迫る米国出張。
ファッションショーに参加してくれたスタイリストさん、名前はブルックリンさんという。
彼女は「ロサンゼルスに来たら紹介したい人がいる。」と言ってくれた。
そしてその方は、正直言って超ド級の音楽業界の方だった。
そのため、私は、ショーのテンションの高さなどから半分以上は社交辞令だと、最初は受け止めていた。
だが、彼女はお洋服をとっても気に入ったと言って、12着もトランクに入れて米国に帰ったのだ。
そして、名前が上がった方は、彼女のクライアントであるのも事実なので、内心(本当だったらやばいぞ・・・・)とソワソワしていた。
まさか、、という気持ちと、本当だったら、、、という気持ちの半々で私は数日を過ごしていたが、まさかであっても、そこまで言葉にしてくれたことに感謝と感激で胸がいっぱいだった。
私は誰かのために洋服を作ってるわけじゃなく、誰の評価も根底では気にしていない。ただ、ファッションというのは論理ではなく、情緒で様々な壁を超えていける力があると強く実感した日で、これまで18年間のバッグの戦いとの圧倒的な違いを、頭ではなく心で学んだ記念すべき日だったのだ。
それから数日後、ニューヨークでの物件調査や不動産とのミーティングが決まり、本当に渡米が決まった。
そして、ニューヨークだけじゃなくロサンゼルスにも行ってみようと思ったのは、この服の件が少しずつ動き出そうとしていたからだ。
ロサンゼルスにも協力してくれるチームがいて、ニューヨークはバッグだが、ロサンゼルスは圧倒的に服への興味関心と評価が高くて、卸をすることから始められたらいいなと思っていた。
ロサンゼルスのチームのM君はお洋服の取り組みについて本当にあの手この手で戦略を練ってくれて、毎回会議の度に嬉しい報告で驚かせてくれる人だった。
「少しずつ興味を持ってくれるところに営業をかけていこうと思います。」
そう言って、シルバーレイクと呼ばれるファッションの街にある、いくつかのセレクトショップや、ファッションショーでスタイリストさんが言っていた最高のセレクトショップ「H Lorenzo」への営業活動を視野に入れた動きが始まろうとしていた。
私は9月18日から25日まで米国に行く。
そしてそのための会議がここ数日、複数回行われている。