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日本航空(JAL)派になった理由

年間50回以上飛行機に乗っている私は元々ゴリゴリの全日空(ANA)派だった。

何故かというと、2003年にTBS系列の日曜劇場枠で放映された「GOOD LUCK!!」にハマったからだ。木村拓哉演じる新海副操縦士と堤真一演じる香田キャプテンのコンビ、ANA B747-400のジャンボジェット、そしてクライマックスシーンに流れるテーマ曲「DEPARTURE」。全てが素敵でこれぞANAという感じだった。(全日空の搭乗音楽はDEPARTUREにしてほしいくらいだ)

恐らく「GOOD LUCK!!」を超える飛行機ドラマは出てこないと思っている。ドラマが流れたのが17年前。放送後にはANAなど航空業界への就職希望者が急増する現象が起きた程だ。しかしその「GOOD LUCK!!」に憧れてANAに入社した世代が今は機長になっていると考えると感慨深い。

というわけで基本的に飛行機に乗る時は自然とANAだし、アメリカ国内を移動するときはユナイテッド航空を使っていた。東南アジアも基本的にはスターアライアンスしか乗らず、出張でも飛行機の規定はなかったのでANAを使っていた。

新しく入社した会社では、海外出張の際はJALが指定されていた。なので私は2016年に初めてJALに搭乗した。2016年はバンコクとホーチミンに1回ずつJALで飛んだ。ただ基本的には入社した後もプライベートはANAを使っており、特に理由はなく、俺はANA派だ。と思っていた。

そんな中2017年、出張が入り上司と共にJALで九州に飛んだ。帰りは07月23日 JL 332便 福岡-羽田便。羽田に到着が22時35分というナイトフライトだ。自腹でクラスJにアップをし、1000円でこんな前の方に座れるのかと感動していた。当時AirPodsの様な両耳独立型のワイヤレスイヤホンを付けていた私は、飛行機に乗り、離陸前に爆睡。着陸まで1ミリの動きも見せずに羽田空港へとランディングをした。その時、着陸の振動で左耳につけていたワイヤレスイヤホンが吹っ飛んでしまったのだ。ただ着陸した後に近くを探せば見つかるだろうなんて考えていたが、見当たらない。諦めるか。いや、でも高かった。ただこんなことで客室乗務員さんの手間をかけさせられるか。いやでも買って間もないイヤホンだ。惜しい。どうする。。と葛藤する私。

その怪しい挙動に気付いた客室乗務員が話かけてきた。

「どうかされましたか?」

「いや、大したことじゃなくて、、、耳につけていたイヤホンが着陸の衝撃で吹っ飛んじゃって。お騒がせしてすみません、まあでも大丈夫です!」

そう言ったものの、全乗客が降りるまで待っててほしい旨を伝えられ、CAさんを総動員して探してくれたのだ。本当に地べたに膝をついて、顔を地面に近づけながら椅子の下などもくまなく探してくれた。私も一緒に探したが、イヤホンは見当たらなかった。折り返し便がないとは言え、夜も遅く、申し訳なくなった私は「本当にもう大丈夫です!」と伝えたがそれでも客室乗務員さんは捜索を辞めず整備士さんをシップの中に入れ、いかつい機械を使い、私の座席のシートを剥がしてくれた。するとシートの下からやんちゃなイヤホンが出てきた。「お客様、見つかりました!!」その心の底からの笑顔を見た瞬間、なんて素敵なクルーなのだと感動をしたのを覚えている。

自分がクルーだとして、探せ!と言われたら探したかもしれないが、大丈夫です!と言われたら、見つかったら連絡しますね。くらいの対応で済ましていたのではないだろうか。椅子を剥がすまでやったかと言われると怪しい。

客室乗務員からしたら当たり前の行動をしただけに過ぎないのかもしれない。それでも私の心にあの人たちの心意気が刺さった。ANAがしていないとかではなく、自分が乗ったJALの客室乗務員がたまたまそうだっただけだ。ANAもスカイマークもスターフライヤーもネットを探せば素晴らしいおもてなし体験が乗っている。

ただ私はそれ以来、完全に日本航空のファンになった。2018年にはJGCの入会ラインを超え、2019には59回のワンワールドアライアンス便への搭乗を果たし、JMBダイヤモンドという最上級会員までのし上がった。

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あの2017年07月23日 JL 332便 福岡-羽田便以来、JALに111回(国内線93回、国際線18 回)搭乗した。この目線で書くと偉そうだが、1つのワイヤレスイヤホンが元で日本航空は2016年まで1回も乗ったことのなかった乗客を、2017年のたった1回の素晴らしい客室乗務員の対応により、2019年にダイヤモンド会員になる顧客を1人掴んだわけである。対人ビジネスの場合、どの職種でもその可能性が秘められていると感じる。

逆にたった1回の残念な対応で顧客を失うリスクもある。人間の気持ちは非常に安定感のなく脆いものだが、逆にこれほど強固なものもない。

日本航空でファーストクラスを担当していた客室乗務員に聞いた話がある。「ファーストクラスを利用している乗客の中で、30%は本当にファーストクラスのお客様である」と。勿論お金さえ出せば誰でも乗れるファーストクラスではあるが、俺はファーストクラスの乗客だ!という驕りが一切なく、その所作、気遣い、醸し出す雰囲気に思わず早く呼び鈴が鳴らないかなと、こちらからその人をおもてなししたい、その人に向けて仕事をさせてくれ、とワクワクすら覚えさせる人が30%いるらしい。もちろん統計を取ってるわけではなく、感覚値だと思うが。

その様な30%の乗客と、私のイヤホンを探してくれた客室乗務員とが、素晴らしい空間と日本航空の未来をこれからも作っていくのだと思う。どちらの立場になってもその枠に入れるように日々精進していかなくてはと思った。

名前も顔も覚えていないが、あの時の心意気はJALに乗り続けている間は忘れることはないだろう。ありがとう。

#JAL #日本航空 #JALマイレージ #ANA #JGC修行 #おもてなし

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