氷水デッキ:強欲で貪欲な壺について
挨拶は省略。
以前X(旧称 Twitter)で強貪の採用に関してアンケートを取りましたが結果としては以下の通り。
このように私の周りの方々はどちらかといえば入れないが多数派でした。
私も当初はデッキを10枚も消し飛ばすというデメリットが、複数種類のパーツを用いてロック盤面を形成する氷水の戦術にとってかなり負担になると考えていました。
が、机上で語るに終わるのは氷水デッキのビルダーを自負するこの身にとって相応しくないのでは?と思ったので、調整と実験も兼ねて11月5日からランキングデュエルで強貪を採用した構築を実際に運用してみました。
結果としては11月19日時点で27戦行い(シングル・マッチ両方含む)14勝しました。
勝率は約52%、ちなみに戦った相手さん方のデッキでシェアが多かったのはR-ACEと粛声、次いで炎王でした。
まず使用感ですが、握ったことがある人にはわかるかもしれませんが相剣デッキの強貪に近い感覚でした。
どういうことか、というとエジル・ラーンの登場により氷水は相剣の「特定のカードがデッキに眠っている必要性が薄い」という性質を獲得していたのです。
"特定のカード"とは、"デッキに1枚だけ入っている展開で必ず使用するカード"のことを指します。
構築上は絶対に必要だけど、複数枚採用できないカードというのは強貪の採用を検討する上で大きなポイントになります。
ここで冒頭で言っていた氷水の戦い方を思い出します。
・氷水の戦い方
氷水呪縛によるロックがテーマとしての勝ち筋なのは呪縛が登場して以降、今日までの常識・前提・定石でしたが、結果それに偏った考え方…成功体験とでも言うべきものによりエジル・ラーンの性質を誤った形で捉えていました。
私はエジル・ラーンをエースたるエジル・ギュミルの成立を容易くするための追加パーツ、と認識していました。
そのため勝ち筋であるロック盤面を形成する上では依然として氷水のエジルと、それにアクセスできる深海のディーヴァのみが中核であると。
しかし強貪を採用した氷水で戦っていくうちに、違う勝ち方を多く経験するようになりました。
バロネスやギュミルなどの大型シンクロと、強貪で引き込んだ誘発等の汎用カードで相手のリソースや攻め手を枯らせて、そのままLPを削り切る展開が増えました。
エジルやディーヴァに灰流うららを当てられた後、強貪の2枚ドローでエジル・ラーンと氷水カードを引き込んでギュミルを妥協で成立させることもままありました。
そしてこれは相剣でも有名な動きですが、承影を出した後に強貪を使うことで一気に承影の攻守を1000UP(相手は1000DOWN)し、更に③の除外効果を起動できるので、後攻でエジル・ラーン+コストになるカードと誘発しか握っていないという、本来なら事故同然と言っていい手札の時でも強貪があれば最低限の除去と置き物を用意出来ます。
これは相手のカードを除去する手段に乏しく、打点も用意し辛い氷水からすると大きな魅力となります。
またエジル・ラーンの効果…というか氷水というテーマ全体が抱える問題として、リソースの補充やアドバンテージを稼ぐ手段が壊滅しています。
エジル・ラーンが手札を2枚消費して水属性のレベル10シンクロかリンク2を1体立てる効果なのはもちろんですが、他の氷水カードもエジルを除く全てがボードアドバンテージ上はカードが増えません。
22年以降のテーマによくある毎ターン後続を補充できる効果を持ったカードやギミックなんてありません。
「手札からトレモラを捨ててエジルを特殊召喚、効果で氷水浸蝕をサーチ、相手ターンに浸蝕でエジルを破壊して相手のカードを無効にし、墓地のトレモラ効果でエジルを蘇生、エジル効果でサーチ」
氷水の理想的な回り方の一つとされる上の動きは、2種類のカードを要求しながらも最終的なアドバンテージは2枚(浸蝕の無効とエジルのサーチ)にとどまります。
最新の環境デッキを比較に出すと、シェアの高いRーACEであればエアホイスターからハイドラント経由でタービュランスの効果が通ると5枚カードが増えます。
粛声なら祈り手ローから始まり場に守護者と祈り手ローに結界、手札に粛声モンスターor儀式モンスターでこちらは3枚カードが増えます(守護者の無効効果や結界の返しのターンでの再度サーチも含めると5枚程度のアドバンテージとなる)。
それぞれ妨害や後続、耐性付与などもたらす効果は違いますが、ようは環境クラスのデッキは手札を1枚展開に使うなら平気で3アドくらいは稼ぐというわけです。
それに対して氷水デッキは唯一1枚でレベル10シンクロが立てられるディーヴァですら、最終的なアドバンテージは2枚です。
当然実戦では誘発受けなども関わってくるので、この1枚のアド差はより大きく広がっていきます。
そこで、この圧倒的にどうしようもないアド差を埋める活躍をしてくれたのが強貪でした。
強貪はデメリットこそ強烈ですが、確実に1アドを生むカードです。
10枚も除外するので1枚採用のトレモラ、コスモクロア、エーギロカシス、浸蝕などが飛ぶことは日常茶飯事ですが、現在の氷水はそれらに依存しない勝ち筋を得ているので許容範囲内かな、と。
結果的にはこの1アドでランキングの環境にギリギリ伍することが出来た、というのが上で書いた勝率52%という数値だと思います。
もちろん環境デッキとの対面は必然不利ですが、従来の強貪無しデッキではあと1枚足りず、盤面を返せなくて敗北というパターンが極めて多かったので、それを解消できる可能性は大事だと思います。
・結論
個人的に強欲で貪欲な壺は、氷水デッキには是非採用したいカードかな、とランキングの対戦を通じて感じました。
これを見た氷水に興味のある決闘者さん達も、一度試してみては如何でしょうか?
Xでは毎週ランキングに持ち込んだデッキの構築と戦績を投稿しています。
興味のある方は見ていってくれると嬉しいです。
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