みんなのあいトリ140字レビュー(2019) by エルンストの机

鑑賞体験を言葉にしよう! あいちトリエンナーレ2019を見た感想をTwitterで1作…

みんなのあいトリ140字レビュー(2019) by エルンストの机

鑑賞体験を言葉にしよう! あいちトリエンナーレ2019を見た感想をTwitterで1作品1ツイート分ずつ募集しました。 そのまとめを掲載します。(※レビューが無かったものも、作家名のみ掲載しています)

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はじめに

私たち「エルンストの机」(@ErnstTable)※は、2019年8月1日~10月14日の会期で75日間にわたって開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」参加作品への感想を、「#あいトリ140字レビュー」としてツイッターで広く募集しました。本サイトは集まった合計148件のレビューをまとめたものです。 鑑賞行為のひとつとしてのレビュー執筆は、観客ひとりひとりが作品を見てどう感じたかを言葉で表現した「応答」であり、同時に作品がどう在ったかという記憶の記録でもある創造

    • アーティスト名別レビュー 一覧

      ※レビューが無かった作品についても、作家名のみ記載しています※ 愛知芸術文化センターA01a,b:ドラ・ガルシア A02:エキソニモ A03:アマンダ・マルティネス A04:レジーナ・ホセ・ガリンド A05:アンナ・ヴィット A06:ウーゴ・ロンディノーネ A07:クラウディア・マルティネス・ガライ A08:永田康祐 A09:石場文子 A10:村山悟郎 A11:田中功起 A12:伊藤ガビン A13:ヘザー・デューイ=ハグボーグ A14:dividu

      • A91:東海テレビ放送

        『さよならテレビ』 苦悩するキャスター、悪戦苦闘する契約社員、ジャーナリズムの体現に努める社員。テレビ業界、ジャーナリズムの世界は大変そうだなと思った矢先、「テレビの闇ってもっと深いでしょ」との言葉に「えっ、じゃあいま観てるのは何なんだろう」とハッとした。 (9/28 真黒野差実(まぐろのさしみ)) ©まぐろのさしみ 東海テレビ放送 1958年愛知県にて開局 1958年に開局した愛知・岐阜・三重の中京広域圏を放送エリアとするテレビ局。本社は名古屋市。独自に長期間の取

        • A22:CIR(調査報道センター)

          《ボックス:独房のティーンエイジャーたち》ほか CIRの展示も良かった。人だかりできてたし。後でまたユーチューブで観よう(誰か字幕つけてほしい) (10/14 真黒野差実(まぐろのさしみ)) ©竹内久生 CIR(調査報道センター) 1977年カリフォルニア(米国)にて設立 カリフォルニア(米国)拠点 1977年に設立された米国の非営利報道機関。ラジオ番組およびポッドキャストの「Reveal」で広く知られ、その活動は「恐れのない調査報道」を信じるメンバーにより維持される

          A21:パク・チャンキョン

          《チャイルド・ソルジャー》 北朝鮮の少年兵の画像。彼らも人間なんだな。 (10/14 真黒野差実(まぐろのさしみ)) ©まぐろのさしみ パク・チャンキョン 1965年ソウル(韓国)生まれ ソウル(韓国)拠点 南北朝鮮が抱える諸問題や、アジアの美術史・戦争史、地域で共有されてきた宗教的な遺産を哲学的に紐解く作品や映画を制作。また朝鮮戦争停戦後、初めて南北首脳会談が開かれた2000年からは、南北朝鮮の過去と未来を考察し数多くの作品や論考を制作・執筆してきた。2014年には

          A02:エキソニモ

          《The Kiss》 巨大な手ってどうしても全体主義のプロパガンダのモチーフに見えてしまう。スマホを持っているということはテクノロジーによって恋愛もマッチングされるがままというGAFA全体主義批判か?(きっとこれは心が汚い人の見方です) (10/7 なお) スマホ経由のKiss。AIが人間の知能を超える特異点-シンギュラリティ(2045年)。AIが人間に代わって仕事をこなすだけでなく、人間の営みへの介入もあるだろう。男女の相性をAIが判断し、「適正」ならばスマホをかざし

          A03:アマンダ・マルティネス

          《欲望の構造》 アマンダ・マルティネスの音楽の彫刻。どういう必然でこんな作品が生み出されこんなタイトルになったのか。どういう意味でこの作家が招かれたのか。作家の内的理由と、キュレーションの外的理由を読み解くのにものすごく頭をひねりました。3回くらい見て、ようやく自分なりの暫定的なこたえは出た。 (8/20 HANAMI Tadashi) 最初にタイヤのゴムなどを使った作品のタイトル《欲望の構造》を見て、オッ、トヨタ批判かと思ったけどそんなペラいものじゃありませんでした。失

          A04:レジーナ・ホセ・ガリンド

          《LA FIESTA #latinosinjapan》 外国人労働者に給料渡してパーティしてもらう。多幸感溢れる展示。 (10/14 真黒野差実(まぐろのさしみ)) ある国や地域の人をステレオタイプな枠にはめるのは通常つまらないのだが、これは自らその特性を賞揚して見せ、異国の地で内包されているその豊かさを提示する。あと、普段は表向き日本のスタイルに適応して窮屈にしてるんだろうなと申し訳なく思ったり。12分の映像。全部見た方がよいやつ。 (8/10 なお) ©️竹内久生

          A05:アンナ・ヴィット

          《60分間の笑顔》(《Sixty Minutes Smiling》) 不動のセンターになりたい。 (10/18 ハラックマ(原田教授)) 笑顔は人間社会では他者とのコミュニケーションツールとしても機能しており、大人になるとそれはもう内在化されてしまっているようにすら思える。感情が結びつかない笑顔の空虚さから、心からの笑顔の尊さを思う。別の部屋のミリアム・カーン作品《笑わなければ》とも自然と繋がった。 (9/19 ふう) ビジネスマン・ウーマンが60分間動かずにスマイル

          A06:ウーゴ・ロンディノーネ

          《孤独のボキャブラリー》(《Vocabulary of Solitude》) これの手前の展示のノリノリに踊るラテン人→60分動けないリーマンとの対比が鮮やか。人に自分を侮らせることができる存在(道化)の強さ。解説で西洋美術におけるピエロについて参照されてましたが、ブランクーシや愛知県美が持っているメダルド・ロッソの頭部も想起しました。 (1/11 なお) 笑いの消えたピエロが、虚ろな表情で考え込む。人の輪に入りたい、SNSに浸りたい。現代人は、孤立を恐れる「繋がりたい症

          A07:クラウディア・マルティネス・ガライ

          《・・・でも、あなたは私のものと一緒にいられる・・・》 (《... imaywanpas quidakuwakmi ... (... but you can stay with my stuff ...)》) 難しいが味わい深い展示だった。僕はひっくり返った犬🐶?猫😺?が好きです。 (10/14 真黒野差実(まぐろのさしみ)) 侵略された過去を持つペルー 断片的なモチーフは破壊されたイメージを静かに伝える 自身のルーツを愛おしむような静かな展示風景 遠い過去の独白 美

          A08:永田康祐

          《Function Composition》 《Semantic Segmentation》 《Translation Zone》 一目見て「好きだなぁ」と感じた。キャプションを読むとコンピューターによる物質認識で色分けやパーセンテージが示されているという。けれどどこかに懐かしさがありそれは何だろう。と気になっていた。もしかしたら昔読んだ海外の漫画の配色かな、と今思った (10/14 夜宮) 文化と言語、人間の移動による混淆現象を、料理をしながら思考する傑作。 フライドラ

          A09:石場文子

          《2と3、もしくはそれ以外(わたしと彼女)》 縁取り線の作品は今回新展開かな。画面を見ていると、囲われたモノが他の静物から区別され意志を持ってせり出してくるときと、逆に心理的に遠のいていくような気がするときが交互にやって来る。 (10/9 なお) ©️竹内久生 石場文子 1991年兵庫県生まれ 愛知県拠点 愛知県立芸術大学大学院油画・版画領域修了。ありふれた日用品にほんの少し手を加えて撮影することで、視覚的な違和感を生じさせる写真作品を制作。被写体の表面の一部に黒いペン

          A10:村山悟郎

          《Decoy-walking》 デュシャン参照してることが明示されていたけど、めっちゃ荒川修作風味も感じて、とても面白かったしうれしくなった。と言いつつちょっと私ゲームのルールをわかってない感があります。 (8/10 なお) ©️mayu.h 村山悟郎 1983年東京都生まれ 東京都拠点 武蔵野美術大学と東京藝術大学で絵画を学ぶ。在学中に自己生成的な絵画制作の方法に関心を持ち、自ら設定したルールに従って、迷路や網目のような絵画を描き始める。生命システムの基礎理論であるオ

          A11:田中功起

          《抽象・家族》 テーマに「複数の人間が、過去、現在、未来において、ある出来事や経験を共有することは可能か」という問いを掲げており、その複雑な文脈を断片的に可視化させて観客に投げかけているような印象。個人的にはその場で経験するスケール感や自分が囲まれているモノたちを強く意識した (10/5 ふう) 田中功起 1975年栃木県生まれ 京都府拠点 「複数の人間が、過去、現在、未来において、ある出来事や経験を共有することは可能か」という問いをめぐり、記録映像やインスタレーションの

          A12:伊藤ガビン

          《モダンファート 創刊号 特集 没入感とアート あるいはプロジェクションマッピングへの異常な愛情》 DランドEパレードの音楽もじり、稚拙なふりの制作過程。 会場ではクスクスと笑いがもれる。 没入とかイリュージョンもひもとき美術史も抑えて憎いわ!おすすめです。 (8/7 夜宮) ©️竹内久生 MODERNFART Magazine: http://www.modernfartmag.com/ 伊藤ガビン 1963年神奈川県生まれ 東京都拠点 「編集」を切り口に、紙媒体、