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《なにもない風景を眺める》ほか


文谷有佳里の平面作品も、ひとまず線の新たな可能性を開拓する抽象絵画と言っていいだろうか。解説には、カンディンスキー、武満徹、図形楽譜という単語も踊る。作家自身が音楽を背景に持っているので、自ずと音楽的な何かが滲み出る。音でない媒体が音楽的であるとは何か。アマンダにも尋ねたい。
(8/20 HANAMI Tadashi)


繊細な筆致が伸縮を繰り返しながら、折れる、停まる、頭のなかで奏でる音楽のよう。

展示ガラス描かれた線が重奏のように広がる。

「情」というより「知」のイメージがする。
(8/17 夜宮)


いつも木村定三コレクションの日本美術を展示してる部屋で、展示ケースのガラスに描いた線とその中に掛けた作品の線が重なる。これまで増殖していくドローイングのイメージが強かったけど、今回はかっちりした感じ。新しい魅力です。
(8/10 なお)

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文谷有佳里
1985年岡山県生まれ
ブリュッセル(ベルギー)拠点
美術、音楽、建築のバックグラウンドを持ったドローイングを制作する。作曲を専攻していた大学時代、寸分の隙もない作曲様式の息苦しさから解放されるように、線を描く行為に傾倒していった。以降彼女は、音楽の即興演奏のように、譜面も下絵も迷いもなく、支持体に線を走らせる独自の作風を確立する。繊細で伸びやかな単色の線、有機的な形態の反復と集積。そして画面を大胆に分割し、作品に空間性を与える力強いシャープな直線。リベスキンドの建築図面から影響を受けた時期もあるという彼女の作品は、竣工されないアンビルト建築が持つ無重力的な空間を想起させ、カンディンスキーや武満徹が描いた図形楽譜の系譜にも連なるものである。(あいちトリエンナーレ2019公式サイトより抜粋)

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