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【Column】Best GRINDCORE 2021

あけましておめでとうございます。
遅ればせながら下記<総則>に基づき2021年ベストを選出します。


<総則>
・当店入荷分/リリース分は除く。
・Demo/シングル/編集盤/再発は除く。
・フィジカル/デジタル不問で自分が買った作品のみ。
・GRINDCOREかそれに近いスタイルのみ。
・10タイトルに絞る。
・順不同。ランキングではありません。

音やキャリアに関してはBandcampとDiscogs参照ということで割愛し、代わりに各タイトルにまつわるミニコラムを300字程度で書いていきます。
※ブラウザによってはバンドキャンプの埋め込みが表示されません。バンド名からのリンクをご利用ください。


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SLAG - Split w/ XHOSTAGEX

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確かRSRからの7inchで知ってそれ以降ずっと大好きなカリフォルニアングラインドコア。何作か出してますがどうやらフィジカルで出てるのがs/tのみらしくいかんせん情報が少ないのでよくわからず。しかもバンドにメールしてもエラーで戻ってきてしまうという謎っぷり。
グラインドコアの特徴を表す言葉としてよく「STOP&GO」ってキーワードが使われると思うんですが、SLAGのそれは群を抜いてカッコいいと思っています。あと、音からヒシヒシと伝わるブチギレっぷり。爽快&痛快です。確かFIENDと同時期に知って(彼らもCA)、こういう感じカッコええなー、地域性なんだろうかー、と漠然と思った記憶があります。この地域性の認識が正しいのかどうかは未だにわかりません。


Shapeshifter - The Darkest Night

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リツイ―トで情報が回ってきてなんじゃこりゃ、とオーダーしてみたらセルフで塗ったであろう艶消し黒塗りカセットがプラケース無しスリップケース仕様で届きまして再生する前から最高品質を確信したのを覚えています。その数か月後にFLATでライブも見れたのですがそれはそれはカッコよくて震えました。これもやはり見どころはそのブチギレっぷりでしょう。メンバーそれぞれが別バンドでも積極的に活動してるし先日フルアルバムのアナウンスもあり期待が高まるところです。


Urban Carnage- Nihai Infilak  EP

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トルコのNOISE NESTへインタビューしたとき地元にいるカッコいいバンドってことで名前があがって気になってたタイミングでちょうど見つけて即ゲットした7inch。そういや今年は7inchめちゃくちゃ聴いた。一作を腰を据えて聞く時間が無くなってきてるからなのか、好みが短いパッケージに寄ってきてるのか。個人的には33回転で7inchのアルバムが一番体感的にちょうどいいです。ちなみにこのタイトル、NothingCleanの新譜のLPと一緒にpsychocontrolから仕入れようとしたんですが先方からの連絡が途切れそのままになってます。Fin.


Deterioration - Transcending Human Confines

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これも入荷が叶わなかったシリーズの一つ。Deterioration作品はメンバーがやってるShattered dreams productionsからのリリースが多く全タイトル入れたろと思ってたのですが返事無し。別経由でJimから一回返事が来るも取引するまでに至らずという感じ。ままならぬものです…。
音が小さい?あなたが使っている再生機器にはボリュームを調節する機能が付いているはずです。上げましょう。MAXまで。


◇SWARRRM - ゆめをみたの

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言うに及ばず。
ジャンルに定義を設けて厳しい取り締まりを行っているグラインドポリスの中にはこういうメディックさがあることに否定的な考えの人もいるらしいのですが、そういう人種はまあ勝手にやっててくださいって感じです。そして失い続けるんだ…。貴重なチャンスを…。
僕の場合は結構後追いで、知ったのはFlowerが出る何年か前あたりなんですが、なぜだか自分のライブが被ってしまうことが多くて残念ながら未だに数回しかライブ見たことがない。こちらも来年新譜のアナウンスがされてますね。超超超超超超期待です。



◇Manipulator - To Settle at the Bottom of Your Own Ocean

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WISEGRIND(US)へ仕入れのコンタクトをとった際、既にレーベル在庫はラスト1枚とのことで自分の分だけ買っちゃいました。押忍。
以前ある大先輩から「最近の海外の若手レーベルではプレス枚数を少なくしてすぐ売り切れにする(デジタルメインでstuffは記念品みたいな位置づけ)のが主流になってる」みたいな話を伺ったことがあるのですが、このタイトルはLPなのに100枚プレスで発売から数か月で売り切れてるというその話の通りのパターン。めちゃくちゃカッコいいんだからもっと刷ればいいのに…。


◇ENSA - アラガウ

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メンバーがほぼ在籍してるREDSTOCKとは功で弾いてた頃サンバーストで定期的に対バンしてまして、その時音源ってペジテとのsplitしか出てなかったはずで(だよね?笑)、タイミングが合わずライブもまだ未体験なのですが、前作「怨嗟」の存在をある先輩から教えてもらいそのクオリティに期待が高まってたところリリースされたのがこのアルバムでした。当時よりも激情+ブラッケンド風味が合わさったハードコアを鳴らしててカッコいい。ちなみに今でもそうなのかわかりませんが、先述の先輩曰く左右ギターでドロップが違うらしい。


◇SNAGG - Disgust of Self Recognition

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自分はバンドキャンプのディスカバリーで今年知ったのですが、オープニングSEが明らかに何らかのフリーサンプルパックの一番上に入ってそうなやつでおやおやwと思ったらそのあと続く曲はめちゃくちゃカッコよかったという稀有なパターンでした。パワーヴァイオレンスを「オールドスクール」と括るときの要素の一つ一つが高い次元で共存してていい感じ。


Knoll - Interstice

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短いキャリアながら今年のアルバムで一気にアンダーグラウンドのオーバーグラウンドにのし上がった感アリ。今年台頭してきた中ではFOHフォロワーの筆頭って感じでしょうか。存在的にUKのLEECHEDにも近いと思いますがどうでしょう。最近デジベルに長尺のインタビューも載ってたので気になる方はそちらをチェック。




◇Goner - Pain God Discography

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時代逆行なのか、今あるべき正しい形なのか、はたまた単に編集盤だからなのか試聴なしでの販売という硬派なスタイル。このアートワークのロンTもあるみたいで超欲しいのですが送料が!悩ましい!そして実はこれ割と出てすぐ買ったのですがどこかに無くしてしまい最近買いなおしました。トホホ。※今回編集盤は入れないというルールを自分で設けてたのを忘れてまして掟破りのリストインとなります。



◇番外 / INNER CONFLICT

まだリリースはありませんが2022年からの動きに注目してるバンド。
南米のエクストリームミュージックごった煮の配信フェスで見かけて気になってました。同じようなスタイルのバンドが何十バンドも出てた中でもひと際輝くカッコよさを見せつけてたのですが、そのころはバンドキャンプはおろかFBのアカウントもみつからず、連絡を取ろうにも取れない感じでした。ほどなくしてコンタクトが取れ、2022年にデモのリリースを予定しているとのこと。向こうはコロナ事情とかでガチンコの行動制限かかったりするアレでスムーズに行くか分かんないと思いますが、とにかく期待特大です。

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以前何かの記事で「今までグラインドコアの形を大きく変化させるキーマンが10年おきくらいで現れてきた~」みたいな話を読んでかなり納得した覚えがあるのですが、2020年代の変化はもう始まってるのでしょうか。

個人的には今後の流れとして超最新のテクノロジーを駆使した文字通りのSFグラインドとか出てきたら面白いなと思ってます。
実はメンバーがサイボーグでしたとか…。
宇宙でライブやるとか…。
リリースのフォーマットは攻殻機動隊に出てくる首の後ろに差すあのアタッチメントだとか…。

冗談はさておき。
何かを掛け合わせることには限界があると思うんで逆に減らす方向、ギターレスのスタイルって今後さらによく見る編成になってくるかもと思っています。
他には例えばSnarky Puppyみたいにメンバーが何十人もいてバンマス以外はシフト制で活動を回すグラインド楽団スタイルが出てきたり、ソログラインドが市民権を得てくるとかですね。FADING TRAILの新譜がCVLT NationやMetal Injectionで紹介されることを誰が想像した?


長くなりそうなのでこの辺で。
皆さま今年も健康に気を付けて、素晴らしい作品との出会いを楽しんでください。ESAGOYA Recordsは今年も入荷&リリース頑張ってやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。


P.S
ソログラインドといえば、私がやってるそれで先日SPLITをリリースしました。パートナーのSlothPhantomMothのDan(Gt)とやっていたやり取りが対談みたいになったので、形にできそうだったら話をまとめて公開する予定です。そちらもぜひチェックしてみてください。

<TEXT by JAPAN(原田洋輔)>