【MTG】《堕落した多相の戦士》の可能性
モダホラ3! すごい! 本当にすごいんだ!
モダンホライゾン3の情報がぽつぽつと発表され始め、またモダンが激変する時期が来たのか……と遠い目で公開されたカードを眺めていると、《堕落した多相の戦士》が目に入った。
戦場に出るに際し、P/Tを規定する、《原初の土》型のクリーチャーである。
元ネタと同じく4マナで欠色により色を実質的には持たないが、唱えるのには青マナが必要で、一見すると元ネタよりも使いにくそうに思えるが、選べるP/Tのサイズが元ネタよりも大幅に強化されている。
古来より、アーティファクト・クリーチャーは色を持たない為、能力を持たない、いわゆるバニラ・クリーチャーと同じサイズにしてしまうとそれらよりも優先してデッキに採用されうるという懸念から、露骨にマナ・コストに対してのサイズが小さいことが多い。《原初の土》もそれに漏れず、4マナ払って2/2飛行か、3/3バニラか、1/6防衛と、どれも色がついていれば1マナ以上軽いサイズだ。状況に応じてサイズを可変できるという点は強いが、現代MTGでは4マナも払って出すカードでもない。
では《堕落した多相の戦士》はどうなのかというと、3/3飛行、2/5警戒、0/12防衛と青マナが必要になった途端、各種サイズが大幅に上昇した。
……いやまあ、モダン以下の環境で4マナ払ってこのサイズかよという突っ込みは当然あるだろうが、待ってほしい。
そりゃあ3/3飛行は1マナ3/2飛行の《秘密を掘り下げる者》と比較して4倍重いし、2/5警戒も一般的な4マナの生物と比較すると打点が低いかもしれない。
しかし、青の4マナ0/12防衛は今までの常識をひっくり返しているのだ。
伝説性がないだろ! という反論は置いておくとして、《怒り狂う島嶼、キャリクス》にはなく、《堕落した多相の戦士》にあるものがある。
防衛だ。
そう、《堕落した多相の戦士》は防衛を持ち、4マナで2桁のサイズを持つクリーチャーなのである。
ちなみに前例としては4マナ0/13防衛の《解放の樹》と《地獄の樹》がいるが、それらは緑と黒で、《堕落した多相の戦士》はコモンであるということを考慮願いたい。
防衛というデメリットを持っているのならサイズがあっても壁にしかならないのでは? と賢明な諸兄らは思うだろう。
しかし、MTGには防衛を持つカードに関連したメカニズムがある。
名を重厚/Backboneという。
これはパワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振るというもので、古くは《包囲の塔、ドラン》、現代では《床岩の亀》まで続くメカニズムだ。
そしてこの重厚では防衛を持っていることを参照するカードがある。
《策略の龍、アルカデス》だ。
防衛を持つクリーチャーを戦場に出すと1ドローでき、防衛を持つクリーチャーを防衛を持たないかのように攻撃に参加させ、更にはタフネスで戦闘ダメージを割り振らせる。
この《策略の龍、アルカデス》を用いたデッキにおいて《堕落した多相の戦士》は新たな戦力となるのだ。
先に挙げた他の4マナの高タフネス・カード群――《怒り狂う島嶼、キャリクス》、《解放の樹》、《地獄の樹》――で《策略の龍、アルカデス》に素直に入れられるのは防衛を持ち、アルカデスと色が合う《解放の樹》のみである。そこに《堕落した多相の戦士》が加わったのだ。これは有難いことである。
……もっとも、《堕落した多相の戦士》が加わったとて、《策略の龍、アルカデス》デッキを組むに際して4マナのカードが渋滞しすぎるとか、3マナ0/8飛行被覆防衛の《否定の壁》の方がアルカデスとマナ域が被らないとか、欠点はいくらでも挙げられるのだが。
実際、モダホラ3というセットの印象からモダンでの活躍を考えがちだが、おそらく《堕落した多相の戦士》の真の活躍の場は《策略の龍、アルカデス》を統率者に据えたEDHデッキである。
EDHでは防衛を持ち、優秀なクリーチャーはいくらあっても困らないので、新たな戦力として歓迎できる。基本的には1つの形態しか選択しないだろうが、状況次第では他の形態も役に立つかもしれない。
個人的には現状、《策略の龍、アルカデス》のデッキには《野生のつがい》という戦場に出たときのサイズを参照してライブラリからクリーチャーを引っ張って来れるカードを採用しているので、その点でも《堕落した多相の戦士》には期待している。
ちなみに、過去に《原初の土》のリメイクとして《原初のプラズマ》という青くなった《原初の土》が存在し、《堕落した多相の戦士》の登場によってその存在意義が完全になくなってしまったので誰か救ってあげて欲しい。
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