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《五重塔/壷》ほか

陶器の機能から飛び出して自由に広がるモチーフの世界に驚かされる。ただ飛び出しているだけでなく、センス良くまとめていて巧い。線で分けられたこちらとあちらの境界を無効化してしまうような爽快感がある作品群。個人的には細かな作品で作られた街のようなスペースが好みだった。
(1/20 ふう)


ユニークな組み合わせ、発想とそれを陶器で忠実に表現する技術がすごいなあ。作風が楽しげで気取りを感じさせないところも懐が大きい。
(10/14 夜宮)


「器であって器でない/飾られる為だけに作られた器」だそうな。壺の表面から雁が飛び出すインスタレーションや《五重塔/壺》を見ると、まさに主客転倒。壺は引立て役、絵が立体化して自己主張。更に《メロン/壺》の様なユーモア感覚が作品を包んで、見る者を和ませる。
(9/27 ゆでたまご)


花を挿す前から陶製の花が咲き狂う花瓶、羽根を持つ壺とその上を飛ぶ雁の群れなど、見慣れた形の器がエキセントリックに他の姿に転生する途中みたいな楽しさと超絶技巧と不格好さ。アールヌーヴォーや宮川香山の再解釈? 想像力を刺激されてめちゃ好き。
(9/14 なお)


悠々と羽ばたく鳥たちが水面から飛び立ったような皿の紋様もまた楽しい。
(8/31 かしゅらって)

N05_竹内ATN0814-31

©竹内久生

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桝本佳子
1982年兵庫県生まれ
滋賀県拠点
京都市立芸術大学大学院陶磁器専攻修了。幼い頃より茶道に親しむなかで、実用的な役割を持たず飾られるためだけに作られた器に興味を持ち、器とそれを装飾するモチーフの主従関係を壊す形態の陶器を作り始める。《群雀/五枚揃皿》では、絵付けされた雀が皿から羽ばたく。《壷/トンネル》は、壺の真ん中を道路のトンネルが貫通し、ヘッドライトを点けた車が行き交う。《圧縮紋(武人埴輪)》は、人型の埴輪モチーフを壺の型にぴったりとはめて焼き上げ、表面的な装飾と本質的な用途が逆転してしまっている。彼女は、古くからある伝統的な技法を用いながら、現代的で柔軟な発想で既存の枠組みを越境していく。その自由な想像力を支える技芸は超絶技巧の域である。(あいちトリエンナーレ2019公式サイトより抜粋)

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