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薄紅色の風

「まあ!」

月曜の朝、播磨坂の下の赤信号で立ち止まり、思わず声を上げました。目の前には、真っ青な空の下に、 小さな花が作る握りこぶしぐらいの房が枝に連なり、坂上の春日通りまで延びています。歩き出すと、まだ、余白の多い枝の間を、限りなく白に近い薄紅色の風が頬を撫でてゆきました。

多くの企業が従来通り入社式を催した今年は、新しいスーツでこの桜の下を通る新社会人も多かったことでしょう。少し先の入学式には、見頃となりそうです。桜の下で真新しいランドセルを背負った小学生や、おろしたての学ラン・セーラー服の学生さんが記念撮影する風景は、歳時記のように記憶に刻まれています。

願わくばこの先も変わらず、4月初旬に満開の桜を眺めたいものです。もう入学式に縁がなくても、桜を見ると毎年気持ちだけは、新入生の心持ちになれるように。

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