【ドラマ感想】後世に語り継ぎたい『アンメット』
ものすごいものを見た。こんなドラマを作れるんだ…。俳優さんも、スタッフさんたちも、誰一人として力を抜くことなく最後まで駆け抜けた。もう今年の一番はこれでいいでしょう!?というくらい、傑作。これ以上のすばらしいドラマにこの先出会えるのだろうか、と不安になる。
CMなしで、ノーカットで集中して見ることができたのでNetflixで配信してくれたのも本当にありがたかった。あと60話くらいやってほしい。
この先、ネタバレしたくない方は注意。
好き度:★★★★★
医療ドラマであり、ヒューマンドラマ。苦悩や葛藤を抱える脳外科医とその周辺の人々の話だ。映像の質感や音楽、こだわって作られていることが素人目にもわかる。そして、実力派の俳優しか出ていないってどういうこと?すごい。
見えないものを映す
手術中に患者ではなく、医者たちの顔をアップで映すのが新鮮だった。どんな思いでそこにいるのか伝わってきて、セリフにないこともこんなに伝わるのだと驚いた。
それから、愛って見えるんだな。三瓶先生のミヤビへの愛は、触れなくたってその視線で伝わってきたし、無愛想に見えてもその行動でわかった。海外では逆に三瓶先生の手を握るミヤビからも、最終回でミヤビの部屋にやってきたみんなの手からも感情が見えた。
記憶
昨日の記憶が今日につながり、今日の記憶が明日につながる。「記憶」というのが大きなテーマ。考えてみれば人間関係も記憶で作られる。昨日出会った人を覚えているから今日も人間関係を維持できる。今日も私が私であることは奇跡に近いのだ。
最終回が最高
どの回も毎回素晴らしかったけれど、その中でも最終回が好きだった。二人の出会いを最終回に持ってくるところ、「こうすれば影が消えます」の意味、自分の中に光があれば暗闇も明るく見える。
目の前の人を忘れたくない、覚えていたい、と記録するミヤビちゃんの姿が目に焼きついている。日記を読んで泣く三瓶先生の姿も。
手術室で、「この光景を忘れないでください」とミヤビに言った三瓶先生。最終回ではみんなが協力してミヤビを助け、今度は三瓶先生が同じ構図でみんなのことを見ていた。一人ではない。その光景を見せてくれたのは、ミヤビだった。
ラストの会話で全てが繋がって、もう他には何もいらない。ドラマが終わってしまって寂しいけれど、きっとずっと覚えている。