いぬ派かねこ派か

先日、実家に帰ったついでに友達と相島に行った。
相島は福岡にある別名「ねこの島」とも呼ばれる島で
島の人が世話をしているのらねこがたくさんいる島だ。
他の人に教えてもらうまで知らなかったのだが
ちょっとした観光地にもなっているらしく、
島のねこは人に慣れているらしい。

過去にねこカフェに行ったのにほとんどねこに近寄ってもらえず
ほぼ観察のみで終わった経験のあるわたし。
普段道端でねこに会っても逃げられることの多いわたしが
本当にねこと触れ合えるのだろうか。

そんな不安を抱えながら到着した相島。
舟から降りるとそこかしこに無造作にねこが転がっている。
どきどきしながら近寄ってみても逃げない。
恐る恐る手を伸ばしたら難なく触らせてくれるし、
それどころかもっと撫でてくれと顎を手の上に乗っけてくる。
ワーイ、ねこ触り放題、ねこねこパラダイスだ。

ねこの姿を見つけるたびしゃがみこんで触るので全然前に進まない。
ねこトラップにまんまと引っ掛かりながらえっちらおっちら島を歩く。
ふわふわの毛、その下に確かにある脂肪や骨、動いている内臓を感じる。
なまあたたたかい体温を感じながら改めて
「この子たちは生きているのだ」と思う。
綿がつまっているぬいぐるみとは違う。
前に実家で飼っていたいぬを思い出してなつかしくなる。
大きさはちがうけど、毛皮の下に灯る「生きている感触」はおんなじだ。

どのねこも初対面のくせに、撫でてやるとすぐ甘えてくるので
少しびっくりしてしまう。
おいおいそんなに無防備でいいのかい?って感じ。
むっつりした顔をしながら近づいてきて
「わたしに興味ないのかな?」と思っていると、
あっさり腹ばいになって撫でてもらう体勢に入るねこもいて可笑しかった。
いぬとは違うなあ。
実家で飼っていたいぬはいつも撫でてほしいときは
全身で「かまってオーラ」を振りまいてわたしに媚びていた。
あのキラキラした熱視線。すきすき攻撃。
いぬとねこの違いってよく分からなかったんだけど、
こうしてみると違いがよく分かる。

ねこの中には撫でていたらねむってしまったねこもいた。
実家で飼っていたいぬは寝かしつけようと思って
どれだけ優しく長く撫でても
決してわたしの前で眠りにつくことはなかった。
眠ってしまうとわたしが家の中に入ってしまうのを
分っていたからだと思う。
少しでも撫でている手が止まったり、わたしが動く気配を感じると
うっとりして目を閉じていても、がばっと起き上がって
「もう終わり?もう行くの?」ととがめるような表情でわたしを見た。
ねこはそんなことはない。
わたしが撫でるのをやめて立ち上がっても
そのまま何事もなかったかのように寝そべっていたり、
フンという顔をしてこちらを振り返ることなく別の方へ行ったりする。
知らない人に可愛がられることにも、
その人たちがすぐいなくなってしまうことにも慣れているのだ。
そう思うとわたしは少ししんみりしてしまった。
ねこは強い。

いぬとねこの違いだけど、ざっくり言えば
いぬは情けない顔を見せるところだと思う。
実家で飼っていたいぬは
「好きで好きでしかたないんだよう~」って完全降伏したような表情を
ときどきしていたし、撫でるのをやめたり家の中に入ろうとすると
すがりつくような表情やそぶりをしていた。
ねこはそんなことしない。
いぬもねこも好きだけど、わたしはやっぱり犬派だな。
相島に行ってそんなことをおもった。

クロに会いたい。

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