見出し画像

お裾分けに行ったつもりが物々交換して多幸感に包まれ帰宅した話

ある日、旦那さんがダンボールいっぱいのタラの芽
を持って帰宅してきた。

職場の人と仕事の合間に収穫して、
職場の人みんなで分けて一人当たりこの量らしい。
(ダンボールいっぱい)

当然、二人暮らしのわが家で食べ切れる量ではない。

その日収穫したばかりのタラの芽は、
鮮度抜群でピンピンしゃっきりと透き通った目で見つめてくる。

「今が旬よ♡」とばかりに、
全身で麗しいオーラを放っているタラの芽ちゃん。

さて、この子達をどうしよう…。

わたしの頭は、お裾分けする先の人たちを、
タラの芽ちゃんたちを喜んでくれそうな人たち
を一生懸命リストアップし始める。

*わたしの実家はちょっと遠く、家の後ろに広大な山もあるため
 今回は見送ることにした。

翌日は、タラの芽ちゃんお裾分けDAYに決定!

⒈働き者のおかあさん

まず、まっ先に思い浮かんだのは、
旦那のおかあさん。

いつも余ったおかずをタッパーに入れたり、
冷凍しておいてくれて分けてくれる。

仕事柄、おかあさんの作るおかずは、
何を食べても本当に美味しい!!


「おかずがたまったから、いつでも取りに来て」

とおかあさんからのLINEが入ることを密かに心待ちにしている、
食いしん坊のわたしがいる。

おかあさんなら
きっとこのタラの芽ちゃんたちも
それは見事に美味しく調理してくれるのは間違いない。

タラの芽ちゃんも幸せに違いない。

というわけで、おかあさんのところへ
タラの芽ちゃんを届けに行った。

「もう今年は出たんだね。うわぁ〜立派!嬉しい。」

と、喜んでくれて、わたしもタラの芽も大満足。

「これ、ちょっとだけどまた持っていって」
と、また作りたてほやほやのおかずたちをいただく。

タラの芽ちゃんが昆布の煮物、ハンバーグ…etcのおかずに変身。

ありがたや〜


⒉親戚のおじちゃんおばちゃん

引っ越す前はご近所さんだった
親戚のおじちゃんとおばちゃんのお家。

今は少し離れてしまったけれど、
前はよく散歩途中にすれ違ってしゃべったり、
おじちゃんおばちゃんがつくった野菜やお赤飯や漬物なんかを
よくいただいた。

おじちゃんおばちゃん世代は、
きっとタラの芽好きに違いない。

そう勝手に決めつけて、
日ごろのお礼もかねて届けに向かう。

ちょうどお昼時で、おじちゃんとおばちゃんは在宅。

タラの芽も喜んで受け取ってくれた。

「じゃあ、また…」と、立ち去ろうとすると、
おじちゃんが
「ごぼうはあるか?」と聞いてくる。

目線を右に移すと、
玄関の脇にそれはそれは立派なごぼうが何本も置いてある。

黒い土が付いたままで、
太くどっしり、なんともたくましい。

おばちゃんが作ったごぼうらしい。

「持ってって〜」
と、おばちゃんがささっと新聞紙を持ってきて包んでくれる。

いつもそう。
おじちゃんとおばちゃんのところに来ると、
必ず何かもらって帰ることになる。

今回も然り。

立派なごぼうを3本も包んでもらう。
近々、金平ごぼうを作ろう。

ありがたや〜。


⒊急きょ配達、畑の師匠宅

引っ越す前、アパートの近くで畑を貸してくれる人が見つかり、
畑をいじった期間がある。

その後、すぐ引っ越しが決まり、
玉ねぎの苗とキャベツはポツンと取り残されるかたちに…。

玉ねぎの苗は、
隣の畑で立派な野菜を作っている
畑の師匠が分けてくれたもの。

植え方は、師匠の畑を見て真似した。

引っ越した後、久しぶりに畑の様子を見に行くと、
わたしの畑の玉ねぎ苗にも追肥がしてあった。

師匠に間違いなかった。

師匠の優しさが身に沁みて、何か言葉にならない感情が込み上げた。

そんな師匠の姿が遠くの畑に見えたため、
車で近づいて行ってみる。

近くに行ったらびっくり!
畑の師匠ではなく、畑を貸してくれた恩人おじさんだった。

しばし、会話に花がさく。

「タラの芽、食べます?」
と聞いてみると、すでにもらってあるとのこと。

でも、
「◯◯さん(畑の師匠)は、山菜大好きだぞ。
 持って行ってあげぇ。」
と、ありがたい情報をいただく。

追肥のお礼ができるチャンスじゃないか!!

急きょ、畑の師匠宅へ。

おかあさんが出てきてくれて、
その後、お地蔵さんのような穏やかなおとうさん(師匠)も
出てきてくれて、

タラの芽ちゃんを嬉しそうに受け取っていただいた。

お二人暮らしだからと、量を加減したのだけれど、
話をしているとそうとう好きみたい。

「まだあるんですけど、もらってもらえます?」

と言ってみると、おかあさんの目がパーっと輝いた。

聞くと、地元の産直スーパーでタラの芽ちゃんを見つけたんだけど、
かなりお値段が高くて諦めるということがつい最近あったらしい。

それならと、残りのタラの芽ちゃんをダンボールごと
もらってもらった。

完売御礼。

なんとも清々しい気分。
タラの芽ちゃんたちも喜んでくれる人にもらってもらって本望。

おかあさんが
「よかったら、これ飲んで」と、
世田谷食品の野菜ジュースをくれた。

きっと、おとうさんとおかあさんが日々健康のために
飲んでいるものなんだろう。

ありがたくいただいてわかれた。

帰りの車内、
タラの芽ちゃんを積んできたダンボールの場所には、
おかずとごぼうと野菜ジュースが並んだ。


⒋多幸感に包まれる

昔は、お裾分けすることが面倒くさいと感じ、
それをする時間的余裕もなかった。

食べきれず、悲しそうにダメになっていく食材たちに
罪悪感を感じつつも、処理しきれない量があることがストレスだった。

今は、お裾分けできるゆとりがあることが嬉しい。

そして、毎回思う。

お裾分けして、喜んでもらうことが
人をすんごく幸せにするということを。

単なるお裾分け、いただきものといった物だけのやり取りではなくって、
心に与える影響の方が大きいような気もする。


その日の夜、
わが家用に残しておいたタラの芽ちゃんを食べながら、
今日はおかあさんのところも
おじちゃんとおばちゃんのところも
そして、畑の師匠のお宅も同じように

タラの芽ちゃんが晩ごはんの一品として、
食卓に上がっているかなと想像するだけで、
また多幸感がぐぐぐっと体内に広がるのであった。

画像1

#筆文字えりちゃん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?