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【ドキュメンタリー(3)DEAN FUJIOKA Musical Transmute Tour 2021】大阪ファイナル(2021.12.26 大阪 オリックス劇場)『⑱Runaway~EC① My Dimension & EC② Fukushima』

◆Interlude(演奏タイム②)



PlanBに入る前の演奏タイム①に比べると、この場面は参加ミュージシャン1人1人のソロが多く従来のメンバー紹介的な要素が高い。
この近未来的なメロディーのセッションの中では、主な演奏者に順番にスポットライトが当たる。
トップバッターはベースの二家本亮介さん、次にバンドバスターでありシンクマスターの木内友軌さん、キーボードの小林岳五郎さん、ドラムの白根佳尚さん、そして最後にギターの金子健太郎さんの順番で、そして最後に全員にスポットライトが当たり曲は終わるのだが、その曲の終わりが巧みにDeanさんが再登場する Runawayのイントロに繋がり、観客の手拍子を呼び起こす。
スクリーンには水気を含んだスライムを上から映したのと横から映したような映像が流れ、さらなるTransmute、細胞レベルでの進化の可能性に胸が躍る思いだ。


【⑱Runaway】


ミュージシャンの皆さんの演奏が徐々にTransmuteしながら『Runaway』のイントロに変化していくと、会場内のクラップがすぐさま反応し、ぴったり合わさっていくのが気持ちよい。

さきほどの白い衣装に水色とゴールドのロングコートをさらりと羽織ったDeanさんがハンドマイクを持ってクラップして、片足で跳ねながら飛び出すようにステージに出てくる。

観客はもちろん ほぼ総立ちだ。

Deanさんは観客にクラップを促しながら歌い出す。
観客は声が出せないぶん精一杯のクラップで応える。
「SOS」の歌詞の場面では、以前は指でSOSを描いていたが、親指を握り込む世界共通の「HELPサイン」を途中から使うようになり、さりげなく紹介しながらの歌唱。
サビの「Runaway」では力強く拳を突き上げ、観客もそれに応えた。

間奏でDeanさんは力強く呼びかけた。
「大阪!今夜限り、一夜限りの Musical Transmute、後悔はなしだ!」
2番に入ると、「SOS、SOS…」の場面でDeanさんは舞台上手から下手へ一気に駆け抜け「あがるぞ大阪!」と叫んだ。

「また会おう」のところは、観客のクラップを溜めに溜めていつも笑いを誘っているけど、ファイナルの今日も充分長かった。客席から笑いを誘うと、
「おおさか~!」とマイクなしで叫び、観客を沸かせ さらに
「また会おう、大阪で!」とマイクを通して叫び、最後をカッコよくまとめた。
後奏では、スカイブルーとゴールドのロングコートを脱いで舞台上手へ投げると、白い衣装で舞台に戻って来た。

【⑲Spin The Planet】


「Musical Transmute、これは俺たち全員の物語だわかるだろ!始まりの物語、いくぞ大阪!」
イントロが始まり、観客が一斉にクラップすると、Deanさんはこう叫んだ。

これは始まりの物語!
Deanさんはこのツアーが Season1 のファイナルであり、将来 Season2 があることを ここで約束してくれたのだ。

『Spin The Planet』は、人差し指をクルクル回す振付と、yeah ! で拳を突き上げるタイミングがポイント。
初日の埼玉からファイナルまでオーディエンスと共に成長し、一体感を演出してきた、Musical Transmute Tour を体感した人にとって大切な1曲になった事は間違いない。

途中正面の床に設置されている足元のカメラの前に座り込み、カメラを見て歌う詞のメッセージには「自分の心の声を聴いて、ためわらずに進もう」というメッセージが込められていると共に、Deanさんの前向きな詞の表現で、観客に自由の翼を与えてくれるようだ。
このシーンは、Deanさんの届けたいメッセージのコアを感じる。足元のカメラを見ながら歌えば 会場のどこに居ても、スクリーンの中のDeanさんと目を合わせながら メッセージを聴く事ができる演出も素晴らしい。

後奏でDeanさんは、
「なあ、大阪!俺たちなら もっとでっかい物語 一緒に作っていける。
わかるだろ、Musical Transmute、あの日見た夢の続き ! 」と力強く会場に呼びかけた。

【⑳Permanent Vacation】


イントロでは正面のスクリーンに、香港のモデル時代から始まるDeanさんのこれまでのキャリアが78枚もの写真でスピーディーに映し出される。香港から台湾、インドネシア、そして日本。よくぞこれほどの仕事を日本でと改めて感慨深くなる。
Deanさんもスクリーンのほうを向いているが、その表情は全く伺い知れない。
スタンドマイクを自分で持ってきて、振り返ると歌が始まるが、今日は「こっからだ大阪!」と叫んだ。

この楽国は、この曲がリリースされて何度もTVでパフォーマンスした時からの、昔ながらのDeanさんの振付が懐かしい。

途中からDeanさん自身がハンディカメラでメンバー全員を映す。
以前ならメンバー紹介を声でしていた。今は映像を映すだけだけれども伝わってくるものがあり、カメラに1人1人反応していくミュージシャンの皆さんの人柄が伝わってくるようだ。
後奏ではマイクスタンドをグルグルと回し、まだまだ溢れるエネルギーを感じた。
「そこにいる大阪!」
力強く客席へ叫び、ラストは 白い光に投げ出されるように、映し出される両手を広げたDeanさんが輝いていた。


【21 History Maker 2021】


スタンドマイクの前でゆっくり降ろされた両手は、今までの熱狂を鎮めるようなクールダウンのひと時。
イントロが流れ出し、Deanさんは少し目を閉じるようにして歌い出した。

その手はマイクスタンドの前で、時にゆるやかに重ねられ、時々ハートのような形を両手で作る。
この楽曲は原曲で3拍子だった History Makerを4拍子にリメイクしたもの。4拍子は英語で Common Timeと言い、Deanさん的な新タイトルは、History Maker 2021ではなく History Maker C であるとのことだ。

照明はシンプルな白いスポットだが、十字架の形をはっきり映し出し、とても幻想的で美しい。

本編では実質最後の曲であるこの1曲で、Deanさんはすごく良い顔をしている。目を閉じながらこの曲に集中しているように見える。その声は今までの疲れも見せず、かえって力強さと繊細さを同時に感じるものだった。

最後の一音を歌った結びに、なんとも言えない、とても良い顔をしている。

演奏は2拍目の歪みのある音が心地よい。元々の音源よりも より歪ませており、ダイナミックさと普遍的な雰囲気が生まれた。

最後「born to make history」の”history”の高音を丁寧に歌い、

演奏が終わると深い余韻とともに大きな拍手が沸き起こった。

正面を見てお辞儀。

みんなでお辞儀。そのあと両サイドから一人づつお辞儀をする。

最後に Deanさんが片方づつ両腕を広げ、深々と頭を下げた。

旋毛が見えるほど深いお辞儀。歓声はなく、拍手だけが聴こえた。

やがて、Deanさんとミュージシャンの皆さんは連れ立って、舞台下手の袖へ笑顔で消えた。

【EC① My Dimension】


カウントダウンのリズミカルなライトが客席を照らし出すと、会場いっぱいの手拍子の中、舞台下手からYAMAHAのアコギを抱えてDeanさんがスタスタ歩いて来た。
そして中央のスタンドマイクの前に立ったDeanさん。
右手を挙げて合図をすると拍手が鳴り止む。
大阪でも拍手が鳴り止んでから、ギターのリフを力強く弾き始めたDeanさん。

大阪でもギターのリフはトゥルルーンと装飾が入り、力強くもお洒落な大人の雰囲気に。
約1時間半、長くてハードなパフォーマンスをしてきたとは思えない、伸びのある艶やかな力強い歌声、まっすぐなパフォーマンスに圧倒された。
途中、ギターのピックガードを右手の小指側面で叩きながらリズムをとって歌うDeanさん。

そしてアカペラ部分は、1フレーズ目はDeanさんのマイクを通した完璧な歌声、2フレーズ目、Deanさんは1歩下がり、観客は手拍子と 密やかなLaLaLaの合唱は奉納のように会場を満たして、3フレーズ目はDeanさんがマイクを通して歌い、4フレーズ目は前回と同じく、マイクをはずして生の歌声を聴かせてくれた。

『My Dimension』の歌詞では、 Acknowledge …以下が、Recognize the truth, it'll set you free と、一部 Neo Dimensionの歌詞に差し替えられている。この歌詞に変えた事で よりDeanさんの等身大に迫り、そしてよりタイムレス感、エターナル感が出て、2019年の仙台ライブで一端 封印すると宣言した My Dimension が、ずっと歌い続けられる歌に Transmute されたと思うと、この楽曲を愛する1人として、Deanさんに感謝せずにはいられない。

歌い終わると この日一番大きな拍手の中、 Deanさんは拳を突き上げた。
万来の拍手の中、達成感ある表情に心が揺さぶられ、目頭が熱くなった。
Deanさんは両手でYAMAHAのアコギを高らかに突き上げてもっともっと大きな拍手を求めた。最後にこらえきれず客席から飛び交う歓声。みんなDeanさんへの感謝を口にしている。

やがてDeanさんは口を開いた。

【MC】

「Musical Transmute Tour、大阪!みんな今日は来てくれて本当にありがとう!ファイナルだこれで。Final Transmuteだ。(どよめきと拍手)
本当はこれでおしまいなんだけどね。(期待の拍手)
今日は旧暦の五代さんの誕生日なんだよね。知ってた?(「おーっ」と声と拍手)

本当に偶然っていうのは重なりますね本当に。このツアー4ヶ月間ずっと回ってきて、都度 都度そういう事は起こったけど、まさかファイナルまで、ここ大阪でね、こんな非常になんかそういったね、巡り合わせを引き込む、惹きつける戯曲、Musical Transmute、皆さんのお陰で4か月間無事走り抜け、そして今日ファイナル、Final Transmute を終えることができました。
本当にありがとうございました。(拍手)

そんな特別な日に、もう1曲。【歓声と拍手)『おかえり』って言ってくれたから、「ただいま」の気持ちを込めて」


これからがスタートかなぁと思っております。(拍手)
今日は Musical Transmute Season1のファイナルという事で。
もっともっとでっかい会場で、このMusicl Transmuteという戯曲を
皆さんと一緒に育てていけたらなあと思っております。

でっかい物語一緒に作っていこうぜ!(拍手)

なあ、大阪!でっかい物語、一緒に作っていこうぜ!(拍手)

それでは 聴いて下さい、Fukushima」


【EC② Fukushima】


コードを1つずとポロロ~ンと弾いて、始まったアンコール、Fukushima。
「未来へと吹く風に」でギターが止まり、
「思い出す 嗚呼 ふるさと」はアカペラで。
そのあと伴奏が再び入り、美しく曲をまとめた。ため息交じりの観客の拍手。
Deanさんは安堵したような表情で右手を挙げてお辞儀をし、拍手に応えた。

最後の緞帳が閉まった。。

次に繋がる豊かな余韻を残して、Musical Transmute Season1 は終わった。
そして、次の『もっとでっかい物語」楽しみにせずにはいられない。
「また、会おうどこかで」…。



【大阪ファイナルデータ】

日時:2021年12月26日(日)

天気:晴れ時々曇り   気温:最高 5.8℃ 最低 3.0℃

場所:大阪 オリックス劇場

開演:16:07

終演:18:00

規制退場:あり

Deanさんの様子:終始ご機嫌。

ヘッダー写真は公式Twitterよりお借りしました。今までありがとうございました。

【終わりに】

今回の Musical Transmute Tour 2001は、新しいLiveの在り方、見せ方を提示したものだった。
HistoryがTransmuteする瞬間を目撃した。
Musicianの、劇団員の皆さんが素晴らしかった。
Deanさんは、最後締めくくるというよりも、Season1を完結し、Season2へ飛び立つという感じでファイナルを終えた。そう、2019年のジャカルタライブが Prelude To Tomorrow 明日へのプレリュードと名付けられたように。
次のTransmuteに期待している。

【Musical Transmute Tour2021】

(敬称略)

プロデュース・ボーカル・ピアノ・ギター DEAN FUJIOKA
キーボード 小林岳五郎
ベース 二家本亮介 鈴木渉
ドラム 白根佳尚 望月敬史
ギター 金子健太郎
バンドマスター/シンクマスター 木内友軌
演出 当銀大輔

(完)