【MTG】重厚のカラーパイはどこへ向かっていくのか
カラーパイとはMTGに存在する5つの色、その各色ができること、あるいはできないことの分布を示す概念である。
以下は重厚(パワーではなくタフネスで戦闘ダメージを割り振る能力)の元祖となるカード、《包囲の塔、ドラン》だ。
のちのアブザンカラーと呼ばれる白黒緑のカードで、この時点(2007)で重厚能力のカラーパイはこの3色に分類されていたと言って良い。
次に重厚能力を持ったカードが《突撃陣形》である。
いきなり緑単色となり黒と白の霊圧が消えたが、色的には、同ブロック(この時はまだ3ブロック制)のアブザン家(白黒緑)とそこから変化した龍王ドロモカ(緑白)のシナジーを見込んでデザインされたであろうことから、カラーパイに大きな変化はない。むしろこのカードの存在から第一色(他の色と比較してそのメカニズムを1番得意とするべき色)が緑であると定義されたと言っても良い。
その証拠に次に出た《好戦的なブロントドン》は黒要素を一切含まない色である。
イクサランの恐竜は白赤緑の3色に存在しており、黒は影も形もない。
しかし《突撃陣形》と異なり2色であることから白が重厚の第二色あるいは緑と同じく第一色なのだろうかと個人的に予想していた。
次に出たカードの存在から、ある意味、それは当たっていたと言える。
3色目が黒ではなく青のカードが刷られたのだ。
《策略の龍、アルカデス》が刷られた基本セット2019はエルダードラゴンをリメイクしたサイクルが存在し、アルカデスもその1枚だ。
旧来の《アルカデス・サボス》がタフネスを増強させる能力を持っていたために重厚能力と紐づけられたのだろうが、ドランを覚えているPWとしては重厚のカラーパイに突然青が生えてきて、やや混乱したのを覚えている。
とはいえ、《突撃陣形》の時点でカラーパイとして順守すべき色は緑だけにそぎ落とされていたし、直前に緑と白のカードがあったのだから、そこに青が追加されても特におかしくはない。
アルカデスは3色のクリーチャーなので重厚能力のカラーパイは緑と白で、青はドロー能力に振られているのだろうと思い直すことにした。
《厳戒態勢》が印刷されるまでは。
驚きの一言である。
今まで第一色だと思っていた緑が排除され白と青だけで構成されている。
アルカデスの出現によってカラーパイが変更され白と青が第一色になったのだろうか?
直後の灯争大戦で緑と白の混成カードとして《太陽の義士、ファートリ》が刷られているため、それは否定できそうだ。
ここから読み取れるのは、この時点では緑と白と青が重厚のカラーパイの主要な色になっているということだ。過去《包囲の塔、ドラン》1枚にしか使われていなかった黒は完全に死んだと言って良い。
ただ、これ以降、青も若干重厚のカラーパイとして怪しくなっていく。
《神盾の海亀》や、《怒り狂う島嶼、キャリクス》のような重厚と相性の良いカードは数枚刷られたが重厚能力を付与するカードは緑と白のみだ。
この時期の重厚付与カードはオーラばかりなのが非常に使いにくかった……。 そして「イニストラード:真紅の契り」にて久しぶりにオーラでない重厚カードが印刷される。
このカードのデザイナーは2013年とか2007年からタイムスリップしてきていらっしゃる?????
まさかの黒復活である。
《突撃陣形》→《策略の龍、アルカデス》→《厳戒態勢》と来て重厚能力のカラーパイとして完全に死んでいた黒が、何故か2021年に復活した。
確かに《厳戒態勢》以降、青を含む重厚カードが印刷されていないため、青は重厚のカラーパイとして死んだと見なしてもいいかもしれない。
だからと言って黒が復活していい理由にはならないだろ。
何故、緑単色や白混じりでなかったのかと言えば、ドラフトの際に指針となるアンコモンとして印刷されたのが原因なのだがそれにしても黒である。
白と言えばサリア、青と言えばデルバーのイニストラード次元でデザインされてしまったばっかりに……。
ともあれ、ドランのことを忘れてませんよ? と言わんばかりの黒の復活により、現在重厚のカラーパイは緑と白が第一色、黒と青が第二色……なのではないかと推測される。
サイクルの都合で5色に跨る能力はあれど、特定の色以外の4色に跨る能力は重厚くらいではないだろうか。
もうここまで来たら賛美みたいに赤にもくれよ!
そう思っていたが、2023年9月現在、《古きもつれ樹》以降に印刷された重厚カードは白か緑(あるいは無色)である。
やはり重厚のカラーパイの第一色は緑と白であり黒や青はカードデザイン(と言う名のその時の気分)の都合で追加されるもののようだ。
じゃあ《古きもつれ樹》が黒である必要なかったよね?????
青に寄ったり黒に寄ったりと忙しい重厚のカラーパイだが、いっそのこと赤にも寄って欲しいと私は思っている。
先述の通り、《好戦的なブロントドン》がいたイクサランでは恐竜の色は白赤緑であり、赤に重厚を渡す機会としては十分な理由が存在する。まあ、赤は頭でっかちの色だけど。
赤にもタフネスが高いクリーチャーは多く、壁も存在する。それらを活躍させてあげたいのだ。
願わくば、来たる新イクサランで、灯を失った白赤緑の《厳戒態勢》内蔵ファートリが来ることを祈っている。
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