【EDH・統率者】《ラサード・イン・バシール》と《病毒のドレイク》【MTG】

 相性が良すぎて殺意高くなーい? という話。
 《病毒のドレイク》というカードがある。

 4マナ1/4で飛行を持ち、更に感染と4マナで増殖を行う能力も持っている。
 デザインとしては、飛行という回避能力を活かして対戦相手に毒カウンターを与え、増殖でじわじわと敗北に近づけさせるというものだろう。
 しかし、《ラサード・イン・バシール》のような、パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを与えるデッキだと話が変わる。

 パワーではなくタフネスで戦闘ダメージを割り振るということは、《病毒のドレイク》は4マナで実質4/4の感染持ちクリーチャーと化す。飛行という回避能力も相まって、戦闘ダメージを与えられる可能性は非常に高い。更には自前で増殖できるので、2回も戦闘ダメージを与えてしまえば1人を確実に倒すことができる。強い。
 強い……が、逆に言うと《病毒のドレイク》は《ラサード・イン・バシール》のような、パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振るメカニズムと相性が良すぎる。
 その上で、あくまで戦闘を介さなければならないので、EDHという多人数戦のルールと微妙に噛み合っていないのではないか? と思う。
 先に述べたが、2回も殴れば1人を毒殺できるということは、裏を返せば2回殴って1人しか落ちないということだ。殴り合いが発生するレベルのEDHでは1人ずつ脱落していくのも珍しい光景ではないが、次に脱落するのが自分だと分かり切っている状況でその原因を放っておくわけがない。必然、《病毒のドレイク》は除去されたり、あるいはコントローラーである自分自身に苛烈な攻撃が飛んできて脱落する。結果的に無駄にヘイトを上昇させ、1人脱落させるのが限界というパターンが多い。
 もちろん、2回も殴らずとも《金屑ワームの鎧》や《ストーンスキン》、のようなタフネスを上昇させるカードで、タフネスを10以上にしてしまえば1回の攻撃で1人脱落させられるため、キルターンは大幅に減少する。できることならこのパターンを用いて速やかに3人を脱落させたいが、殴らなければならない以上、対処の時間を与えてしまうことは如何ともしがたい。
 さらには起動型能力で増殖が行えるというのも妙にヘイトを上昇させる一因だ。もしかしたら突然、毒カウンターを与えてきて増殖で毒殺してくるかもしれない……という疑念を対戦相手は当然抱く。《病毒のドレイク》の増殖能力は起動に4マナを必要とするので重いが、マナさえ払えればいくらでも起動できるため、《満潮》あたりで大量にマナを確保してから毒殺できないこともない(実際にはそんな枠はないのだが)。

 とまあ、《病毒のドレイク》は《ラサード・イン・バシール》デッキにおいて非常に相性の良いカードであるのだが、毒殺というメカニズムを噛ませる関係で、多人数戦での採用はリスクとリターンが釣り合っていないように思える。
 飛行クリーチャーで、感染による毒殺が狙えて、ついでに増殖も行えるという非常にハイスペックなカードなのだが、それ故にその能力がフルに発揮できる《ラサード・イン・バシール》デッキではヘイトの上昇によって出すだけ損をしがちだ。
 ともあれ、ヘイトの上昇なんて気にしないという場合や、政治的駆け引きがうまい人であれば《病毒のドレイク》をうまく扱えると思うので、採用してみてはいかがだろうか。

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