし、私たちを幸せにしてくれることです。

 そしてそれは実現不可能な大風呂敷ではなく、具体的な”納期”を示せる短期目標で充分です。いいえ、短期目標でなければならないのです。長期目標を提示する場合は、それを達成するための手始めに行う、具体的な短期目標の連続として分解して示すべきです。

 山田太郎議員がネットのオタク層の支持を集めて当選したのも、山田氏が実現可能かつ短期で達成できる公約を具体的に示して守ったこと、そして現在も守るべく努力を続けていることをSNS上で効果的にアピールしているからです。

 くわえて言えば、短期実現可能な公約を守るという説得力さえ持つことができれば、かなりの票田が見込めるという前例とも言えます。

 政党に所属する議員のみなさんそれぞれが、短期で達成できる小さな公約を叶え続けててくれれば、現政権をまったく批判することなく、自動的にその政党の支持率は上がるはずです。

(これは必ずしも”100%の達成”を意味しません。全力で挑戦して失敗した、その失敗の理由もまた具体的に語り、かつ別のアプローチを示してくれさえすれば良いのです。)

 そうすれば、必ず政権が取れます。

 というよりも、もし本当にそんな政党が誕生したならば、私たち国民に他の選択肢など考えらるはずがありません。

 綺麗事や理想論だと思うでしょうか。

 ですが実際には、この流れはこの先ますます加速する、と私は考えています。

 なぜなら、SNS社会に生きる私たちは、実感として”バズる”ことの威力、そのプラス面とマイナス面を毎日見て知っているからです。

 SNSでは良いことも悪いこともあっという間に広がって”バズり”ます。そして、話題のサイクルは極端に短い。

 まず考えられるのは、今日のことが明日には忘れられる時代に、長期目標を大看板に据えるのは効率が悪いということです。

 ですが、繰り返し良い実績・良い評判が流れてくる人物は、私たちの中に確実に信用の貯蓄を作ります(たとえば、いま最も評判の良い人物はYouTuberのHIKAKIN氏でしょう)。

 そして、私たちは良い評判を積み立てた人物のことをおおむね好意的に感じます。その好意が未来の票田につながることは想像に難くありません。

 好意による投票をポピュリズム(ここでは”キャラクター人気投票”くらいの意味)と批判する人もいますが、逆に言えば、昭和以前のような分かりやすい”有能さ”を示すのが難しい現在、好意による投票くらいしか判断基準はありません。

 そして、もっとも持続する好意とは、実績によって積み上げられたもの以外には有り得ないでしょう。

 私は最初に「特定の政党を熱烈に支持していない」と書きましたが、おそらく現代日本の有権者の大半はそうです。はっきり申し上げて、私たちを幸せにしてくれそうなら誰でも構いません。

 ですから、大小関わらず地に足のついた短期目標を次々に達成する政治家が現れれば、簡単に鞍替えする自信があります。

 ”選挙戦”という言葉がありますが、戦において最上の策というものは、敵を味方にすることだとよく言われます。他の政党支持者は敵ではありません(だって国民ですからね)が、好意を得れば味方に引き込むことはできるでしょう。

 以上、こんな感じで私の思う”普通”の感覚を言語化してみました。

 何度も繰り返しますが、特定の政党に肩入れするものではありません。私は、私たちは、私たちを幸せにしてくれる政治家の味方になりたい。それだけです。

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