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空中戦を避けるコミュニケーション術

ここでいう空中戦とは、より実物に近いものがない状況で議論や会話が続くことを指しています。空中戦はコミュニケーションにおいて百害あって一利なしであり、それを防ぐための方法を解説する記事です。

3 文書や資料の提供がなく、発言のみで議論がなされること。また、発言のやりとりが続くばかりで、結論の出ない会議のこと。

なぜ空中戦はコミュニケーションにおいて百害あって一利なしなのでしょうか?

・ 水掛け論になりがち。感情に訴えかけがちになる
・ お互いが同じ言葉を言っていても違うものを指している可能性が高くなる
・ 現在集中すべきことに集中せずに、未来や過去に眼を向けてしまっても、気づきづらい(脱線しやすい)
・ 奇跡的に全員認識が一致してても、そもそも頭の中だけで考えるのは、頭のリソースを無駄遣いしてしまう

などなど、問題解決志向から遠のいてしまうためです。

特にリモートコミュニケーションにおいて空中戦を防ぐためのテクニックを解説します。

空中戦を防ぐための原則

必ず可視化しましょう。

たとえば、ソースコードについて議論するなら、実際のソースコードが無いと意味がありません。

会議であれば、最低でも議題(会議のゴールはなにか?何のためにそこにメンバーがいるのか?)は必須であり、もちろん工程もホワイトボードなどを活用して可視化しましょう。

画面遷移についてであれば、ポンチ絵でもワイヤーフレームでもプロトタイピングでもモックでもなんでもいいので、それっぽいものを用意しましょう。

設計であれば、UMLやポンチ絵的な図でもいいですし、DB table, JSON Schema などでしょうか。

また、極力ファクトベースでコミュニケーションしましょう。ファクタ、つまり事実を起点にするのです。事実以外を取り扱うべきではないとまではいいませんが、極力「事実」ありきにしましょう。

抽象/具象では、なるべく具象に寄せたほうが空中戦は防げるでしょう。とはいえ、勿論、概念を取り扱うときに具象によりすぎてもいけません。その場合、より注意深く「取り扱う概念」の定義を忘れないようにしましょう。

・ 取り扱うものが抽象的にならざるをえない場合は、気をつけて可視化しましょう。出来る限り「定義」を明確化しましょう。勿論ブレストの場合は違うかもしれません。そのときは、ブレストのルールを必ず守りましょう。
・ 取り扱うものが具象的に出来る場合は、そのものを用意しましょう。

空中戦を防ぐオンラインツール

たとえばソースコードについて議論する場合、一番良いのはVSCode + LiveShare などリアルタイムでソースコードをいじれる環境です。百の議論を重ねるより、実際にソースコードを書き換える方が見落としを防げます。

そのソースコードを動かしたときの成果物を見ることも大切です。画面を作るならその作った画面を実際にみれば一目瞭然なはずです。

DocBase, hackmd, esaなども有用なツールです。これらはMarkdownでリアルタイム編集できます。同様にGoogle Document などもあります。

MURAL is a digital workspace for visual collaboration は最近、筆者たちがとてもお気に入りのホワイトボード・付箋ツールです。

・ 付箋を自由に貼り付けられる
・ 自由に線を引ける
・ アイコンを付与できる
・ 投票機能がある
・ この手のツールではベストに近いくらい、軽量かつリアルタイム動作してくれて触るのがとても楽しい

本格的に使うなら会員登録(サインアップ)しておきましょう。Googeアカウントがあれば面倒は全くありません。

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たとえばこれは技術的負債に関して議論しているMuralの一部のサンプルです(なおフィクションです)。課題、解決案、お気持ちのように分類して付箋をペタペタ張っているものです。

空中戦を防ぐためのモックアップ・プロトタイピング

これはフィクションですが、PMとデザイナーで新規案件について設計をしていたのですが、あとからどんどん設計考慮漏れが見つかるという事態があったとかなかったとか。(この場合、PMやデザイナーの問題ではありません)

こういうとき抜けている観点は、画面遷移を含め、ユーザーにどういうふうに情報を見せるのか?そもそも必要な情報とはなにか?

・ 情報の要・不要
・ 対象ユーザーにとって使いやすいか?紛らわしくないか?
・ 技術的にどれくらい大変そうか?
・ 想定していたことと、画面に落とし込んだことの相違の洗い出し

モックとかプロトタイピングとか言われるものをざっくり作って、それを見ながら仕様の検討をすれば、一通り抜けてる事が判明するかもしれません。

たとえばHTML+JS+CSSなどでプロトタイピングをすれば、更新したらすぐ反映される hot reload 機能によってタイムラグなく、動作の違いを確認できます。

プロトタイピングのおかげで空中戦を回避できました。めでたしめでたし。

まとめ

何かしらのツールや実際のプログラム、なんでもいいですが、必ず可視化しましょう。空中戦を防ぐ第一歩が可視化です。


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