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【ドキュメンタリー(1) DEAN FUJIOKA Musical Transmute Tour 2021】大阪ファイナル (2021.12.26 大阪 オリックス劇場)『①Neo Dimension から ⑦Sayonaraまで』

DEAN FUJOKA さんのMusical Transmute Tour 2021、大阪の最終公演についてドキュメンタリータッチで書かせて頂きました。DEANさんが実施した18か所20公演の中で、16カ所17公演(子供の行事のため福岡・岡山・大阪①は欠席)に参加できた事、またその全てについて書かせて頂けた機会に感謝いたします。
今まで体験した事のないコ ロナ禍によって 制限のある状況下で、家庭や仕事の事情などで「DEANさんの公演に行きたくても行けない」そんな声を多く目にしてきました。
DEANさんの音楽が大好きな私は、行けない人の辛さを思うと胸が張り裂けそうでした。自分に何かできる事はないか考えました。
そんな中で、ある日ふと沸いた考えが、もし私が行って様子を伝える事ができたら、もしかしたら誰かの役に立てるのかもしれないという事でした。幸い私の会社は毎週PCRの検査ができた事も一因ですし、我が子の為に夫や実家のサポートがあった事は大きいです。
初めてnoteを作って実際に投稿してみると、お陰様で私の書いたレポートによって、「『追いディーン』したくなって、東京公演を追加した」とか「noteに書いてあった方法で 子連れでライブに行けた」等、ライブ会場で直接私に伝えて下さる方が何人もいらっしゃったり、TwitterのリプライやDMで感想を書いて下さる方が沢山いらっしゃって、それはもう本当に大きな力になりました。心から感謝いたします。
ようやくネタバレできるようになり、ドキュメンタリーは(1)~(3)を予定しております。
次回のライブは、私がレポしなくても、行きたい人みんなが参加できる世の中の状況になっていればいいなと心から願っております。
どうぞ最後までお付き合い頂けましたら嬉しいです。

【ストラヴィンスキー「火の鳥」に迎えられて】

客入りのBGMはDeanさんの選んだ曲、イーゴリ・ストラヴィンスキー『火の鳥』。
1曲目のNeo Dimensionの歌詞とリンクする1曲。
一歩劇場に入ると日常から完全に切り離され、これから展開する舞台の期待に胸を躍らせながらも どこか厳粛な気持ちになれる時間。

【Musical Transmute の緞帳が上がる】

劇場のブザーが鳴る。
客席の照明が暗くなると共に緞帳が静かに上がる。
このMusical Transmute Tourはどの会場においても緞帳が上がって始まり緞帳が降りて終演となった。
舞台上にはスポットライトだけが照らすDeanさんとMusicianのメンバー5人。
Deanさんはラメの黒系ロングコートの出で立ち。
拍手で迎えると6人はくるりと後ろを向き、それぞれの定位置につく。

【①Neo Dimension】

ひと呼吸あってイントロが流れ出すと、舞台の中央にいるDeanさんにスポットが当たり、Deanさんがゆっくり振り返る。
だがDeanさんの表情は伺い知れない。真上から照らす白色のスポットライトの為にボリュームある髪型が表情を隠している。
Deanさんの穏やかで柔らかい声で歌が始まる。
スローな手の動きや身体の動き1つ1つがスポットライトに照らし出されるたび、音楽とその動きの世界観に引き込まれる。その見せ方はまるでベジャール振付の『ボレロ』のようだ。

『Neo Dimension』、現在地でのDeanさんの自己紹介の楽曲。久しぶりに生でDeanさんを観る 観客の膨らみきった期待を 少しクールダウンさせるところから始まるこの曲は、ラテンのリズムを刻みながらやがて熱を帯びていく。Musicianの1人1人にもスポットライトが順に当たっていく。
1番と2番の間の間奏でDeanさんは華麗にくるりと一回転し コートの裾をひるがえす。
2番になると歌はクールなままだが、刻むラテンのリズムはますます激しくなり、明らかに会場の熱量が上昇している事に気が付く。
Deanさんのゆるやかなダンスやハンドモーションも大きくなり、身に付けているロングコートの裾は蝶が舞うようなダンスステップを踏む。
ドラムスが音を刻むラストでDeanさんは瞬時に後ろを振り返り手を挙げて曲を止めた。
暗然たる世の中に舞い降りたフェニックスの姿をそこに観た。

【②Take Over】

華麗なドラムの音と共にピアノのイントロが流れると客席の8割が立ち上がって拍手で迎えた。Deanさんは右手を大きく上げて胸に当て、うやうやしくお辞儀をする。客席から大きな拍手。いよいよMusical Transmuteの幕開けとなるセレモニー。
ピンクと白のライトに照らされてマイクスタンドに体を預けるように歌うDeanさん。その疾走感あるパワフルな歌声で、会場の空気をいっぺんに変えていく。空気に華やかな色がついていくようだ。手のひらを上に 手招きする懐かしい来来ポーズ。途中 中国語の歌詞のところで照明が赤くなり、空気が少しクールダウンするところもメリハリが効いている。後半でコバルトブルーに変わっていく照明も美しく華やかなラストを飾る。

【③Shelly】

ドラムスの音に合わせて Deanさんがアンドロイドのような動きで右手を動かした いくつかのパントマイム。手のひらで右目を覆う。手をゆっくりとリムーブするとイントロが流れ『Shelly』が始まる。
柔らかにスモークが焚かれ、ライトはピンクやオレンジ そしてパープルに変わり 甘美な万華鏡のような雰囲気に。心地よいベースの刻みに スタンドマイクを軸にして揺れながら手振りを加え、気持ち良さそうに時々目を閉じて歌うDeanさん。
音源よりも若干歪みのあるサウンドが心地良い。サビではチカッチカッと客席に向けられた白くて眩しいフラッシュが幻想的な雰囲気を醸し出した。
中国語の歌詞の部分ではライトはグリーンに変わり視点の違いを際立たせた。
ラストはマイクスタンドからマイクをはずすと、まるでディアンジェロ(D’Angelo)が乗り移ったかのようにファルセットを効かせたセクシーな歌声とパフォーマンスで魅了する。
コーダでDeanさんは 舞台中央の後方のテーブルで 緑色の透明なグラス(Villeroy & Boch製)に自ら水を注ぎ、客席へ掲げた後、上手(かみて)側と下手(しもて)側へ行き乾杯するかのようにグラスを高く掲げた。正面スクリーンでも投影され、客席でも乾杯をする人がちらほら。水を飲んでグラスを掲げながら 左手は五指を動かし拍手を求めたラスト。
グラスを先ほどのテーブルへ置きに行く。

客席には後ろを向いたまま ロングコートをこれ見よがしに肩から脱ぎ、『フーテンの寅さん』スタイルで肩にひっかけ正面を向くと次の曲のイントロが始まる。

【④Made In JPN】

ヒョウ柄に シルバーの鉄格子模様のストライプがアクセントとして全体を引き締める 軽やかな半袖スタイル。
明るく爽やかなベースソロのイントロで Deanさんがベースを指差すと、高まっていく観客の手拍子。
軽やかにステップを踏みながらハンドマイクのDeanさんが中央で歌いだす。
パープルの光がオレンジに変化する照明。
キーボードとドラムス以外のMusicianの皆さんが頭の上で大きく手拍子をして観客を盛り上げる。
中央で歌い出したDeanさんは、右へ左へ歩き回り笑顔で愛嬌を振りまく。まずは舞台上手(かみて)側へ行き、胸に手を当てて「お疲れ様です」とお辞儀する振付。次には下手(しもて)側へ行き「お疲れ様です」と。両サイドの観客が声を出さずにライトを振って喜びを表している。
Deanさんは上着を肩にかけたままハンドマイクで歌っていたが、間奏では大股で舞台の中央奥へ歩いて行き上着をかける。
後半、歌に合わせながら片手を頭上でワイパーのように大きく振り 観客もその振りに応える。Deanさんは手を振りながら目線を2階3階へ動かしながら指差して笑顔で応える。
楽しそうな表情で歌い歩き回るDeanさんだが、ラスト、右手で会場を打ち抜く動きと同時に 冷酷とも言える無表情で、会場の雰囲気を一気に次の展開へと誘っていく。


【⑤Searching For The Ghost】

懐かしい フジテレビ系ドラマ 月9『シャーロック』のオープニングテーマのイントロに会場の手拍子も高まり、最後まで座っていた観客も一斉に立ち出した。観客の当事者感が一気に高まるナンバー。
グリーンとレッドの照明の中、俳優としてのキャリアが相乗効果となり、中腰で歌いながら、時に地面を這うようにしながら、表現力豊かなDeanさんのボーカルが展開される。
正面の大型スクリーンでは、無人の地下鉄の構内のような 窓のない建物が映る。右側に地下へ降りる階段が見える。次第に煙が建物を覆い 不穏な気配のなか次第に視界は泥塗られ遮られていく。
2番では香港の高層マンションのような建物を俯瞰から だんだん近づいていく映像。忍び寄る煙が再び不穏な空気を漂わせる。煙はやがて街全体を包みこみこの風景も次第に泥塗られていく。
Deanさんは自らハンドサインの銃口をこめかみに突き付け、ふと我に返るような演技。
赤と白のグルグル回るライトの中、次第に舞台上も煙に覆われていく。
Deanさんは煙の中で翻弄され、逃げ惑うように手足を動かし、白い光がチカチカする中、シュッという効果音で床に片手をついた。
手をついた場所から何かを拾ったようだ。Deanさんはそれを拾うと真っ直ぐ空へ向かて投げた。ピーンと音をたてながら その何かは空高く投げ上げられ、やがてDeanさんの手のひらがそれをキャッチしたところで次のイントロが始まる。

【⑥Follow Me】

Musicianの皆さんの足元から天井へ向けて パープルのライトが柔らかく照らし、グリーンのスポットライトが回転しながら動いていく幻想的な舞台。
中央で身体でリズムを取りながら正面を向いて歌うDeanさん。
歌が始まるとピンクとブルーのスポットライトが舞台上を動いていく。
歌詞のrewire~でゆっくり指を回転させながら穏やかな表情での歌唱。
間奏の間に舞台後方のテーブルへ歩いて行き、さきほどのグラスに水を足す。
水を飲んで、『why why why ~』の歌詞ではグラスを掲げ、そこからグラスを片手に歌いながら右へ左へと歩いていく。
パープルのライトの中、グリーンの模様が会場を回るように照らしていく。
アウトロでは舞台上の黒い四角い箱型の装置に座り、曲のラストではドラムスの音と共にハッとした表情で 光の照らす下手(しもて・左側)を振り返る、物語性を感じるパフォーマンス。

【⑦Sayonara】

ピアノにスポットが当たる中イントロが流れ、スクリーンに海と砂浜の情景が浮かび上がると曲の世界へ自然と誘われる。
Deanさんは座ったまま水の入ったグラスを空へ掲げて、覗き込むとそこは海が広がっている…。そんな場面から始まる新曲。
Deanさんは見つめていたグラスを 自分が座っている場所の少し後ろへ置き左手に握りしめたマイクで歌い始めた。
『さようなら…って。ガチで好きだったけど…。嘘じゃないよ。後悔はしないから…』
せつないDeanさんの歌声が 観客1人1人の思い出を呼び覚まし胸をぎゅっと掴むようなエモーショナルな1曲。
間奏では、マイクを持った手のひらを上に突き出してゆっくり振った。
2番では足を組んでの歌唱。
途中『さよなら』の歌詞になると立ち上がり、中央でエモの極み的 熱唱を繰り広げた。

スクリーンに映し出された海の景色は しだいに夕景を帯びてゆく。

曲の終わりに再びグラスを手にして、空へ掲げると、逆光のコバルトのスポットライトが当たり再びグラスの中は海の世界になった。
Deanさんの口元に少し笑みが浮かぶ。
客席もコバルトに染まり、曲の終わりと共に暗転した。

暗転(グラスを後ろへ置きに行く)

⑧One Last Sweet Talkへ続く
※お写真はDeanさんInstagramより