店舗のトナメに店員が参加するのは許されるのか?

1 はじめに

 みなさんこんにちは、えりぞうです。

 さて、いきなりタイトルからして界隈が燃えそうな予感がしてますが、多少は過激な方が好まれる方も多いのでこの調子でやっていこうと思います。

 今回は、多くのプレイヤー達がもやもやを抱えながらも店側に放置されてきた問題に切り込んでいきます。前回と違い、店側もプレイヤー側も見られる内容になっていますが、向いている方向は完全に店側です。なにせプレイヤー側からは直接是正する事はできないのですから。

 私の職務経歴については、前回に記載しておりますのでそちらをご覧ください。

2 自身が経験したちょっとしたトラブル?

 ここで少し私の昔のエピソードを振り返ってみる事にします。
 時はさかのぼる事5年前の2014年。私がハンターサイトに入社して半年後くらいの話です。私もプレイヤーサイドから入っているので、入社前はアキバギルドで一人の客として遊んでいました。入社後も店舗勤務ではなく本社勤務だったので心の中ではまだプレイヤー気分が抜けきっていません
 アキバギルドにはSTEPと呼ばれるシットアンドゴーがあり、STEP1STEP2STEP3と勝ち上がっていく事によってプライズを獲得できるという仕組みです。
 私も当時は仕事終わりにアキバギルドに寄ってSTEPに多く参加していました。そして運よくSTEP1とSTEP2を通過し、STEP3に歩を進める事ができました。最後のSTEP3で上位に入るとプライズを獲得する事ができます。プライズ内容はもう失念しましたが優勝で10万円弱相当の海外パッケージだったかな?
 そしてSTEP3当日、シートカードを引いて若干の緊張感の下、テーブルに向かう最中にとある常連プレイヤーに声をかけられたのです。
 「あれ?君も参加するんだ?
 質問の裏側には、疑問というよりも明らかに敵意に満ちた感情が入っていました。私にはその敵意は感じられましたが、その真意は理解できませんでした。勿論質問の意味もわからないので、苦笑いしながらやり過ごそうとすると、
 「なんで店側の人間がSTEP3に出てるんだよ。おかしくね?
 と、言われたのです。
 いやいや、私だって店側とはいえ正式な手順できちんとSTEPを勝ちあがってきている訳です。勿論STEPのお金も支払っています。プレイヤー側として参加して何が悪いんだ??・・・とは当然言えず、
 「ははは・・・まあ勘弁してくださいよ」
 と、苦し紛れな言い訳をする事しかできずその場は逃げるようにテーブルへ向かっていった記憶があります。

3 トナメ参加の是非については至極簡単な答えがある

 とまあ、昔の苦いエピソードから帰ってきましたが、この件について僕がSTEP3に参加した事の是非については一旦置いておきましょう。
 
 要は店側の人間が店のトナメに出てもいいのかっていう疑問なんですが、これに関しては最も簡単な判断基準があります。それは、

 プレイヤーの損にならないのか
 
 これに尽きます。
 この判断基準に基づくと、私の昔のエピソードについては、私が参加する事によってプライズ競争率が激しくなってしまっている訳ですからNGだったという事がわかります。

 さて、この判断基準でこれから色々なケースを検証していく事になるのですが、その前に一旦前提条件の確認をしておきます。

 今回はタイトルにもあるように『店側の人間が店のトナメに出てもいいのか』という疑問についての考察を行っています。ここから『イベント関係者がそのイベントのトナメに出てもいいのか』という部分については除外してください。
 イベントの簡単な例を挙げると、例えば学生を中心としたサークル活動や、プレイヤー主導イベント(JOB-1など)が考えられます。そのイベント運営者は、完全に採算度外視自らの時間を削ってまでポーカー界隈の活性化に協力して頂いています。こうした方々にプレイまでするなというのはあまりに酷でしょう。ですので除外しています。
 あくまで利益追求を目指した店舗運営においての話だとご理解ください。

4 さあぶった切っていくぞ!

 では例題をいくつか出していきながら考察していきます。

 (1)店側の人間がフリーロールでトーナメントに参加して、上位入賞してプライズやら本戦権利を獲得していく
 これはもう完全にOUT。たった1球で3OUTになるぐらいの大アウトです。
 しかもタチが悪いのはこういった悪習が多くの店舗で当たり前のように行われている事です。OUTな理由は明白、それってプレイヤーにとって何の得にもなりませんよね?

 (2)店側の人間が自腹で代金を支払ってトーナメントに参加して、上位入賞してプライズやら本戦権利を獲得していく
 これも本質は(1)と変わりません。仮にその人がオーナーだった場合は、そのままその代金が自分の下に戻ってくるわけだし、そうじゃなくても裏で返金させたりいくらでもフリーロールにする方法はある訳ですから。プレイヤーからしてみたらその自腹部分についての裏の取りようがありません

(3)店側の人間がフリーロールでトーナメントに参加、その人が上位入賞してもプライズやら本戦権利は下位に繰り下げ、もしくはキャリーオーバーになる
 ようやく議論できそうなレベルまで降りてきました。一見すると、これならまあいいかなって思えるかもしれません。しかし、よく考えてみるとここにも落とし穴はあります。その店側プレイヤーの順位はプライズに影響しない訳ですから、入賞直前まで生き残ってしまうとバブルファクターがぐちゃぐちゃになってしまいます。
 例えば4人通過のサテライトトーナメントがあって、残り5人が全員同じチップ量だったとします。この場合、誰かからのオールインはAAなら受けられます
 しかし、1人店側プレイヤーがいて、4人通過で生き残りが6人だった場合は店側プレイヤーは実質順位に関係ないので、後1人飛んで残り5人になったら通過者が決定します。
 この場合、店側プレイヤーのオールインは他プレイヤーは例えAAでも受ける事はできません。なぜなら店側プレイヤーを飛ばしても自分のチップは倍になりますが、そもそも順位に関係ない人間を飛ばしてるので、ゲームセットにはできないからです。
 とまあ、少し厳し目に書きましたが、これはあくまでゲーム性が異なってしまうという側面もあるだけで、プレイヤー側の条件は均一で誰か損している訳ではありません。
 後はキャリーオーバーだった場合は次回持ち越しなので表面上は損得なしに思えますが、その回だけに参加していたプレイヤー視点だとプライズは減少しているように見えます。毎回参加するなら変わらないのですが。
 こういった側面があるのでプレイヤーが全く損しないかどうかという点では多少被る部分はあるかと思いますが、僕個人の意見としては(3)は状況にもよりますが許容範囲のケースも多いかなと思っています。

 (3)の代表例は池袋ギルドのBrian Cupが挙げられます。知らない方に説明しますと、池袋ギルドの店長のブライアンさんが毎回トーナメントに参加する池袋ギルドの看板プライズトーナメントになります。
 この場合、ブライアンさんが入賞してもそのプライズは次回持ち越しになり、決してブライアンさんが得する事はありません(仕事サボれる時間が増えるから得かも)。
 ブライアンさんが入賞した場合はその入賞分は次回にキャリーオーバーされますが、普段は店長業務をしているブライアンさんがテーブルでプレイヤーの皆さんとコミュニケーションをとる事は、色々なお客のご意見を吸い上げるいい機会にもなりますのでお互い得になるものと考えています。

 (4)トーナメント開始時間になってもお客が集まらず、仕方なくディーラーをプレイヤーとして充ててトーナメントを開始した
 こういう事態は何気によく起こります。この場合、最初に来たお客がトーナメント開催まで数十分待つ事もあり、ご迷惑をおかけする事があります。
 そういった場合はディーラーをプレイヤーに入れても致し方ないのかなとは思います。そもそもJOPTサテライトのような、人気権利がプライズのトーナメントならこのような事態はほとんど起こらないでしょう。
 平日平場のトーナメントで、普段はディーラーの子が時にはプレイヤーとして相対する、というのもいつもと違う新鮮さがあってプレイヤー側としてもおもしろいとは思います。
 尚、この場合、プレイヤー側になるのは『女性』が条件です。男性ディーラーがプレイヤーとなって戦う事に他プレイヤーは何のおもしろさも感じませんから。

 (5)店員がオフ日を利用して私服で遊びに来た
 また今までとは毛色が違うケースで、前項と重複する所も多いのですが、状況的に多く遭遇するので記載しました。この場合、その店員は制服を着ているか私服を着ているかで業務中なのかオフかの判断は可能です。ただ仮にオフだったとしても(1)や(2)に抵触する可能性が出てきますので幹部以上は避けた方が無難です。
 また、ここでもオフ日に自店舗で遊んでいいのは『女性』が条件です。恐らくこの(5)のケースは勝った場合はそのままプライズなり権利を獲得していくケースになりますが、もし『女性』だった場合は、男だらけのテーブルに一輪の華が咲き、楽しい時間を過ごせる訳ですからその部分ではプレイヤーは得になります。
 ここで男性ディーラーの方々から「ふざけんな!逆差別だ!」なんていうお叱りの言葉を受けるかもしれません。しかしそれが現実なのです。
 ちょっと話がずれましたが、(1)と(5)が混同されやすいので線引きとしては、
その人の役職はどうか 
性別は
参加頻度はどうか(プレミア感)
等で、総合的に判断するしかありません。『プレイヤーが損か』というのは、『プレイヤーが損だと思うか』という部分にもかかってくる訳です。
プライズの競争率があがるデメリットと、女性がテーブルに座ってもらえて楽しい時間を過ごせるメリットの両面を天秤にかけて水平ぐらいになるのであればアリです。

5 店側の言い分はこうだ

 さて、(1)に引っかかる店舗は多いと申しましたが、その店舗側の言い分の大体はこうです。
 「いや、うちは常連のお客様の多いアットホームな店舗なので、店員参加も皆さん暖かく迎え入れてくれていますよ。何もうちの事知らないのに一概に悪く言わないでください。」
 みたいな感じです。
 では、よしんばそのお店の常連客の全員が認めてくれているとしましょう。しかしながら、その店に初めて来る新規客がそれを認めてくれる確証がどこにありますか?HPやポーカーギルド、POKER FUNS等にトーナメント情報を記載して新規客への導線を作っておきながら、その新規客が嫌悪感を抱かない保障がどこにあるのでしょうか?
 勿論、この論点で言うなら全員が認めた上で完全クローズドでトーナメントを行うのであれば全く問題ないと考えています。

6 葛藤

 この記事を寄稿するにあたり、正直私の中では葛藤がありました。
 幸いにも在職中に多くの出会いに恵まれ、ハンターサイト内外の沢山の運営関係者と知り合いになり、よくして頂いています。
 今回はそういった方々の中にも、(1)に該当してしまう行為をする方もいるでしょう。
 ただ、こういった方々に対して、私は糾弾しようという気持ちは全くありません。そして「業界全体が腐っている!これを機に各々が見つめなおして今一度考え直そう!」といったプロパガンダを発信したい訳でもないのです。
 私は、こういった事例について、特に問題ないだろうと思って気楽に参加していたけど、実はプレイヤー側はそんなに気楽に思っていないのかもしれないよという事を言いたいのです。
 お店を良くしよう、売上を高めようとする店舗でも案外気がつかない所なので私からそっとを渡している訳です。
 ?そう、業界全体が赤く染まっている中で店舗も赤く染まってしまっている事を主観的に判断する事は難しいのです。なのでこので客観的に店舗運営のあり方を今一度ご確認してみて下さい。

7 最後に

 こちらは免責事項になります(言い訳とも言います)。

 前提条件として、店舗とイベントの切り分けを行いましたが、時にはその切り分けが難しいケースが存在します。そういったケースについて、個別判断として直接私に聞いてくるのはお控えください。あくまでこの記事の中の情報を元にそれぞれが解釈をお願いします。
 また文章中に男性ディーラーを揶揄するような表現があった事を深くお詫び致します。僕は絶望的に不器用なもので、ディーラーとしての才が全くなかった為、ディーラーとして活躍されている皆さんは男女問わず心から尊敬しています
 そして、この記事を見ていただければわかる通り、私は女性ディーラーのトーナメント参加についてはかなり肯定的で寛容なスタンスを持っています。しかしながら、女性ディーラーの方々は「お店にOKって言われてるから出てる」という意識ではなく、仮にオフ日だったとしても、あくまでその店舗でサービス業を提供しているスタッフの一員だという意識を持って沢山のお客とコミュニケーションをとってみてください。ポーカー自体を聖域化しすぎて完全に只のいちプレイヤーとしての立ち位置にはならないようにお気をつけ下さい。
 最後に繰り返しになりますが、この記事は店舗に向けての発信です。これはどうすれば『公平』になるのかを論じている訳ではありません。あくまでどうすれば『公平感』や『顧客満足度』を高めて、店舗の売上を上昇させていくのかという考え方に終始している事をご理解ください。
 常に切磋琢磨し、上質なポーカーイベントを提供してくださるディーラーの皆様に感謝の意を表して今日は締めようと思います。

それではまた。

8 次回予告 

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