真理への道って?(前編)

そもそもカウンセラーになったのは、純粋な理由からでないかもしれない。
当時、誰もが知っているであろう企業に籍を置く私は充実した日々を過ごしていた。

ある日、ワイン教室で隣りに座った女性との出会い。
いただいた名刺には「カウンセラー」とあり、「HP見てみて。遊びにいらしてね」と誘われて出掛けてみると、ヒプノセラピスト(催眠療法士)養成講座の初日だった。

「場違いなところへ来てしまった」と焦る一方、「ここまで来たら帰れない」という諦めの気持ち。「ヒプノ」が何なのかもわからないけれど、「前世療法」の言葉には惹かれた。

そうして講座で催眠の技術や心理学に触れるうち、私の中に長年くすぶっていた形にならない疑問が少しずつ解明され始め、「真理への扉」が開き始めた。

「真理への扉」は、私が潜在的に長年追い求めていた目指す先だった。
でもそれが分かったのはもう少し先の話。

ヒプノセラピーの先生とは元々がワイン教室での出会いでしたから、プライベートで飲む仲に。
その先生に「おもしろい店がある」と連れていかれた元町の店はパワーストーンの店。
今でこそパワーストーンの店は幾つもあるが、10数年前は数少ない『鉱物店』の片隅で、一部のマニアがブレスレットを誂えるのが主流だった。

その店の店主は”不思議な力”を持っていて、一人ひとりに必要な石を選んでブレスレットにしてくれると言う触れ込み。
先生がキャーキャー言いながら、「この人すごい!私のことお見通し!」と店主を褒め称えるのを、超左脳人間・現実派の私は冷静な目で見守っていた。
すると店主が言った。
「あなたは家にある哲学の本を読んでみてください。哲学なら何でもいいから」。
哲学?
哲学と言えば福沢諭吉の『哲学のススメ』しか知らない。
もちろん読んだこともなければ家にあるはずもなし。
その日の夜、Amazonで哲学のジャンルを初めて検索。
口コミから「哲学初心者向け」みたいな本を見つけて注文したのが「シッダールタ」。
すらすらと読みやすい文章ですぐに読み終えたはいいが、その感想は・・・。
「で、何?」
これがどうして私に必要なの?
しばらくしてシッダールタが後にブッダとなると知ったぐらい、私は哲学や宗教性に無縁だった。ブッダとお釈迦様が同じってことを知ったのもさらにあと。お釈迦様という単語は聞いたことがあるけど、仏教は教科書で習う知識の1つ。よく分からないまま、とりあえずブッダを漫画で読んでみた。

私の哲学との出会いはそんな風。

それが今、こんな風に『真理への道』にこだわるようになるなんて、当時は思いもしなかった。

中編へ続きます


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