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U-30の若手料理人×定価のないレストラン「HINODE」

U-30 料理人勉強会「Easy going」を毎月主催している。オーストラリアやニュージーランドのほか、世界の美食都市で活躍してきたプルマン東京 田町のエグゼクティブシェフ、福田浩二さんがもつ、国や地域に依存しないグローバルな料理観から生まれる料理と、長年の経験を若手料理人に伝えるだけでなく、勉強会をあえて30歳以下としたことで、参加者同士が横のつながりも生まれている。

そんなEasy goingの第3回(10/20開催)に参加してくれた若手料理人6名が「自分たちでポップアップレストラン」をやりたい! と勉強会終了後の懇親会で盛り上がった。

「志を持つ若手料理人を応援したい」とうのが浩二さんと僕がEasy goingをスタートさせた理由なわけだから、この何かをはじめようとするエネルギーを大切にしたい。その場で、「全面的にサポートする!」と2人で宣言し、ポップアップ(期間限定)レストランを開くことに決めたのだ。

イベント名:HINODE  ~初日の出20191208
日時:12月8日(日)17時~
場所:カステリーナ茅場町
参加料金:原価(4000円)+投げ銭(通常レストランで提供料金1万円程の内容)
予約方法:江六前、または各料理人に直接コンタクトしてください 
料理のテーマ:日本
料理の内容:前菜3品、魚、肉、デザート(ワイン、お茶のフリーフロー付)
参加料理人:鈴木康敬、吉野瑠華、三木恵基、村上 凌、松田樹生、斎藤勇佑、白石桃果
演出:坂田佳菜女
料理監修:福田浩二(プルマン東京 田町)
特別サポート:関口幸秀(カステリーナグループ 統括料理長)
企画:江六前一郎

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「HINODEに値段はない」実験型レストラン

参加メンバー全員で決めた「日本」というテーマのもと、各自1皿またはドリンクを担当し、7品のコース料理と飲み物を完成させる。

まだ役職についていない料理人がほとんどなので、料理は浩二さんと、開催場所を提供してくれた「カステリーナ茅場町」の統括料理長の関口幸秀(@yukihide_lion)さん、そして僕が試食し、お客さまに提供できるクオリティまで責任をもって引き上げる。

さらに、参加料金は「食材・飲み物原価+投げ銭」という、実験的システムを採用する。食事の前に、食材と飲み物の「原価」(おそらく3000〜4000円)をお支払いいただき、その後、コースを召し上がったあと、ゲストのこの夜の満足度によって、追加で「投げ銭」をしてもらうとういうものだ。

コースと飲み物は、通常のレストランで提供すれば1万円程になる良質な食材を使用している。そのため、「高価な食事を原価で食べられるお得なイベント」として、原価だけを支払ってもまったく問題ない。一方で、その夜の時間に満足してもらえれば「若手料理人への投資・支援」として、通常のレストランで体験する以上の金額を払ってもいい。

若手料理人が作るレストラン次第で、売り上げが変わってくる。評価してもらえれば儲かり、まったくだめだったら損をする。ゲストの評価が、ダイレクトに反映されるシステムなのだ。

レストランの満足度は皿の上だけではない

若手料理人はみんな、料理が大好きだ。だから、グループLINEを見ても、一生懸命に試作をしている。きっと、ゲストの方に満足いただける料理になるだろう。

しかし一方で、レストランに来たゲストは、皿の上だけで満足を得るわけではない。現代料理においてはとくに、レストランの空間を、自分たちが表現したい世界観にどう近づけていけるかも、顧客満足度を高めるうで、皿の上の完成度と同じくらい重要になっている。

ここからは、若手料理人に対してのメッセージなのだが、このポップアップレストランに興味を持って参加してくれる人はどんな人なのか。その人たちに、どうやって自分たちの世界を伝えていくか。プレゼンテーションにも気を配らなければいけないだろう。

提供方法によってゲストの印象も変わるし、カトラリーはどうするか? 会場の音響は? 照明は? ゲストの会話を弾ませるような話題を提供できるか? そう考えていくことで、きっとレストランは多くの演出によって出来上がっていることに気づくだろう。

そして、今回は、その一つひとつの演出によるゲストの体験への評価が、「投げ銭」になって可視化される。ある意味で残酷だ。

このポップアップレストランに僕は、忖度のない評価をする信頼する食べ手の方をお誘いするつもりだ。若手料理人が作るレストランが、どう評価されるのか、いまから楽しみだ。

HINODEたちの挑戦にご支援を

イベントのタイトルである「HINODE」は、僕が主宰する編集チーム「MAGARI」の一員として一緒に活動している音大生、坂田佳菜芽(@KanameArte)さんによるものだ。

僕は、このタイトルがすごく気に入っている。

HINODEはもちろん「日の出」である。初回なので「初日の出」。何回も続いてくれたらいいな、とも思う。

そして日の出は、一日のスタートであるとともに、夜の終わりでもある。日の出が過ぎれば、太陽はさらに高く昇っていく。たとえ日が沈み夜になっても、再び夜が明けて、朝が来る。明けない夜はないし、沈まない陽もない。

さまざまな状況の7人が集まって、この挑戦をどう未来につなげていくのか。

HINODEたちの挑戦を、ぜひ体験してみてください。

そして、彼らの料理が決まってきたら、またnoteで報告していきますので、お楽しみに!

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