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一昨年のクリスマス・イヴ


一昨年のクリスマス・イヴ


早朝、人通りの少ない道

まだ朝の色はどんよりグレー


車道をふらふら歩く一羽のカラス


こんなところを歩いているなんて、
めずらしい。


車通りはそこそこある道だから、
あぶないよ。


きょろきょろ歩いて、
飛んでいく素振りもない。



カラスの近くになにかある?

なんだろう?




ああ、



轢かれちゃったんだ。







可哀想に、

いや、もしかして、
あの子のつがい?


かなしいや、そんなのかなしい。



途端にあのきょろきょろと歩く姿は、
よたよたと力なく辺りを彷徨うように、
寂しげにつがいの死を嘆くように思えて、

未だそのそばを離れないでいる姿に、
冬色の哀愁が光景いっぱいに漂って、

私には何も関係ないのに、つらい。





カラスは一度つがいを見つけたら、
そのつがいと一生を添い遂げるらしい。



一方が死んでも、もう一方は
一羽のままで生きていくらしい。






あの子は一体これからどうするんだろう、
あの子はあの日一体いつまであそこにいて、
どんな気持ちで大切なつがいのそばから
飛び立つことにしたんだろう。



そんなことは2年経った今でも
知らないまま、知れないまま。

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