私が日本ベンチャーキャピタル協会（JVCA）の理事を辞任する理由及びEight Roads Ventures JapanがJVCAから脱会する理由

この度、私、デービッド・ミルスタインは日本ベンチャーキャピタル協会（JVCA）の理事から辞任し、私が代表しているEight Roads Ventures JapanもJVCAを脱会することに致しました。
 
この5年以上にわたりJVCAで素晴らしい経験をさせていただいたことに感謝しております。JVCA理事会の皆さまから多くを学び、様々な研修会に参加することで刺激を受け、また、ベンチャーキャピタル（VC）業界の素晴らしい方々と出会うことができました。起業家の方々が輝かしい夢を語るイベントやピッチコンテストに数多く参加させていただき、VC業界がどれほど進歩し、成長したかを目にすることができました。
 
しかしながら、JVCA理事として、これ以上学び、貢献し、成長することが難しいと強く感じることとなりました。昨今JVCA理事会メンバーも関わる場において、ダイバーシティとインクルージョンについての重大な出来事がありました。この出来事は、JVCA理事会におけるダイバーシティの課題の深さを浮き彫りにし、今後、JVCA理事会の外で日本のベンチャー・エコシステムをサポートすることに私自身のエネルギーを注力することがより効果的であると確信するに至りました。この出来事は意図的なものでも、また悪意に基づくものではないと信じておりますが、さらなるダイバーシティの浸透が不可欠であることは明らかです。
 
ダイバーシティのあるVCとベンチャー・コミュニティにおいて、同種のメンバーで構成される理事会が成し遂げられることには限界があります。JVCAが2022年8月にダイバーシティとインクルージョンに対するコミットメントを公表したにもかかわらず、理事会自身いまだダイバーシティを達成できていません。
 
私は、日本のベンチャー・エコシステムの成長と発展に貢献するため、自身のエネルギーを全力で注ぐことを常に意識しております。ただ、それは、真の意味でのダイバーシティを受け入れ、支援し、また促進させる場をもってのみ実践されるものだと考えます。
 
Eight Roads Venturesは、ダイバーシティとインクルージョンを強くコミットしており、私たちのチームはグローバルにこれを体現しています。Eight Roads Ventures Japanの投資先企業についてはまだ改善の余地もありますが、いくつかの成功している投資先企業に、女性や外国人の経営幹部がいることをとても誇りに思っています。
  
私たちは今後も、年齢、性別、民族、宗教、障害、性的指向、国籍などにとらわれずに、起業家とチームメンバーをサポートし続けて参ります。ベンチャーキャピタルファームとしての更なる成長のためには、ダイバーシティとインクルージョンが不可欠です。ダイバーシティとインクルージョンへの取り組みは単に正しい行いというだけではなく、ビジネスの成功にとって必要なことなのです。
 
私や同僚たちが、ダイバーシティとインクルージョンを完全に実現できているとは思っておりません。それでも、努力や歩みを止めることはありません。日本のVC業界には、ダイバーシティとインクルージョンに対する私たちの願いや目標と想いを共有する方々が多くいらっしゃると確信しております。
 
私のJVCA理事辞任という決意は、日本のVCエコシステムをサポートし、強固なものとするという私のコミットメントを変えるものではありません。私たちは、今後も起業家を支援し、これまでもご一緒させていただいている多くの素晴らしいVCの方々と協力し、日本のVCエコシステムとより広範なコミュニティを強化するために全力を尽くしてまいります。
 
以上の理由により、私はJVCAの理事を辞任し、私が代表しているEight Roads Ventures JapanもJVCAから脱会することに至りました。

■Author
David Milstein（デービッド・ミルスタイン）
Managing Partner, Head of Japan
Eight Roads Japan

1995年よりM&Aコンサルティング会社を起業し、テクノロジー、金融系企業の買収のアドバイザリを行う。2000年、フィデリティ・ベンチャーズ日本オフィス代表として主に国内IT企業のベンチャーキャピタル投資と 海外投資先企業の日本市場へのエントリ支援を行う。
2003年より、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社の日本・アジアパシフィックにおける事業開発のコンサルティングに従事。2005年ウォルト・ディズニー・ジャパン入社。ディズニー・モバイルの携帯電話サービスを開始の責任者として事業計画からオペレーションを統括。2010年、ディズニー・インタラクティブ・メディア・グループ　ゼネラルマネージャーに就任。
2012年4月よりフィデリティ・キャピタル・マネジメント日本支店 (現：Eight Roads Ventures Japan) の代表を務める。米国ペンシルバニア大学卒業。ハーバードビジネススクールにてMBA取得。

■Eight Roads Ventures Japan
Eight Roads Venturesは大手資産運用会社のフィデリティの資金を基に投資を行うベンチャーキャピタルファンドです。ヘルスケア領域を含む革新的技術や高い成長が見込まれる企業へ、米国、欧州、アジア、イスラエルとグローバルに投資活動を行っています。業界に対する知見とグローバルなネットワークを最大限に活用し、投資先に対してハンズオンで経営を支援し続けています。
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