夫のこと
大切な記憶は自分のために文字にして残しておこうという気持ちになった
いつか忘れてしまいそうになった時に鮮明に思い出せるように
私は夫が大好きだ
私にとって夫は希望であり光であり人生唯一の幸運であり成功体験。全てです
そうなった理由は、彼の人間性が素晴らしいということ以外に、私自身の恋愛経験の少なさも原因であると思う
今までの人生で夫をいれて2回しかまともに人と付き合ったことないから恋愛の楽しさ自体をよく知らない。セックスの良さも。セックスはもちろんしたことはあるけど、愛と欲望の日々みたいな経験は皆無
恋愛において自分を曝け出すこともその快感もわからない
夫だけが私を見つけてくれて本気で愛してくれた
この世界の片隅で、私を見つけてくれてありがとう。ほんとにそんな気持ち
よくある話かもしれないが、それが私にとっては何より特別
夫が最初で最後で最高。これは今までもずっとこれからも。きっとそう、現時点ではそう思ってる
大学時代とか社会人1.2年目の時は合コンも沢山したけど私だけ全然モテなかった
合コンメンバーでグループラインを交換した後は大抵、女子だけのライングループができて誰から連絡がきただの誰に誘われただのといった話になるのが常だったが
あれが苦痛だった
私だけ誰からも音沙汰ないからだ
もちろん職場でのお誘いなんてなくて男性社員からは変な奴として避けられていたし、その度に、自分はなんでこんなに男性から求められないんだろうと帰り道悲しくなって泣いた。だって男が嫌いなわけじゃないんだもん。好かれないだけ
今だに浅い付き合いの人と恋愛話になると、元彼と、夫と、あと別に付き合ってないけど何回かデートしてフェードアウトした(ほぼされた)人たちをいろんな角度から切り取ってそれっぽく話す。まるで経験豊富みたいに。謎の見栄。
男性と心を通わせるという経験がほとんどないまま27歳になった時に、流星のごとく夫が現れた
それからずっとブレずに大好き
私は夫に散々意地悪をした。たくさんいじめた
ボコボコに殴ったりついにはメンタルを崩壊させて一時は病院通いにしてしまったりした
でも私自身はブレずに好き
終始一貫して大好きなのだ。変わらない。出会った時から
最近はやっと、夫が好きという気持ちと行動を一致させることができるようになってきた。ここに至るまで大層時間がかかった
最初の頃は、好きになればなるほどいじめていた
上にも書いたけど、馬乗りになってボコボコに殴ったこともあるし
寝てる時に夫の耳の穴に乾いた自分の鼻くそを入れたりした(次の日、何も知らない夫はなんか耳鳴りがすると言っていた)
突然電話をして長々とブサイクだの田舎者だの罵ったりもした
夫のセックス(とても淡白で優しい)にケチをつけたり自分も全然経験がないくせにエロ漫画で得た知識をひけらかしてマウントを取ったりもした
夫が18歳の時から着てるお気に入りのパーカーをハサミで切り刻んで、「いつかお前もこうしてやる」という言葉と共に写真に撮って仕事中の夫に送ったこともある
夫は一度だって私に怒ったり酷いことをしたり嫌なことを言ったりしたことはないのに
容赦なく傷つけた。人から好かれたことがなくて、好きをどう表現していいかわからなかった
でも何かしないといけない気がして何かしないと離れてく気がして、とりあえずそうしてた
彼は私に傷つけるられるたび、「にゃんこは可哀想。そうするしかできなくてとても可哀想。」と悲しそうな目をして優しく私の頭を撫でる
親や親戚や友達に愛されまくって、自然と人が集まってきて、すくすくと素直に成長して、人を故意に傷つけたり傷つけられたりしたことがない、そんな夫からしたら、私は確かに可哀想で、痛々しい存在なんだと思う
夫と出会ったのは5年前
大学時代の合コン仲間の女友達が紹介してくれた
彼女に最近できた彼氏、その彼の大学からの友人が夫だった
あなたに絶対合うから!2人で会ってきて!
と説得されて日比谷のミッドタウンで待ち合わせした
会った瞬間、顔を見て言葉を交わす前、
この人と結婚しよう。絶対死ぬまで一緒にいよう。ここにいたんだ。この人と出会うために今までずっと孤独だったんだ。神様ありがとう
と冗談じゃなく思った。一語一句そう思った
ちなみに夫はヤクルトの村上選手に似てるとみんなに言われる
私にはパクソジュンに見える
みんなの目がおかしい
ここで謝らなければいけないことがある
夫のプロフィールを紹介します。
・東大
・理系
・研究職
そう、商社マンではなく研究者です
人工知能の開発をしてる
スイスイさんのお悩み相談ではインパクトとボリュームを持たせたくて嘘をついてしまった
嘘偽りのない夫のプロフィールは上記です
なのでこの記事をもし知り合いに見られたら確実に身バレします
でも多分誰も見ないけど
一応この場を借りて訂正させてください。申し訳ございませんでした
夫の好きなエピソードは沢山あるけど
3つ紹介する
1つめ
初めて出会った時のこと
夫が予約した、銀座の、和なのか中なのか韓なのか、メニューや内装を見る限り全ての要素が詰まりすぎててもはやコンセプトが不明な居酒屋で向かい合って自分たちの話をいろいろした
「〇〇くんは東大なんてすごいね、頭良いんだね」
と褒めたら、
「すごい?別にすごくないよ
〇〇ちゃんはどこ大学なの?」
と聞かれた
〇〇女子大と答えた。〇〇くんみたいに頭良くないから、と。
「東大だと頭良くて〇〇女子大だと頭良くないの?どうして?」
と夫は本気でわからないという顔をしていた
そんな夫に少し苛立って、だって偏差値高いじゃんとたたみかけた
そしたら夫は少し黙って、ゆっくりと口を開いた
「確かに勉強が得意な人が多いかもしれないけどそれが頭が良いとは限らないし、すごいわけじゃないよ」
意味がわからない、そう伝えると夫が続けた
「絵が上手いのも足が速いのも勉強が得意なのも全部個性だよ。〇〇ちゃんが面白いのも個性だよ。
おれは勉強っていう個性がたまたま強かっただけ。だからって人より優れているわけじゃない。」
まっすぐな目でそう言った
夫は自分の能力を何も特別視していない
一度も塾も行かずに小中高地方の公立で、高3の秋まで部活をしていて、自分の部屋がないからいつもみんながいるリビングで勉強していて、それでストレートで東大に入ったことを全く鼻にかけてない
そういう個性だと思ってる
だから自分から学歴の話をしないし学歴で人を見ない。もちろん職業や収入でも
どんな仕事の人にもおじいちゃんにも若者にも、すごく丁寧に接する
隙あらば人を見下そうとする私と正反対で、誰に対しても平等に接するし、無条件で他人に敬意を持っている
2つめ
ここで私のたった1人の元彼兼初彼の話をする
私のたった1人の元彼は承認欲求と自己陶酔の塊みたいな男だった
元彼はよく自分の実家の家族への愛をロマンチックに語っていた。選民意識の強い奴だった
それはまぁ好きにしろという感じだけど
一度、神保町にある丸香という有名なうどん屋さんに訪れた時のこと
一口食べてあまりにも美味しくて、
思わず横に座ってる彼に、美味しいね?!と話しかけたら、
なぜか遠くを見て、
「小さい時さ、じいちゃんがよくスーパーで買ってきた冷凍うどん茹でてくれてさ。なんでだろ。このうどんすげー上手いのはわかるんだけど、やっぱじいちゃんの茹でてくれたうどんの方が美味いんだよなぁ。不思議だわぁ」
と酔いしれた表情で言っていた
そんなわけねぇだろ
職人舐めんな
冷凍うどんが丸香より美味しいならなんでこんな行列なんだよみんな家でうどん茹でるだろ
そしてお前それ列に並んでる時から言おうと思って脳内で何度もシュミレーションしてたな気持ち悪っ!
あと、その元彼は築地出身だった
ある時、2人で北海道に旅行した時のこと
小樽の有名なお寿司屋さんに入った
美味しい美味しいと私は沢山食べて店を出た。その途端、元彼が言った
「築地の魚の方が普通に美味しい」
そんなわけねぇだろ(2回目)
お前それ言いたいだけちゃうんかと。
いや、確かに築地のお魚の方が美味しい場合もあるかもしれないが、先ほど食べた魚は紛れもなく新鮮だった。とてもとても美味しかった。築地だと、2倍のお金を出さなければ食べられない代物だった。まず比較する必要がない
何かを下げないと自分が肯定されない、私みたいな可哀想な奴だった
なんか元彼のことを書いていたら気分が悪くなってきたのでそろそろやめておく
まぁとにかく、その男はいちいち癪に触った
そして夫の話に戻る
夫と出会って2回目のデートは結構お高めの恵比寿にある和食料理屋を私が予約した
夫がメニューにあるあら汁をみてすかさず、
あ!あら汁ある!と私に聞こえるか聞こえないかの声で呟いたので、好きなの?と私から聞くと
親が共働きで、親に代わって育ててくれたおばあちゃんがよく作ってくれたと教えてくれた
元彼の件があった私は、内心あーはいはいそれね
と思った
そして頼んだあら汁がきた
一口飲んで、上手い!と喜んでいたから、
でもやっぱりおばあちゃんのあら汁の方が美味しいの?
あえて聞いてあげた。そしたら、
いやこれの方が全然美味いと即答された
誰が作ったとかじゃなく、美味いもんは美味い。やっぱ東京は美味しいものが沢山あるね。〇〇ちゃんといると美味しいものにたくさん出会えるなぁ
と満足そうにあら汁をお代わりしていた
美しいと思った
彼の目から見る世界は常にフラットで平等で優しさと喜びに満ちている
何かを下げなくてもそれぞれが粒になって何色にも輝く
3つ目
出会ってから3回目のデートまで割り勘だった
私はそれが気に食わなくて、
4回目のデート時に、ご飯代は払って欲しい
と伝えた
私は今日に向けてお洋服も買ったしお化粧もしてきたし美容院も毎月いってる。維持費がべらぼうにかかってる。
と。話してたら段々とアドレナリンが出てきて、それだけじゃ足りない気がしてついでに
〇〇くんなんてどうせ維持費0円じゃん
と吐き捨ててみた
今までうんうんと優しい目で話を聞いていた彼が、
500円だよ、2ヶ月に1度、1000円カット行ってるし。と笑いながら答えた
そうか500円か。ごめん。
「〇〇ちゃんのプレゼンが面白かったから」と会計は全て払ってくれた
ここには書ききれないほど夫の好きなエピソードはあるけど、特にこの3つはふと思い出すたびに、夫が仕事中であっても出るまで何十回でも電話をかけまくる
彼は必ず折り返してくれるので、大体大塚愛のさくらんぼか、ドリカムのうれしい!たのしい!大好き!をフルで熱唱して電話を一方的に切る
関係ないけど私はめちゃくちゃ音痴
夫は友達や同僚の出世や成功を自分のことのように喜ぶ。同じように、挫折や失脚を知って泣いて悔しがるのを何度か目にしたことがある
私は自分のためなら泣けるけど人のためには泣けない。夫は逆。
夫は見返りを求めない
知り合いのお祝い時には金額は度外視で、心からあげたいものをプレゼントしてる。自分がもらったかどうかではなく、あげたいからあげている。もらってない人にもあげている。飲み会も、普段全然会ってない人から誘われた結婚式も、下手くそなテニスも、誘われたら楽しそうに出かける。そして、楽しかったなぁ!と毎回嬉しそうに帰ってくる。何が楽しかったの?と聞くと、必ず、ぜんぶ!と答える
夫の周りには常に人が集まる
特に子供はだいたい夫に懐く。私には懐かない。どこへ行っても輪の中心にいる
自分からガンガン話すわけじゃなく、ただそこにいてとにかく楽しそうにしている
人からマウントされたり悪意を向けられても、夫は楽しそうに笑ってる。気付いてないのではない、取り合わないのだ。綺麗な水しか飲まないのではない。夫を経由すると泥水もろ過され精製水になる
夫の口癖は大丈夫大丈夫!
私が悩んでても怒ってても悲しんでても、必ず、大丈夫大丈夫!と言う
娘が転んだり、ご飯をこぼしたり、失敗しても大丈夫大丈夫!と。
賢くて強くて器が大きくて何より優しい、それが私の夫。
私みたいに人に怒ったり見下したり期待したり落胆したり恨んだり傷つけたりしない
私と何もかもが正反対の夫
そんな人が私の一番近くにいる
だから私は大丈夫
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