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わたしの二次創作短歌が完成するまでの道のり

概要

 一次創作短歌、二次創作短歌共に歴3年の赤ちゃんおたくがどのように二次創作短歌を作っているかをまとめます。
 今回はわたしのなかにいくつかあるパターンのうち、ひとまず3パターンについてお話ししますね。

見えた景色から作る

①頭の中で描きたいなと思った一枚絵、あるいは作中でのワンシーンを掘り下げる

→どんな光景なの?
→誰が何をしている?
→どこがいいと思ったの?
→どうして描きたいと思ったの?

②掘り下げたことをだいたい150字程度(オーバーしても1000字くらい)でまとめる

EX)窓際にあるベッドに横たわったまま身体を起こして話すチレッタと彼女を見るミスラ。双子から子どもを産んだら死ぬと言われているチレッタの腹はだいぶ膨らんでいてその日が近いのがわかる。身重で横になっていたり、椅子に腰掛けていたりと動き回ることも少ない。だが、チレッタは日に日に近づく死にとり乱すことない。むしろ、ミスラにはますます生を感じさせる煌めきがあるような気がするし、彼女は変わらずに気が抜ける春のような微笑みを携えている。

(この時点でぼんやりと切花って枯れたり、褪せたりする直前ほど強い香りを放つよな〜というイメージも頭の片隅にある)
→ここまで具体的に人と人ではなくて、景色しか見えてないこともある。

③書き記した光景に主体を設定する

→光景の中にいる人にする?
 (人にするのならば誰にするのか)
→第三者にする?
 (わたしの場合はその光景を画面押しに見ている"わたし"を主体にすることやいわゆる夢と言われても過言ではない"誰か"を主体にすることがあります)
→生き物ではなく無機物を主体にする?
 光、窓、花、草、月 etc.

→派生)完全に光景しか見えてない時はそれってキャラクターの暗喩的なものだったりしないかな、あるいはできないかな〜と考えて膨らませる

④ガチャガチャ言葉をいじって31音を作る

その一枚絵の景色や含まれる感情をいい感じに言えるようにガチャガチャ言葉をいじる
(いじる中で光景の解像度が上がったり、微妙に景色が変化したりする)

⑤推敲
⑥短歌が出来上がる

(②に例であげた光景は「窓際で花弁は踊る その度に香りばかりが華やいでいく」となりました)

自分の主張から作る

①主張したいことやこのキャラのメタファーってこれだよな、みたいな意見が自分の中にある

EX)シノってヒースにとって春雷だ

②どうしてそう思うのか掘り下げる


→ これも150字〜1000字程度で整理する

EX) イマジナリーフレンドはいたものの、やはり孤独だったヒースのもとへフロスティが誘惑のように氷の花を窓辺に置いていたが、(魔法舎に来てから春生まれと判明する)シノと出会ってから彼の孤独は溶けはじめるし、今度はシノがシャーウッドの森で詰んできた花をヒースのもとに置いていくんだ。あまりにも、時に雹を伴い、強い光とおおきな音を連れてやってくる春の到来の知らせすぎる!

③言葉をガチャガチャ弄って31音を作ってみる

(いじる中で光景の解像度が上がったり、微妙に景色が変化したりする)
→主張スタートのパターンだと
「わたしはAというキャラをこう思っているけれど、A自身は自分をどう思っているのだろうか」
「AはBに対してこう思っているけれど、ではBにとってAはどう思っているのだろうか」
と掘り下げて主体を変えたり、主張の角度を変えたりしながら作ることが多い。

④推敲
⑤短歌が出来上がる

(②に例であげた光景は「窓辺から孤独を溶かす春雷は送る光にゆるしを受ける」となりました)
→補足)いじっている途中で2周年でシノがミチルに対して語った「ヒースを大事にしているオレがいれば、オレは、オレを許せる。」というヒースと自己への感情を織り込むようなちょっとした方向転換ほどではない変化がありました。

題詠やイメージから膨らませて作る

①既存のお題から連想ゲーム

お題から連想する言葉を書き留めてみたり、お題がキャラクターならばキャラクターの好きなところ,言葉ならば言葉の好きなところや自分が言葉に対して抱えている感情を膨らませる。

EX)お題「ミスラ」
→獣,世界で2番目に強い, 夜が明けるまでならば世界最強の魔法使い,扉,チレッタ→(春,花),渡し守,湖,約束を交わした魔法使い,北の国→雪原,悪食,夜,約1500歳,寂しさを知らないと言う,チレッタに対して「俺は選ばれなかっただけです」という感情を抱えている,オズを倒す意欲が強くて何度も挑む,「つい」で他者を殺す,なぜチレッタが人間のモーリスを選んだかわからない(わからないけれど否定はしない) etc.

②短歌にできそうな側面を抽出する

たくさんあげた要素の中で短歌にできそうな側面や短歌にしたいと思った側面を選んで膨らませる。
わたしの場合は、ひとつだけを選ぶのではなく、ふたつほど選択して組み合わせることもあります。

EX)「寂しさを知らないと言うミスラ」
→だけど、それは本人に自覚がないだけで彼の中には一般的に寂しさと呼ばれる感情があるよな。→でも、名前をつけたら感情はその枠組みのなかで語られるものになっちゃうよな〜。だから名前をつけないまま彼の体感として情を抱えているミスラさんが好きだな〜。

この時にぼんやりと頭の中で
・ミスラさんはチレッタにせがまれても詩を読まなかった
・そういえば「詩はすべて『さみしい』という4文字のバリエーションに過ぎない、けれど / 木下龍也」という短歌があるよな〜
という思考が泳いでいます

③言葉をガチャガチャ弄って31音を作ってみる

書き出した好きの要素や掘り下げた側面をガチャガチャ弄って31音で表現してみる
→このスタートの場合は、そのまま言うのは難しいから比喩的にしたり、具体的なワンシーンを作り上げてその時にどうなるか、で語ることが多い。
→主体を決めないで、あらゆる主体(角度)からキャラクター,事象,言葉を見る

④推敲
⑤短歌が出来上がる

(②に例であげた光景は「開けることなかれ! 扉の向こうには題名のない詩が横たわる」となりました)
 

次回予告

推敲や短歌を作る際に意識していること。
「物語を切り取る」パターンと「急に降ってきた5音,7音,7-7音をもとに作る」パターンの作り方はまた後日、追記という形でお話しします。

おすすめの入門書

お金を払って、書籍で短歌の作り方を学びたいと思うのであれば以下の書籍がおすすめです。

「天才による凡人のための短歌教室」木下龍也
 短歌を作る上でも役に立ちますし、小説でも役に立視点が手に入る気がします。
 わたしはこの御本の中の「きらきらひかるな。」という項目をとても大切にしており、小説を書く上でも意識しています。

「はじめての短歌」穂村弘
現代短歌の親とも言える穂村弘さん著書の文庫本
(文庫だからお値段もやさしいし、コンパクト)

短歌を作るということだけに焦点を当てているというよりも、言葉と向き合うこと,自分の中から言葉を生む,表現することを介して日常を生き抜く"救い"を感じられる要素もある気がします。

「推し短歌入門」榊原紘
個人的に「推し短歌入門」は二次創作短歌に限らず二次創作をする人に対するやさしい寄り添いが感じられて、詠まなくても心の支えになるお守りな気がします。
先ほど紹介した2冊とは異なり、推しや原作の概念がある前提での短歌の作り方に触れることができます。

3冊とも重なっている部分もあれば、異なっている部分があるので、全部読んで後悔することはないと思っています。

「起きられない朝のための短歌入門」我妻俊樹/平岡直子

入門書とタイトルにはありますが、ガチの初心者向けというよりもある程度短歌を嗜んでいるひと向けな気がします。
我妻俊樹さんと平岡直子さんの対談形式でとても読みやすいです。
現代短歌の流派や成り立ちについて、31音の祝福についてなど、興味深い内容や考えに触れられる御本です。
読むことで迷子だった部分に自信を持ったり、救われる一方で、自分は「こうだ!」と思っていたり、疑問を抱いていなかった部分に疑問を抱き、少々短歌のことがわからない気持ちにさせられる側面もわたしにはありました。
いま、揺らいでいる場合ではないのであれば読むのはすこし先にしたほうが良いかもしれないです。
個人的には、読んでよかったなととても思っています。

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