【EDH・統率者】《合鍵》で低パワーのクリーチャーをブロックされなくしよう【MTG】

 《合鍵》というカードがある。

 1マナの装備品で、装備先のクリーチャーに潜伏を持たせ、戦闘ダメージを与えるたびに1枚引いて1枚捨てる、いわゆるルーティング能力もついている。
 潜伏とは、それを持っているクリーチャーよりもパワーの高いクリーチャーにブロックされなくなる能力で、例えば、パワー1のクリーチャーであればパワー2以上のクリーチャーにブロックされなくなるというものだ。
 この能力はパワーが高ければ高いほどブロックされやすくなり、いい塩梅の回避能力として機能するかをWotCの開発によってテストされていたのだが、結局デザインの幅が狭いということで大々的な使用は初出の「イニストラードを覆う影」ブロックの2セットに留まっている。
 通常、クリーチャーが持っている回避能力である潜伏だが、《合鍵》は装備品なので、装備先に潜伏を持たせられるという点で柔軟性が高い。この柔軟性をどう生かすべきか?
 先に述べたように潜伏はパワーが低いほど回避能力としての信頼性が上昇していくので、パワーの低いクリーチャーに装備するのが良いだろう。
 ブロックされないということは、戦闘ダメージを与えるか、ブロックされないことで誘発する能力を持っているクリーチャーと相性が良い。例えば、《残虐の達人》のような。

 《残虐の達人》はパワーが1と低く、ブロックされないたびに防御プレイヤーのライフを1点にする。接死と先制攻撃を持っており、1対1ではまず負けないが、パワーが1のため、複数体にブロックされると負けてしまうことがある。
 そこで《合鍵》を装備すれば、パワー2以上のクリーチャーにはブロックされなくなり、複数体のブロックで相打ちしようにもパワー1以下のクリーチャーが4体必要になるのだ。相手が相打ちを狙わないのであれば先制攻撃と接死の組み合わせでほぼ確実に戦闘に勝てるのも非常に頼もしい。
 このように、強烈なメリットの代償にパワーが低いタイプのクリーチャーは《合鍵》による潜伏の付与で化ける可能性が高くなる。固有色に青や白を含むデッキであれば回避能力を持たせることは比較的容易だが、それ以外の色では難しいことが多い。しかし《合鍵》なら無色なので、固有色に左右されずにデッキに入れられる。おまけにルーティング機能もついているので手札の質を高めたり墓地を肥やしたりもできるのだ。
 《合鍵》、延いては潜伏の欠点としては、潜伏という回避能力が有効に働く範囲が狭いという点だ。
 先述の通り潜伏は、パワーが高ければ高いほどブロックされやすくなる能力である。そのため、パワー3ともなれば結構な数のクリーチャーにブロックされやすくなり、回避能力としての信頼性が落ちてしまう。先に挙げた《残虐の達人》のような低パワーだがブロックされなかったときのメリットが大きいクリーチャーに装備するならともかく、他のパワーの高いクリーチャーに装備しても実質ルーティング能力しか機能しないということになりがちだ。
 一応、MTGには「パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る」メカニズム、通称、重厚/Backboneというものも存在し、タフネスで戦闘ダメージを割り振る都合上、パワーが1以下であるクリーチャーを採用しやすく、それらを用いたデッキでは潜伏が事実上のアンブロッカブル付与になったりする。
 しかし、そうでないデッキで《合鍵》を活かすには一工夫が必要だ。
 一応、ブロックされやすいというだけで、自身のパワーよりも大きなクリーチャーにブロックされないことには変わりないので、大体同じサイズのクリーチャーとの戦闘にはめっぽう強いが大型になると弱いと言った部類のクリーチャーに装備するだけでも十分有用である。例えば、先制攻撃持ちなどはよほどのことがなければ戦闘で負けることはなくなるだろう。
 潜伏は、失敗デザインに半分片足を突っ込んでいるような存在ではあるが、その挙動自体は面白く、可能性を感じるので、この挙動に何かを感じたら《合鍵》共々触れてみてくれれば幸いである。

 ちなみに、この「自身よりも大きなパワーを持つクリーチャーにはブロックされない」という挙動は指輪所持者も持つため、《合鍵》でなくとも良いし、なんなら青や白以外でも指輪があなたを誘惑するカードで同じことができる。

一番最初に得られる

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