見出し画像

【共通】憎きアルミサッシがはびこる理由

現在、断熱が住宅業界を席巻しているわけではありますが、断熱材や構造が進化していく中で、進化を途中でやめてしまった建材があります。
それが"窓(サッシ+ガラス)"です。
→サッシはいわゆる枠を指し、ガラスがはめられて窓になります。

世界が樹脂や木製の枠にトリプルどころか4枚ガラスをはめ込んだ高断熱窓(U値=熱貫流率が低い窓)なのに対し、樹脂に比べ200倍もの熱を通す(U値が高い)アルミを使用した窓がまだまだ多いのが現状で、その窓は結露の温床となりそこに住む人の健康を害する凶器にもなります。

外皮の中で最も熱の出入りが多い窓を高断熱化することで効率的に高断熱住宅が可能になるのですが、現状まだまだ樹脂窓の浸透というには早い気がします。

と、いうことでまだまだ、樹脂窓普及を妨げているアルミを使用した窓が多い(はびこる)理由をまとめてみました。

【こうなった経緯】
まずは、サッシと切っても切り離せない新築住宅の着工数を下記に記します。

【1950〜1960年代の世の中】
世の中は家電の『三種の神器』と呼ばれる白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫が普及し始め、汗水たらして働けば手に入る富の象徴であり、高級品にお金を使うことでさらに経済が活気づく好循環を生み出しました。
1950年代始めの朝鮮特需を契機として幾度も特需を経て、1955年〜は高度経済成長期を迎えました。もはや戦後ではない‼︎
《1950〜1960年代のサッシ》
日本におけるサッシはというと、これまでの木製サッシに代わりスチールサッシが普及し標準化がされてコストも落ちてきました。
一方、アメリカでは強度は劣るものの複雑な形でも正確に製造可能であるアルミサッシが普及し始めました。
高度経済成長と共に住宅の普及が急がれ、加工のしやすいアルミサッシは徐々に欠かせないものへとなっていきました。
写真)スチールサッシ

【1970代の世の中】
高度経済成長期真っ只中!
日本万国博覧会(大阪万博)が開催。
電化製品がますます増え、今の生活に欠かせないような家電製品は一通り買うことができるようにり「カラーテレビ」「クーラー」「車(カー)」の「3C」が普及しました。
《1970年代のサッシ》
1962年にスチールサッシ生産量がアルミサッシの約16倍だったものが、1973年には一気に逆転しアルミサッシがスチールサッシ生産量の約3倍にもなりました。
公団の建築ラッシュとともに軽量で錆びないかつ加工のしやすいアルミサッシが更に普及していきます。

【ここまでを振り返って】
住宅着工と経済成長は深く関係していて1973年には190万戸もの新築住宅が建築されました!
そりゃ、当時のハウスメーカーは相当忙しかったはず。緊急で現場に合わせてサイズを調整したりすることも多々あったようです(未だにあるようですが)
軽くて作業性もよく加工もしやすい、そんなアルミサッシは瞬く間に普及していきました。

【現在の住宅市場と窓】
バブル崩壊の後、成熟した市場で1990年代以降は消費税増税駆込みと阪神淡路大震災復興の時期を除いて基本的に新築着工数は減少傾向にあります。2019年は90万戸程度でピークの半分以下となっています。バカスカ建てている時代はとっくに終了しています。

【アルミサッシがはびこる理由】
上記のとおり、いっぱい住宅が建てられるから、とにかく供給を優先していくといったことはしなくても充分耐えられるはずなのに、経済成長が長らく続き急成長した日本において断熱よりも加工しやすさや軽さを重視し、断熱性能を軽視した安価なアルミを使用したサッシを使い続けているから、なかなか樹脂窓には切り替えられていません。

ただ、断熱住宅に樹脂窓は必須です。
トイレやお風呂、エアコンなどの設備は世界の中でもトップの性能です。
確かにひと昔前に比べたら日本の窓もそれなりの性能になってきました。しかし、いい加減窓も世界と張り合えるレベルになってほしいものです!期待を込めて!
今流通しているもので最もコスパがいいのはYKKAPのAPW330とAPW430、LIXILのエルスターXかなぁ〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?