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《ラストワーズ/タイプトレース》

タイプトレースという技術がこんなに書き手の心の動きを伝えるとは見るまで分からなかった。例えばあきほさんから何とか君へ宛てたもの。タイプを進めては戻り、また書いては消す、凡庸な言葉で綴られる愚かな恋物語と不均衡な愛。アニー・エルノーの小説一編分くらいの濃さあった。彼女に幸あれ
(1/11 なお)


モニタに表示される10分遺言は観る者の情動を激しく揺さぶるが、昨今の情報消費過多な社会では、個人的にはそれすらあざとく思えてしまう。それより気になったのは、中央でPCのキーボードが自動で動く様子と音、それに見入る人の表情。不在の在、人の想像をどこまでも駆動させる空白の力
(9/15 ふう)


何種類ぐらいあってどうシャッフルされているのだろうか。見渡すにその殆どが過去や現在に生きにくさを感じたり、つまずきを抱えている人ばかりだった。遺言を書くことで現在と決別し、生きようとする意志を感じた。
(8/16 かしゅらって)

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©️竹内久生

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©️mayu.h


dividual inc.
2008年東京都にて設立
東京都拠点
メディアアーティストの遠藤拓己と情報学研究者のドミニク・チェンによって設立されたベンチャー企業。のちにクリエイターの山本興一が加わる。「People will always need people(人がいる限り、人は人を求める)」をマントラ(会社の信念)に、テキスト原稿をタイピングする際の「筆跡」を可視化する「TypeTrace」や、日々の悩みや後悔を匿名で書き込むと誰かが慰めてくれるコミュニティサービス「リグレト」(2008-2017)、フォトメッセンジャーアプリの「Picsee」(2015)などを開発・運営。株主には家入一真など複数の著名エンジェル投資家のほか、MIT Media Labの伊藤穰一も名を連ねる。2018年1月にスマートニュース株式会社に参画するも、これまでdividual inc.として提供してきたサービスを継続して運営している。(あいちトリエンナーレ2019公式サイトより抜粋)

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