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月齢

あったはずの未来
幸せな家庭
目まぐるしい毎日
私の子供たち
腹も立つけど、愛しい家族

漠然と、だけど当たり前に求めていた
そうだったはずの昨日、今日、明日

母は23で結婚し、24で私を産み、4つ下に弟、7つ下には妹と3人の子供を儲けた。

私も、子供が欲しかった。
2人は欲しいと思っていた。
勿論1人では作れないから、素敵な人と結婚して、30までに1人目を産めたら最高だなとぼんやり思っていた。

幸せは誰かと比べるものじゃない。
今の私が不幸だとも思ってない。

ただ、1人の男にメチャクチャにされた私の時間はあまりにも永く、根深く、暗い。
子供を欲していた女にとっての20代30代が、トラウマとの戦いで終える事の重大さを、一体何人の人がわかってくれるのだろうか。

学生時代の友達が、子供を産んで育て、そんな幸せな報告を聞く度に空っぽの子宮が疎ましかった。

でも、そんな事に対していちいち泣いている自分にも嫌気がさしてくる。
一生懸命、自分に折り合いをつけて、
結婚して子供を産むだけが幸せでもないしと、
全ての時間を自分に使える幸せもあると、
何も知らずに毎月血を流す身体をあやした。

病気があっても、断薬をして子供を作るとか、やり方はいくらでもあるとか、そういう問題でもない。

私がすっかり絶望しきって呪いを吐き続けたこの世界に、子供を産むなんて無責任な事が怖くて出来ないのだ。
生活に不自由のないだけの財産があれば多少変わるが、そんなものはない。

私はたまたま心が頑丈で、悔しさをバネに出来て、家族の支えがあったからここまで来れたけど、それでもいつまたポッキリ折れてしまうかわからなくて怯えて暮らしている。

通り魔のような被害なんていつ誰がどこで会うかなんてわからない、悪意はいつだって都合のいい命を狙っている事を知ってしまった人間は、漠然とモラルと善意の中で生きている人と違う世界を見ている。

少しだけ次元がズレてしまったような、世界が丸ごと解離してしまったような、そんな感覚。

ああ、死ぬほど愛おしい、喉から手が出るほど欲しかった、あったはずの私の、昨日、今日、明日。

あの時、強烈な解離で分断されてしまった並行世界。
もうひとつの世界では、私は母になれているのだろうか。

先日結婚した妹が、妊娠したと報告してくれました。
大好きな妹の子供は、間違いなく可愛い。

でもそれとは別として、今夜はちょっと泣いてもいい。

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