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子供の情景
サマータイムから
すっかり日照時間が長くなり、夏休みまであとひと月。
フランスは年度末だ。
5月は連休が続き、花が咲き乱れる中
あちこちでイベントがあり
子供達も浮き足立って落ちつかない。
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そんな中、娘は6月に3回、
リサイタルを予定している。
今まで私達両親や友達、先輩達と
一緒に様々なコンサートに参加してきたが
ひとりで1時間近く弾くリサイタルは初めてだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1716550547646-thtwBggNPE.jpg?width=1200)
昨日は日帰りでパリに、
ピアニスト、クレール=マリール・ル・ゲ先生の
レッスンを受けに行ってきた。
エクソンプロヴァンスから列車TGVに乗れば
パリには3時間で着く。
このリサイタルでは
バッハ フランス組曲2番
ショパン 練習曲op.25-2
トゥリーナ ジプシー舞曲 セギリーリャ
シューマン 幻想小曲集 飛翔
シューマン 子供の情景
シャブリエ スケルツォワルツ
という、なかなか大きなプログラムを用意している。
昨日は、
その中でも苦労しているシューマンの子供の情景を
見ていただいた。
子供の情景とはいうが
決して子供の目線で見た情景ではなく
大人が懐かしむ子供時代を描いた曲であるから
11歳の、まだ現役子供の娘には
難しくて当たり前よと言ってくださった。
![](https://assets.st-note.com/img/1716553017538-2pyUM2DQe4.jpg?width=1200)
いつもクラシック音楽のラジオを聴き
大人顔負けの本も読む娘が
どんなに背伸びをしても
まだ掴めないノスタルジーというものがある。
けれどこの曲は
きっと一生弾き続けてどんどん変わっていくのだから
今のあなたの世界で想像力を広げて弾いたらよいのよと
仰った。
それから一曲ずつ
ここは例えばママにおねがいおねがい、と
可愛いく一生懸命ねだっている感じ、
ここはもうすぐお友達との別れが迫って寂しい感じ、
など、娘の日々の暮らしに寄り添った
丁寧なアドバイスをいただいた。
娘の先生であるマルセイユ音楽院のヴェロニク先生は
作曲家の意図をとにかく大切に
一音一音に厳しくこだわって
深い音楽を作っていく。
8歳の時から見て頂いているが
娘を子供扱いしたことはない。
そこが大好き、なのでもあるが
昨日は優しいクレール=マリーさんにお母さんのような
目線で見てもらったことも良かったようだ。
決して褒められたわけではないのに
レッスンのあとは
がんばる!と、やる気をみせていた。
なかなか打たれ強い。
もうすぐ小学校生活も終わり。
時々切なくなることもある。
ピアノの下で眠りたいと
マットレスや毛布を持ち込んで夜を過ごすほど
ピアノが好きでも、
11歳でひとりでリサイタルをするという重みに
押しつぶされはしないか、
母として心配になることもある。
できないかも、と泣くこともある。
しなくても良いよ、と言ってしまいたくなる。
それでも今の彼女にしか弾けない、
子供の情景が広がるのを
信じている。
![](https://assets.st-note.com/img/1716553551937-T2l0m7NhZE.jpg?width=1200)
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