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ミロ展 日本を夢みて/(愛知県美術館2022.4.29-7/3)感想


《絵画(カタツムリ、女、花、星)》1934年


ジョアン・ミロの絵が可愛いのはなぜか。謎の生き物たちのユーモラスな造形だけではない、なにか、形象が重なる部分の処理が効果的であるように思える。例えば《絵画(カタツムリ、女、花、星)》の以下の部分など。

《絵画(カタツムリ、女、花、星)》1934年、部分

右側に立つ人物(?)の輪郭線を上から下に、赤、黒、茶色となぞっていくと微妙に不連続になっている。後から着色したため?形象が重なる部分の輪郭線がたどたどしく揺らいでいる。ミロ作品のありとあらゆるところに多発している処理。左側の人物の腰にあたる部分と言えばいいか、そこでも輪郭線は色面に沿って揺らぐ。例えば、右足(?)内側の輪郭を下から上へ、黒、赤、黄、焦茶の曲線へ、赤、そのまま左足内側を下に辿って、黒。色が変わるたびに輪郭線はぶつぶつ切れる。

《絵画(カタツムリ、女、花、星)》1934年、部分

多分これが滑らかに繋がった線だったら、形象全体がもっとフラットな同一平面上にある感が強まりそうなものだが、そうはならず、一つ一つの色面がごく僅かに揺れる。それが画面全体に不思議な愛らしさをもたらしていると思う。

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