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N10:カタリーナ・ズィディエーラー

《Shoum》

1人ではなく2人での「音写」の作業というところがポイントで、消して書き直したりもどかしさがあるが、その過程自体に豊かなものを感じた。会話することで折り合いをつけて着実に前へ進む様子には希望も感じられる。同時にどちらかの意見が消えることも意味するが
(10/31 ふう)


英語で歌われた昔のヒット曲を2人のセルビア人が苦心してディクテーションする。書き取った表音アルファベットは、もはや何語でもなく本人にさえ意味を成さない。最後に自分で歌うのだが、皮肉にも意外と原曲の音に近かった。
(8/20 HANAMI Tadashi)

カタリーナ・ズィディエーラー
1974年ベオグラード(ユーゴスラビア[現セルビア])生まれ
ロッテルダム(オランダ)拠点
スピーチと言語の関係に着目し、映像、パフォーマンスなど多様な表現を行う。「母国語以外の言語を話すとき、私の言葉は『私が話す言葉』と『私を話す言葉』の狭間にある」と語る彼女の故郷、旧ユーゴスラビアは、7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家と形容される国だった。《Shoum》は、セルビア人男性2人が80年代にヒットした英国バンドの楽曲を繰り返し聴き、歌詞を書き起こしていく。彼女の作品では、言語は曖昧で不確かなものとして表現される。そこには現代社会が抱える言語とアイデンティティの暗黙の関係、異なる文化や言語圏に生まれる緊張に加え、その狭間に置かれた昨今の移民の苦境も浮かび上がる。(あいちトリエンナーレ2019公式サイトより抜粋)

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