読書記録「あられもない祈り」

「私」「あなた」「母」「直樹」を中心に、私が私を大切にしていく物語。

名前のない「あなた」と「私」という表現でしかない登場人物にもかかわらず、何故かしっかりとクリアに見えてくる人物像。それは、名前のある人物たちも、情報は最低限のはずなのに、人物像がはっきりと見えてくる、とても特別な本。
内容は重いが、後味は悪くない。

洋服の描写が細かく、「私」である女性を表現するのに、特別な効果を持たせている。

キーワード

洋服 駅のホーム 父 愛人 妾の子 別荘 ビール 灯台
逃げる、追いかける。引きの恋愛。


一人で迎える夜は、世界の終わりだった。細く長い月明かりが照らすベッドに横たわるたびに、毎夜、死んでいく。朝になればまた生き返るとしても、恐怖は薄れることなく運ばれてくる。


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