見出し画像

コロナによって航海停止中のクルーズ客船が、港に停泊せず、海上を浮遊している理由、知ってますか?


ニュースでこういう映像を見たことある人いないでしょうか?
沖合に停泊するクルーズ客船、、、

画像1


なぜクルーズ客船は港に接岸しないのでしょうか?

それにはちゃんと理由がありました。この豆知識を知った後は、皆様少しかっこよくなれます、今回はそんな情報をお伝えしていきます!


2020年3月、世界中のクルーズ客船は、運航を停止しました。世界中の船が停止したのは歴史上初めてのことです。

このクルーズの一時停止は、2020年に発生した、コロナウイルスの大流行によるもので、世界中の政府による国境の閉鎖や、旅行の制限実施につながっています。


2020年半ばまで、クルーズを再開する見通しはなく、アメリカ政府は4月、アメリカの水域での巡航の禁止を発表しました。

それ以降の数週間、他の国々でも同様の措置が取られ、主要なほとんどのクルーズ会社は、2020年9月頃までの、すべてのクルーズのキャンセルを余儀なくされました。

クルーズの禁止が最初に発表されたとき、多くのクルーズ船は、乗客を乗せた航海の真っ最中でした。 ルビープリンセス、ダイアモンドプリンセスなどの一部の船は、深刻なコロナウイルスの発生に見舞われましたが、その他のほとんどのクルーズ船は、ウイルスに感染していませんでした。

しかし、クルーズの禁止が実施され、各港での上陸の制限が厳しくなったため、世界中のクルーズ船の乗客は、3月から4月の初めまでに、下船できる港に降ろされました。

ちなみに私の働くクルーズ客船では船を2隻所有していますが、一隻は3月からのクルーズを全てキャンセルし、3月1日にシンガポールにて、乗客を全て降ろし、もう一隻は、世界一周クルーズ中で、オーストラリアを航海中でしたが、これもキャンセルとなり、3月後半に乗客を全て下船させました。

レイアップ -Laid Up-

乗客が下船すると、クルーズ船は、”レイアップ”と呼ばれる状態になります。

レイアップ船という用語は、貨物などの不足のために一時的に運休、または一時的に商業活動から廃止されている船を意味します。運賃が、ランニングコストをまかなうのに十分でなく、航海させるとかえって損失になると予想される場合、会社が所有する船を一時使用しないことであり、経済危機の時期には、船の売却より、レイアップを優先することがよくあります。

クルーズ船のレイドアップを検討するときには、ホットレイアップ(別名ウォームレイアップ)とコールドレイアップの2つの方法があります。

ホットレイアップ -Hot Laid Up-

ホットレイアップは、運用中の船がサービスを一時的に停止したときに、船のエンジンはアクティブにしたまま、最小限のコストで稼働状態を維持することです。つまり「いつでも再開可能」な状態にしておくわけです。

ホットレイアップの船は、独自のエンジンを使用し、エアコン、水処理、脱塩(ダツエン)などを維持するための電力を提供します。

コロナウイルスが、今後、クルーズ業界へどのくらいの影響を及ぼすか予測不能だったため、ほとんどの船がホットレイアップの状態で維持されるようになりました。

2020年6月初旬、マニラ湾は、船でいっぱいになりました。キュナード、P&Oオーストラリア、プリンセスクルーズ、ロイヤルカリビアン、アイーダ、ほーランドアメリカ、カーニバルなどの船です。

これらの船は、港に停泊はしておらず、フィリピン側は食料供給のみを行っています。

これらの運用船は、海水を淡水化(たんすいか)するために、さらに沖合に向かう必要があり、処理された灰色の水を排出する必要があります。これは、陸側で処理された水と同じくらいきれいですが、それでも岸から一定の距離以上を保ち、排出する必要があります。

コールドレイアップーCold Laid Upー


船の閉鎖は、コールドレイアップと呼ばれています。

船がコールドレイアップに入ると、非アクティブの状態となり、エンジンが停止します。これには、燃料コストを削減するという利点もありますが、問題が伴います。エンジンを停止すると、電力に依存するすべての船内サービスは、代替の陸側の電力でまかなうか、または一時停止する必要があります。

陸からの電力が必要な場合、船には停泊スペースが必要になり、これは、多くの場合、高額な費用が掛かります。

さらに、世界中には何百もの船が存在し、停泊スペースを見つけるのは困難なため、現在、多くの船が錨を降ろして沖合に停泊しています。

陸からの電力の提供がなく、船が、沖合に停泊しているコールドレイアップの場合は、消火や、緊急時の照明などの安全システムを維持するために、船が最小限のバックアップ電力で動作するため、船内のサービスの多くをオフにする必要があります。

これは、すべてのものをオフにし、クリーニングする必要があることを意味します。例えば水道管を減圧し、水処理を無効にし、下水タンクを空にする必要があるため、想像よりも大仕事となります。継続的なメンテナンスが必要なものも、先延ばしにしなければなりません。

さらに、船内は、船の現在地によって気候に影響を受けるため、非常に高温多湿になったり、低温多湿になる可能性があり、家具も大きなダメージを受けてしまいます。

クルーズの一時停止がどのくらいの期間になるか予測が出来ない上、コールドレイアップから船を非アクティブ化し、再アクティブ化するのにかかる時間と、このプロセスに伴うコスト、さらに船の停泊にかかるコストを考えると、この時点で船がコールドレイアップを選択するには、経済的にナンセンスとなります。

よって、クルーズ船は停泊せずに、食料などの導線が確保できる沖合に停泊するしかないのです。

ハイ皆さん、鏡を見てください。かっこよくなってますね、この瞬間あなたは昨日より利口になりました。わたしも調べるまで知らなかったので、わたしも昨日より顎のあたりがシュッっとしてかっこよくなった気がします。

というわけで、ここまでお付き合いありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?