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《無情》

身振りだけだと感情が伴わない分、より強制性が際立ち戦慄する。自分たちが経験していない過去の事実との距離感を、演劇の手法でリアルに眼前に出現させ埋めた上で記録と対比し、過去現在に共通する人の「情」へと接続して違和感を浮き彫りにする。半ば強制的に当事者に接近させられる観客の心。
(1/20 ふう)


日本統治下、台湾にあった日本人化のための学校の記録映像と、その中の動きをスタジオで再現した映像。振付の政治性を考えさせられ身がこわばる。高山明のアジアはひとつと併せて見たい。本筋ではないが、「海ゆかば」を美しいと思ってしまうのを抑えられず複雑な気持ちになった。
(10/18 なお)


「あの映像」の再演を現代の「彼ら」が再演するのか、という二重写しにも似た問題意識の注入が少し怖くもあり居心地も悪い。ずっしり。
(8/10 かしゅらって)

N03_竹内ATN1014-52

©竹内久生

藤井光
1976年東京都生まれ
東京都拠点

芸術は社会と歴史と密接に関わりを持って生成されるという考え方のもと、様々な国や地域固有の文化や歴史を、綿密なリサーチやフィールドワークを通じて検証し、同時代の社会課題に応答する作品を、主に映像インスタレーションとして制作している。その方法論は、各分野の専門家との領域横断的かつ芸術的協働をもたらす交点としてのワークショップを企画し、そこで参加者とともに歴史的事象を再演する「リエナクトメント」の手法を用いるほか、参加者による活発な意見交換を促す議論の場を作り出すなど、過去と現代を創造的につなぎ、歴史や社会の不可視な領域を構造的に批評する試みを行っている。
(あいちトリエンナーレ2019公式サイトより抜粋)

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