【MTG】重厚デッキと《落第への恐怖》【スタンダード】

 やっぱり厳しい。
 《落第への恐怖》というカードがある。

マナコスト以外は強そうなことが書いてある

 青の5マナ2/7のクリーチャー・エンチャントで、自身が戦闘ダメージを与えるたびにその点数分カードが引ける。通常であれば2/7なので2枚のカードが引けることだろう。
 ところでMTGには「パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る」メカニズム、通称、重厚/Backboneというものがある。
 この重厚の影響下では《落第への恐怖》は実質7/7となり、ドローできる枚数も7枚に跳ね上がる。そう思うと途端に強そうではないか。
 現在のスタンダードにはクリーチャーを重厚にするカードが2種あり、辛うじてデッキが組めなくもないが、現状4/6という、それ単体で十分に活躍できるスペックの《肥えた緑甲羅》に頼っている状態だ。

強い

 パワーで殴って勝てるカードを採用するなら、それで殴ったほうが圧倒的に早いので、わざわざクリーチャーを重厚にするカードなど入れる意味はない。そのため低パワー高タフネスのクリーチャーのみを採用するのが重厚デッキの基本的な在り方なのだが、アドバンテージを稼げるカードは大体パワーのほうが高いか正方(P/Tの左右の数値が等しいこと)なので、妥協して《肥えた緑甲羅》を採用せざるを得なかった。
 そこに現れたのが低パワー高タフネスの《落第への恐怖》である。《肥えた緑甲羅》と色は違えど同じ5マナでドローができて、しかもキャストしやすいシングルシンボルだ。
 ある部分を見ないように、考えないようにしながら早速《肥えた緑甲羅》と《落第への恐怖》を入れ替え、実戦に投入してみた。
 結果はもちろん、駄目だった。
 見ないように考えないようにしていた当初の予想通り、ETBで実質ドローと、戦闘ダメージを与えてドローではテンポに天と地の差がある。
 重厚でなくとも攻撃が通れば最低2枚ドローが保証されているのは偉いのだが、そもそも攻撃が通らないのではドローはないも同然だった。
 特に戦場が膠着している状態だと手札にクリーチャーさえあればリソースを増やせる《肥えた緑甲羅》のほうが圧倒的に強い。
 《落第への恐怖》の攻撃を絶対に通すためにパワー2以下のクリーチャーをブロックされなくできる《脱出トンネル》の採用も考えたが、そこまで《落第の恐怖》にデッキを寄せたとしてもそれで勝てるわけでもない。さらに言えばブロックされない能力を使うにはマナが出せない土地である《脱出トンネル》を土地のセット権を使って置かねばならず、その分《落第の恐怖》を着地させられるまでのターンが伸びるという微妙なディスシナジーも看過できなかった。
 もちろんこの辺りの欠点を考慮してデッキを組みなおせば《落第への恐怖》でアドバンテージを稼ぐデッキは作れるだろうが、《落第への恐怖》は単体で勝てるカードではないため、結局のところデッキを大きく崩さずに単体で機能する《肥えた緑甲羅》のほうが現状のデッキに採用するには有用だと言わざるを得ない。
 少なくとも、スタンダードで《落第への恐怖》を活躍させるのは難しそうだ。
 あるいは、最悪、《肥えた緑甲羅》と併用してしまうのも手か。
 《落第への恐怖》は《肥えた緑甲羅》の能力を誘発させるP/Tをしている上に《落第への恐怖》によるドローへの圧をかけられればなかなかいい感じだろう。
 もっとも、両者とも5マナという重さなので両方採用するとマナカーブが歪な感じになってしまうのだが……。

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